アンリ・ル・シダネル展 埼玉県立近代美術館
離れ屋(ジェルブロワ)1927 (カーソルをあて拡大できます)
アンリ・ル・シダネル(1862-1939)、 20世紀初めに活躍したフランスの画家。 日本でその全貌が紹介されるのは初めて。
薔薇の庭、 木漏れ日、 青いテーブル、アトリエの窓の前に置かれたテーブル、月明かりの庭や夕暮れの家々の窓の灯り 雪の中の家 など
どの作品も、 静かな雰囲気でホッとする。 人物は描かずに、 いままでそこに座っていたり、 テーブルを囲んだ人たちの気配がする。 アンティミスト…身近なもの、特に室内画を情感を込めて描いた。
港のカフェ 1923
ひっそりと、 どことなく寂しげ、 でも温かい。
点描の穏やかなタッチ、 優しい色の混じり合いがそう感じさせるのだろう。 傍らの友が 「光りの微粒子…」 と呟く。 浮遊するやわらかな色彩が観る人を包み込む。
1901年 シダネルは中世の面影が残るジェルブロワという村に住み、自宅の庭を、さらには村全体を薔薇でうめつくそうと提案、やがて実現すると 「フランスでもっとも美しい村」に選ばれた。
青いテーブル 1923
プルーストの 「失われた時を求めて」の中で 登場人物のお気に入りの画家として アンリ・ル・シダネルが出てくる。 印象主義や新印象主義を継承して独自の画風を確立した。 近代日本の洋画家にも影響を与えた。 (美術館ビデオ 及び パンフレット参照)
アトリエの窓の前に置かれたテーブル 1936
拡大してどうぞ 左から ・朝 「モントルイユ=ベレー」1896
・運河「アミアン」 1901 ・室内「ジェルブロワ」1903
旅をしながら その土地の光を描いた。
月明かりのなかの輪舞 1899 リトグラフ
きのう私たちも リンゴなど並べ油彩を描いた。 シダネルの絵が頭から離れない。
とくに タッチや色彩のこと。 シダネルの幸福で穏やかな作風を真似たくもなるが、 これも個性。 その人らしい絵がよいのだ と思い直した。