渡辺 温という作家がいることは知識として知っていました。
あの構溝正史の右腕として働き、
さらにあの谷崎潤一郎にその才能を高く評価され可愛がってもらっていたが、
若くして電車事故で亡くなってしまった才能あふれる作家。
だから興味がわき数編の掌編は読んだことがあったけれど、
その他の作品については読む機会が全くありませんでした。
というのも、その時読みたいと思っても、
肝心の本、(全集や、作品集)がすべて絶版で入手することができなかったから。
(なんせネットはおろか、パソコンだって「なにそれ?」てな時代でしたから。)
じつはその時、その作風に惹かれかけていたので、
出鼻をくじかれたようで かなり悔しい思いをしたのを覚えています。
(だから気持ちは一層、「なんとしても読みたい!」に。)
それがつい先日、WEB上でたまたまその名を見かけ、
もしやと思い検索してみると、なんと「青空文庫」に彼の作品が沢山あるではないですか!
なんと素晴らしい時代になったもんでしょう!
そこで嬉しくなって、すぐに読みに行きました。
いや~、やっぱり思った通り。
面白い!
そのほとんどが短い掌編なので読みやすい。
だからまあ、少々荒削りであったり、
「こりゃもう、思い付きの勢いだけで書いたな。」
という作品もあったり。
でも、総じてやはり面白い!
また、ただ単に面白いだけでなく、
ストーリーがよく組み立てられていて、上手い!
何というのか、無駄がなく、計算し尽くした上で、組み立てられている。
きっと書きながら、こちらの読み手が最後の一文を読んだ時の驚き顔、
そういったものを想像し、ほくそ笑みながら書いていたのではないかな?
また、だからか、読んでいる時のスピード感が半端ない。
だから余計にラストの部分が生きる!
これは読後感というよりも体感に近く、
「くるのか?くるのか? いったいどうくる? キタァ~~~!」
てな感じで くせになります。
(短い掌編だから余計にそう感じます。)
例えるなら、薄暗いOヘンリー?、ひねくれた星新一?
この辺のつくり方というかテクニックなどは、
横溝正史譲りの推理小説のテクニックなんだろうけど、
それ以上にも思えるこの鮮やかな仕上げ方は何だろうと思っていたら、
どうも、本職は作家ではなく、編集者であったようですね。
なるほど、道理で…
またこの人の作品の大きな魅力は、そういったもの以外に、
作品から漂ういかにもな おしゃれ感!
大正モダニズム的な独特なもので、
今はやりのレトロ感とは一線を画した隠れた本物のレトロを感じることができます。
まあ、作者本人が、周りの空気を読めないほどのオシャレさんであったとの話だし、
世代的にも、そういったものをすべて享受していこうとしていた世代だから、当然なのかもしれません。
そして全編通じて感じたのは、
やたらと文章が絵画的、というか、映像的。
自然物、人工物、そして人物、そのいずれの描写にも、
美しく、シャープで、また生々しい。
時には、まるで実際に触れているかのような肌触りまで感じるような。
しかも、そのいずれの場合でも明確な色彩を伴ってそう感じさせるから、
白黒の活字を眺めているのに、やたら場面が映像で再現される。
だからこそ、文中のできごとを、読むことによってあたかも体感しているかのように感じられます。
でもそのくせ、においや音はあまり迫ってこず、
そういう意味ではやや現実味のない不思議な感じがしました。
後に、作者が実はかなりの映画好きで、けっこうのめり込んでいたことを知り、
「ああ、なるほど、だからあれらの作品は映画、しかもサイレントなんだな。」
と、私は先ほどの自分の感想に納得したのです。
というわけで、そういうのがいったんハマッてしまうと作者の作品群は妙にくせになってしまいます。
(私はみごとにはまった!)
おかげでこの数日はPCモニタとにらめっこ!
あっという間に全編読んでしまいました。
だから、ただいま物足りないので、
ネットで確認し、近所のいつもの本屋さんで全集を取り寄せてもらっております。
これで家でゴロゴロしながらじっくり読める!
(緑内障なのにね~。(=^^=)ゞ)
しかし一体いつもの間に全集なんて出たんでしょう?
もしかして今ブームなのか??
だったら、乗るしかないでしょ、このビッグウエーブに!
ヽ(^∀^)ノ
というわけで、もしよろしければ皆さんもいかがかな?
公開中の作品↓のとおり。
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person20.html
私のおすすめは以下の4作。
私が最初に読んだ作品で、この作者に惹かれる原因となったもの。
若くして病死した「永遠の処女」と呼ばれた女優及川道子をモデルにしていますが、
実は彼女は作者の実の恋人。
まるで大人の童話のような、
「赤い煙突」
前半ナルっぽい雰囲気でけだるく静かに流れながら、
後半いきなり突き飛ばされて、急坂を足をもつらせながら突っ走らさせるような、
「アンドロギュノスの裔」、
読後感最高で、私の最も好きな、
「嘘」
読後感最悪で、なのにその爽快感がすさまじい!
これぞカタルシス?!
世間で最も評価の高いのもうなずける、
「かわいそうな姉」
あの構溝正史の右腕として働き、
さらにあの谷崎潤一郎にその才能を高く評価され可愛がってもらっていたが、
若くして電車事故で亡くなってしまった才能あふれる作家。
だから興味がわき数編の掌編は読んだことがあったけれど、
その他の作品については読む機会が全くありませんでした。
というのも、その時読みたいと思っても、
肝心の本、(全集や、作品集)がすべて絶版で入手することができなかったから。
(なんせネットはおろか、パソコンだって「なにそれ?」てな時代でしたから。)
じつはその時、その作風に惹かれかけていたので、
出鼻をくじかれたようで かなり悔しい思いをしたのを覚えています。
(だから気持ちは一層、「なんとしても読みたい!」に。)
それがつい先日、WEB上でたまたまその名を見かけ、
もしやと思い検索してみると、なんと「青空文庫」に彼の作品が沢山あるではないですか!
なんと素晴らしい時代になったもんでしょう!
そこで嬉しくなって、すぐに読みに行きました。
いや~、やっぱり思った通り。
面白い!
そのほとんどが短い掌編なので読みやすい。
だからまあ、少々荒削りであったり、
「こりゃもう、思い付きの勢いだけで書いたな。」
という作品もあったり。
でも、総じてやはり面白い!
また、ただ単に面白いだけでなく、
ストーリーがよく組み立てられていて、上手い!
何というのか、無駄がなく、計算し尽くした上で、組み立てられている。
きっと書きながら、こちらの読み手が最後の一文を読んだ時の驚き顔、
そういったものを想像し、ほくそ笑みながら書いていたのではないかな?
また、だからか、読んでいる時のスピード感が半端ない。
だから余計にラストの部分が生きる!
これは読後感というよりも体感に近く、
「くるのか?くるのか? いったいどうくる? キタァ~~~!」
てな感じで くせになります。
(短い掌編だから余計にそう感じます。)
例えるなら、薄暗いOヘンリー?、ひねくれた星新一?
この辺のつくり方というかテクニックなどは、
横溝正史譲りの推理小説のテクニックなんだろうけど、
それ以上にも思えるこの鮮やかな仕上げ方は何だろうと思っていたら、
どうも、本職は作家ではなく、編集者であったようですね。
なるほど、道理で…
またこの人の作品の大きな魅力は、そういったもの以外に、
作品から漂ういかにもな おしゃれ感!
大正モダニズム的な独特なもので、
今はやりのレトロ感とは一線を画した隠れた本物のレトロを感じることができます。
まあ、作者本人が、周りの空気を読めないほどのオシャレさんであったとの話だし、
世代的にも、そういったものをすべて享受していこうとしていた世代だから、当然なのかもしれません。
そして全編通じて感じたのは、
やたらと文章が絵画的、というか、映像的。
自然物、人工物、そして人物、そのいずれの描写にも、
美しく、シャープで、また生々しい。
時には、まるで実際に触れているかのような肌触りまで感じるような。
しかも、そのいずれの場合でも明確な色彩を伴ってそう感じさせるから、
白黒の活字を眺めているのに、やたら場面が映像で再現される。
だからこそ、文中のできごとを、読むことによってあたかも体感しているかのように感じられます。
でもそのくせ、においや音はあまり迫ってこず、
そういう意味ではやや現実味のない不思議な感じがしました。
後に、作者が実はかなりの映画好きで、けっこうのめり込んでいたことを知り、
「ああ、なるほど、だからあれらの作品は映画、しかもサイレントなんだな。」
と、私は先ほどの自分の感想に納得したのです。
というわけで、そういうのがいったんハマッてしまうと作者の作品群は妙にくせになってしまいます。
(私はみごとにはまった!)
おかげでこの数日はPCモニタとにらめっこ!
あっという間に全編読んでしまいました。
だから、ただいま物足りないので、
ネットで確認し、近所のいつもの本屋さんで全集を取り寄せてもらっております。
これで家でゴロゴロしながらじっくり読める!
(緑内障なのにね~。(=^^=)ゞ)
しかし一体いつもの間に全集なんて出たんでしょう?
もしかして今ブームなのか??
だったら、乗るしかないでしょ、このビッグウエーブに!
ヽ(^∀^)ノ
というわけで、もしよろしければ皆さんもいかがかな?
公開中の作品↓のとおり。
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person20.html
私のおすすめは以下の4作。
私が最初に読んだ作品で、この作者に惹かれる原因となったもの。
若くして病死した「永遠の処女」と呼ばれた女優及川道子をモデルにしていますが、
実は彼女は作者の実の恋人。
まるで大人の童話のような、
「赤い煙突」
前半ナルっぽい雰囲気でけだるく静かに流れながら、
後半いきなり突き飛ばされて、急坂を足をもつらせながら突っ走らさせるような、
「アンドロギュノスの裔」、
読後感最高で、私の最も好きな、
「嘘」
読後感最悪で、なのにその爽快感がすさまじい!
これぞカタルシス?!
世間で最も評価の高いのもうなずける、
「かわいそうな姉」