pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

ハムレット@シアターコクーン1階M列センター

2019-05-15 21:17:41 | シェイクスピア

作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:河合祥一郎
演出:サイモン・ゴドウィン
美術・衣裳:スートラ・ギルモア

出演:岡田将生、黒木華、青柳翔、村上虹郎、竪山隼太、玉置孝匡、冨岡弘、町田マリー、薄平広樹、内田靖子、永島敬三、穴田有里、遠山悠介、渡辺隼斗、秋本奈緒美、福井貴一、山崎一、松雪泰子

【あらすじ】
デンマークの王子ハムレットの父王が急死。その2ヶ月足らずの後に、新国王となった王の弟クローディアスとハムレットの母・王妃ガートルードが再婚した。

父の死と早過ぎる再婚により憂いに沈むハムレットのもとへ、腹心の友・ホレイシオが父王にそっくりの亡霊が、城壁の上に現れたと知らせにくる。真相を確かめるべく出かけたハムレットの前に現れた亡霊が「私はクローディアスに毒殺された」と告げる。クローディアスへの復讐を誓ったハムレットは、周囲の目を欺くため狂気を装う。その突然の変貌ぶりに憂慮するクローディアスとガートルードに、顧問官ポローニアスは、その原因を娘オフィーリアに対する恋煩いだと言う。狂気の真相を探ろうと、一同は偶然を装い二人を出会わせるが、ハムレットは心配するオフィーリアを冷たく突き放すのだった。やがて、ハムレットが亡霊の言葉が真実であったと確信を得たその夜。ガートルードの寝室に呼ばれるが、母と口論になり、物陰で身を潜めていたポローニアスを刺殺してしまう──。この事態に身の危険を感じたクローディアスはハムレットをイングランドへ送り出す。悲しみのあまりオフィーリアは狂乱し、復讐に燃える兄・レアーティーズは父の仇を討つことを誓う。
その頃、討たれた父の土地を奪還する為、ノルウェーの王子・フォーティンブラスの軍隊がポーランドへ侵攻しようとしていた。


「本気出したイケメンはすごい!」というつぶやきも聞こえてきてますが、なにせ世紀のイケメン岡田将生がデンマークの王子じゃ、いかないわけにはいきません

いや、ほんと良かったです。ハムレット。登場時は黒づくめで眉をひそめた陰鬱な表情、かっちりした台詞の硬い演技で、最初のあたりはホレイシオ竪山隼太くんの蜷川先生仕込みの演技が光を放ち、ボローニアス山崎一さんの深い演技にため息をつくばかりでしたが、亡霊に父王殺害の真相を聞かされ、混乱と狂気に足を踏み入れてからは俄然光を放ちはじめ、見たこともない岡田ハムレットを見せていただきました。

なにしろ私がこのような演劇底なし沼に足を入れてしまったきっかけが、ここシアターコクーン2003年の蜷川ハムレットだったので、ハムレットといえば衣装も台詞も重厚な蜷川演出版が頭に浮かんでいまいます。が、今回のサイモン・ゴドウィン版、とても軽やかでわかりやすいけれど、ちゃんと正統派ハムレットと受け止めました。まず、誰もが知っている名台詞をいじっていない。「弱き者、汝の名は女」「尼寺へ行け!」「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」と言いながら自分のベルトで首を吊ろうといて思いとどまったり、リストカット癖があるのか両手首に包帯巻いてるし

岡田ハムレット、狂気バージョンに入ると、まず髪の色もヘアスタイルも、メイクも衣装もがらっと変わります。序盤の陰鬱さは消え、まるで言うことを聞かないヤンキー高校生みたい。ビジュアルは、この前観た「笑う男」のような口裂けメイク母ガートルードにつっかかっていくし、オフィーリアのパパを刺し殺しても、テンションあがりっぱなしのままどっかに引きずっていっちゃうし。なんというか、恐ろしいまでに飛び跳ね、大声を上げ、もう止められない暴走っぷり。父王の復讐のために狂気を装うというより、本当に混乱し、錯乱しているようにも見えます。暴れるイケメンて、こわい。。。

そして、錯乱したオフィーリアも花言葉を歌いながら人々にお花を配るシーンで、自分の髪をぶちぶち抜いては渡し歩く姿が、哀れというよりホラーでした 涙を誘われるシーンのはずが、その狂気の凄まじさにブルブル)))))

暴走王子を始末しようとイングランドへ飛ばすクローディアス。あ、企みを知られたと確信する劇中劇「ゴンザーゴ殺し」も、とても説得力ありました。なんというか、ハムレットのストーリーをよく知らない観客にも、とても親切な演出だったと思います。

それでも100分de名著などで予習したおかげで「魚屋」や「最後はローマ人でいたい」というような台詞の意味もわかり、興味深かったです。

今回はハムレットについてイングラント行きの船に乗る学友ローゼンクランツとギルデンスターンはカップル?のようで、ギルデンスターンは女性です。演出家は「ハムレットの友人が女性であってはいけない理由はない。ギルデンスターンが女性であることによって、女性のお客さんも『私もそこにいられると感じるのでは?』」とパンフレットで言ってますが、あえて女性にする必要もなかったのでは?と、そこだけ???でした。ローゼンクランツとギルデンスターン。ハムレットが叔父からの信書を書き換えなければ命を落とすこともなかった二人。ハムレットが自分ではなく「この2人を殺せ」と書き換えたんですよね。。。けっこう衝撃 

主要人物が非業の最期をとげる結果となるハムレットとレアティーズの決闘シーン、フェンシングスタイルの白い衣装とガチな戦いが本当に迫力ありますこれだけでも眼福

剣に塗られた猛毒によって倒れるふたり。横たわる姿をオペラでガン見すると。。。?足先が??足袋?地下足袋?

エアージョグともよばれてるらしい。。。プリンスブーツじゃなかったのね(コメントbyうさぎ先輩)

 陰鬱から暴走そして悟り。ハムレットの3たびの変貌。やっぱり深いです。もう一回見に行っちゃおうかな。

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