開口一番 桂鯛蔵「二人ぐせ」
よくありますよね~口癖を言ったら100円とか。
ふたりの男が「のめる」と「つまらん」というそれぞれの口癖を言ったら1000円払うという約束をし、それぞれがなんとかその禁句をいわせようとする滑稽噺。鯛蔵さんは塩鯛さんのお弟子さんですが、ちょっとお魚に似てるかも。「つまらん」を言わせるために「もらったお魚100匹、この桶につめられるかなあ」とか、詰将棋でせめてみたり、面白かったです。
1席目 湯屋番 柳家三三
一度はあこがれる銭湯の「番台」に座れることになった若旦那の妄想噺。
三三さんがやると下品にならないところがさすが。
2席目 質屋蔵 桂吉弥
質屋の三番蔵に幽霊が出るという噂をたしかめようと、主人が使用人2人に蔵を調べさせるという噺。質屋さんの蔵には、いろんな人たちのいろんな思いが詰まっていそうですからね~ありそうなことかも。
吉弥さん、マクラのあと、噺に入って結構すぐに羽織を脱ぎかけ、「あ!ここで脱ぐんじゃなかった!」と、あわててもう一度着ていました。
後半で使用人の熊さんが「俺は強えんだ!」と言う場面でようやく羽織を脱いだ時には、にわかに拍手がおきました。
お仲入り
3席目 おごろもち盗人 桂吉弥
吉弥さん、お仲入りの間に、質屋蔵での羽織の一件を三三さんに「あざとい。」と言われたようで、三席目の始まりは「反省会」でした。
「そんなつもりはあらへんのですが・・・」と、苦笑い。
おごろもちとは「もぐら」のことです。昼間、あきんどのふりをして、目星を付けた家に入り、かんぬき、掛け金の位置を覚えておき、夜になって地面を掘って穴を開け、手を伸ばして外して押し入る。この手口から「おごろもち盗人」と呼ぶそうです。
まぬけなおごろもち盗人が穴から手を伸ばしているのを家人に気付かれ、伸ばした手を家の内側で縛られて抜けなくなってしまいます。(体は外にあるわけ。)通りがかりの金欠男に「財布の中にある手刀をとってくれ」と頼んだものの、その男に財布のお金を取られてしまい、「泥棒!」と叫ぶというサゲ。吉弥さんの演じ分けが面白くて面白くて・・・
4席目 抜け雀 柳家三三
吉弥さんをいじりまくりの三三さんは、登場そうそう羽織を脱ごうとして笑いをとっていました。
そして、貧乏宿屋のおかみさんが旦那さんに「あたしは強えんだ!」と啖呵を切るふりをするところでおんなじように羽織を脱ぎ棄て、拍手喝采。舞台の袖で苦笑いの吉弥さんが見えるようでした。抜け雀は、貧しい宿屋に泊った一文なしの絵師が屏風に描いた雀が屏風から抜け出して遊ぶことが評判になり、宿屋が繁盛する噺ですが、羽織事件で舞い上がっちゃったのか、三三さん、スズメを「ねずみ」と言ってしまい、いそいで「ねずみに追われたごとくにスズメがまいあがり・・・」と、きれいにまとめていました。さっすが。
3月の震災の直後に三三さんの北村薫さんとのコラボ寄席、吉弥さんの「地獄八景亡者戯」と「愛宕山」の会のチケットを手放してしまい、後からこのふたつの高座が素晴らしかったという話を聞いて、忸怩たる思いでしたが、やっとすっきりしました。本当に面白かった~