water(ウォーター)
水に触れて感動した体験を持つ日本人はどのくらいいるだろうか?家畜のおしっこで頭を洗う人々に衝撃を受けるのが、私たち日本人の多くだと思う。
waterという単語を思い浮かべると同時に、私が思い出すのはへレン・ケラーだ。
私は聾学校の前に生まれた。へレンが来日した折、私の住む町の聾学校にもやってきたという話を聞いた。字が読めるようになって初めて読むことにした伝記は『へレン・ケラー』だった。
ヘレンが最初に覚えた言葉がwaterである。見えない、聞こえない世界のヘレンが初めて理解した言葉。そして、字。
それがどれほど恐ろしい世界か、私たちは見ることが出来、聞くことができるから想像がつかない。もちろん想像はできる。体験も無いわけではない。しかし、それはほんの一瞬のことだ。心のどこかに「これは実験。また直ぐ見えるし、聞こえる」という思いがあってのことだ。
私の幼馴染は高校生のときに失明すると宣告された。そして、それが元で生きる気力を失って死んでしまった。彼の受けた衝撃は死に値したのだ。一つでもそうなのに、それ以上の障害とともに生まれてきたヘレン。
サリバン先生は、この地獄の苦しみからヘレンを救った。そのきっかけがwaterだった。
井戸まで引っ張っていかれたヘレンは、井戸からほとばしる水を手に受け、そして先生が手に綴る「w-a-t-e-r」が水だと突然理解する。
ヘレンだけでなく、家族にとっても暗黒の世界に、光の差した日だった。
水はヘレンに、「全てのものには名前がある」ということを教えただけでなく、それまでの不幸をも流したのである。
その日のヘレンは「初めて悲しみを知った」と言っている。そして「In bed I longed for a new day to come for the first time.」とも言っている。
私たちは、生まれた瞬間から羊水を恋しがって泣き、母の胸を求めて泣き、「悲しむ」という表現を最大限発揮し、利用し成長していく。
そして、クリスマスや友達との約束などに胸を膨らませて、ワクワクしながら眠りにつくことに、なんの違和感も無い。
水は全てを浄化する。この考えは世界共通のものであると思う。
喜びのある明日を知っている。悲しむことができる。そして、地球に水は、枯れることなくあり、流れている。私はくじけそうになると、これを思い出す。[a]
-The Miracle Worker参考-
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当たり前のものほど大事にする気持ちを持ちたいですね。北京の水道水、煮沸すれば問題ないのですよね?
ellyさん
お誉めたいただき照れくさいですね。ありがとうございます。
ヘレンが受けたような衝撃を、私たちはなかなか受けることが出来ません。
なぜか?それは繰り返しになりますが、見えること、聞くこと、水がそこにあること…全てが当たり前だからです。
自分のために、そして愛すべき人と土地のために、水をいつまでも当たり前に飲める環境を意識して生活していきましょうね
水は全てを浄化する、そうですね。ノアの方舟の話に始まり、世界には水の流れによって混沌と再建がもたらされるお話がたくさんありますよね。水がないと生きていけない、水は全てを洗い流してくれる、水の力を感じることにより、水を大切にしようという気持ちを育んでいきたいと、この記事を読んで強く思いました。