アルドリッチ「ふるえて眠れ」を観る。ここ最近では珍しく自分のDVDで。この映画は同じくアルドリッチの、主演も同じベティ.デイビス「何がジェーンに起こったか?」の続編、のような印象を受けるサスペンス映画である。よりサスペンス色が強いのはこちらの方かも知れない。謎解きの展開の仕方は、どこか火曜サスペンスを思わせる。「何がジェーンに起こったか?」は、ベティ.デイビスの醜悪な姿が狂気とともに倍増して、その怪演振りに圧倒されたが、今回はその点はやや抑え目で、その分分かりやすいサスペンスとして纏まっている。ケレン味もたっぷりで、そんなところが火曜サスペンスを思い起こさせたのかもしれない。
婚約パーティーの時その相手の首が切り落とされると言う殺人事件がおき、犯人が分からないまま数十年、父親の財産を相続した老いた娘は一人その屋敷に暮らしている。そしてその財産を狙う親族。様々な方法で娘を陥れようと画策する。そのせいで現実と狂気の世界の区別が徐々につかなくなってくる娘。そして、あの忌まわしき殺人の犯人は、と物語の内容展開はやはり火曜サスペンスを思わせる。実際観てて、これが原型ではないかと思ったほどだ。ただ、映画としては「何がジェーンに起こったか?」の方が良い。「ふるえて眠れ」はちょっと纏まりすぎて面白みに欠ける。サスペンスがそれほど好きではないということもあるが、「何がジェーンに起こったか?」の狂気の暴走振りは一見の価値がある。映画が絶えずふるえていたのは「何がジェーンに起こったか?」の方だった。