ピカビア通信

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丹下左膳余話 百萬両の壺

2011年09月18日 | 映画

 

山中貞夫「丹下左膳余話 百萬両の壺」を観る。無料でも観られるが自分のDVDで。知らない人のほうが多いと思うが、小津安二郎とともに将来を嘱望された映画監督であった。残念ながら28歳の若さで戦死して、現在見られるのは三作品、その内の一つがこれだ(他は、人情神風船、河内山宗俊)。

この作品、一言で言えば人情喜劇であるが、どうしても引き合いに出してしまうが、同じようなタイプの山田洋次の寅さんシリーズとは大きく違う。思わずほろっとするなど、人情喜劇の特徴は同じように備えているのだが、その演出の仕方が違うのである。ありがちな、これでもかという泣かせ演出は一切なく、大胆な省略、しかも洗練された演出、ユニークなアングルのカット割り、などなど独自のスタイルが確立されている。話は定型であるが、実に厭味なくすんなり受け入れられる。主演の「大河内伝次郎」も良い味出してる。日本映画ベストテンなどにもよく登場するが、これに関しては全く異論は無い。

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