『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

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『みちしるべ』**世界情勢と参議院選挙2022**≪2022.春季号 Vol.112≫

2022年07月18日 | 藤井隆幸

世界情勢と参議院選挙2022

藤井隆幸

ウクライナ紛争の本質は何か

 日本のマスコミも政府も、「プーチンは悪、ゼレンスキーは英雄」の一辺倒ではある。日本国民の殆どが、それを無批判に受け止めているようだ。が、世界情勢に詳しい向きでは、かなり違った見方をしているように見える。

 そもそもソ連時代(1991年以前)は、ロシアとウクライナの区別は確たるものではなかった。ロシア語を話すウクライナ国民と、ウクライナ語を話す国民が存在する。ウクライナ語はロシア語の方言のような存在という人もいる。

 ソ連崩壊後のロシアでは急速な資本主義化の中で、国営企業を叩き買って急速に富を得たオルガルヒ(新興財閥)と、社会保障の急落による貧困に陥った大多数の国民がいた。それを立て直したのがプーチンで、国民的支持は強い。

 一方、ウクライナはソ連時代には、航空機・宇宙産業や原発・重工業の中心地であった。しかし、資本主義化の中で、国家の体をなさないほどの貧困国になり下がり、現在はネオナチが支配する国になり下がっている。戦争がなかったにしても、国家財政が破綻しているのだ。

 汚職と貧困の中で、アメリカはウクライナに深く介入していた。第二次世界大戦下の民族過激主義者の残党(ネオナチ)を、対ソ連作戦で擁護してきたのもアメリカである。特に2014年の暴力クーデターは、オバマ政権の副大統領であったバイデン(現大統領)と、国務次官補のビクトリア・ヌーランド(現国務次官)が指揮していたと言われている。

世界はウクライナを如何に見ているか

 ウクライナ紛争は今年(2022年)2月24日に、ロシア軍が侵攻した時に始まったと思っている人が多いようだが、既に8年前から始まっていた。2014年の暴力クーデター後に、支持率は数パーセントのネオナチ政党が、国の要職を占めるようになり、ロシア語話者を排斥しだした。ロシア語話者の多い東部と南部は、それに抵抗をし、対してウクライナ政府軍(特に外人傭兵多数のネオナチ・アゾフ大隊)は軍事進攻を開始した。

 このような背景は、西ヨーロッパの首脳陣は百も承知なのだが、ネオナチ政権に兵器を供給し続けている。アメリカの圧力が如何にあるのかは分からない。東ヨーロッパ諸国は、旧ソ連が憎いという感情が強いのは理解できるが。

 そんな中でのアメリカ主導のロシア制裁ではあるが、世界広しと言えども制裁しているのは41ヶ国に過ぎない。アジアでは日本・韓国・シンガポールのみである。岸田首相と林外務大臣が、制裁同調行脚に回ったのだが。

日本とアメリカの本当の関係

 その日本であるが、戦後はアメリカの属国となり下がり続けているようだ。昨今、日米同盟と言っているが、70年代にアメリカは日本バッシングに明け暮れていたのは、忘れてしまったのだろうか。

 かつて日米貿易摩擦が話題となり、日本の半導体王国が叩かれた。日本の最大貿易相手国は中国となり、米中貿易摩擦に日本は忘れられたようだ。かつての半導体王国も、半導体劣国となってしまっている。世界では厄介者の原発産業を、東芝と日立が買わされ、企業崩壊しだしている。その内、三菱も同じ運命になるのではないのか。

 台湾と中国本土は、密接に結びついているので、両者はお互いの紛争に最も否定的だ。が、アメリカと日本は紛争ありきで準備をしている。アメリカの思惑で、日本がウクライナと同じ目に遭い、アメリカが傍観するという事態も考えられる。

参院選2022の動向

 この『みちしるべ』が、皆さんのところに届くころには、参院選2022の結果が出ているのかもしれない。予想が外れると、みじめになるのだが、選挙戦の裏側事情を見てゆくことにする。

 ネット社会になり、TV・新聞よりもWeb情報が国民を支配しているのだろう。そのWebの在り方の中で、支配層の国民コントロールが強力になってきている。とはいえ、完全に支配層の思うようには、なり切っていない所に未だ面白いところがある。

 ウクライナ情勢で、CIAによるマスコミ情報と対立するWeb情報が結構ある。日本の左翼も右翼もCIA情報一辺倒なのであるが。「プーチン悪、ゼレンスキー英雄」と言わない流れには二通りある。日本の左派に絶望したリベラルと、そもそも右派なのに、そういう主張をする勢力である。

 トランプ元大統領がウクライナから手を引く考えであるようだ。キッシンジャーもダボス会議で、同じことを言っている。アメリカの中でも、意見が割れているようだ。対して、トランプ派は対中強硬派でもある。日本の右派でウクライナ(ネオナチ)支援否定派は、トランプ勢力の応援団なのだろうか。

 トランプ寄りで有名な安倍元首相だが、自民党最大派閥でありながら、バイデン勢力に批判的なのだろうか。維新の鈴木宗男氏は、ロシアの立場に理解を示しているが、維新自身は不正事案に明け暮れている。今秋のアメリカ中間選挙次第では、ジャパンハンドラーが、一気にトランプ派になるのだろうか。

【投稿日2022.6.17.】

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