日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

コンビニATM→「マネー自販機ビジネス」の今後に注目!

2008-05-20 | ビジネス
昨日のコンビニ話で思い出したビジネスのミニ知識をひとつ。

最近ではコンビニで銀行カードでお金が引き出せる、というのは常識のお話。引き出しの際には手数料が、銀行や時間帯によってかかったりかからなかったり。この手数料、かかる場合通常は105~210円程度。でも実際には、セブンイレブンの場合、ATM所有者であるセブン銀行には他の金融機関から1回あたり160円の手数料が入るのだとか。手数料を全額利用者持ちであるか、銀行が一部持ち出しとしているかは別として、セブン銀行には確実に1回160円ずつ手数料が入るのです。

もう何年も前、私が銀行員だった頃にセブン銀行設立時の「ATM特化ビジネスモデル」には、どこか「成功するのかなぁ?」的な疑問符を投げかけたりしてたものです。でも、どうしてどうして、セブンの狙いはバッチリだったようで、コンビニATM利用者の増加は予想外の伸びで、手数料ビジネスとして今やドル箱状態のようです。

よくよく考えると、このビジネス、ある種の「自販機ビジネス」なんですね。ちなみに弊社が扱っている自販機は各社混合タイプの飲料自販機ですが、当然メーカーごと多数の商品を持っているわけで、各社入れられる銘柄には限界があります。すなわち、好みの商品がそこになければ、お客さんは利用しない訳です。しかも、肝心の販売手数料は1本あたり30円のみ(これでも、うちはちょっと優遇してもらってます)。電気代の負担を考えると、そんなにいい商売じゃありません。

一方の、セブンのATM。「お金」は銀行による商品の違いはないですよね。すなわち、どの銀行のカードでも“自販機”から出てくるお札は同じものですから、提携さえすればどこの銀行のお客さんでも好み不問で利用OKな訳です。しかも一件あたりの販売手数料は160円。飲料自販機の5倍以上です。

問題は利用者の数です。飲料自販機自販機1台あたりの1日平均の販売本数は22本。一方のコンビニATMの1日あたりの平均利用者数はなんと110人。手数料収入ベースで単純に比較しても、「30円×22=660円」に対して「160円×110=17,600円」ですから、いかに初期投資に差があると言っても全く比較になりません。新たな「自販機ビジネス」として目をつけたセブンには、またもや脱帽ですね。

この「コンビニATMビジネス」、聞くところによればアメリカでの成功に学んだものであるとか。もともとコンビニそのものもアメリカからの輸入ビジネスでありますが、アメリカには学ぶべき先進ビジネスがいつの世もあるものですね。

そしてそして、今のアメリカの「マネー自販機=ATM」ビジネス事情ですが、日本の自販機よろしくATM管理会社が建物や敷地のオーナーの許諾を得てATMを設置し、金融機関からの手数料収入を管理会社とオーナーで分配するモデルが主流になっているとか。日本のATM設置は基本的に家賃式ですが、「自販機」としての販売パフォーマンスの向上にオーナーも共に努力をするであろうアメリカ方式の方が、ビジネスの発展を考える上ではより正しい手数料ビジネスのあり方であると思います。さすがは、ビジネス先進国アメリカ。日本でもこのモデルが近い将来主流になるのかもしれません。

海外のビジネスには、一見するとおよそ日本では商売にならないだろうと思われるものも少なくないのですが、コンビニエンスストアのように、その時点その時点での常識では想像もできない成功の種が潜んでいたりする訳です。海外のニュービジネスを目にした時には「生活習慣が違うからなぁ…」で片付けずに、「日本でも、将来“アリ”かも」と、まずは関心を持ってみることですね。

ちなみに弊社のオリジナルビジネスモデル(と勝手に言い放っている)「複合ランドリー」も、アメリカやドイツでは比較的ポピュラーなビジネスモデルとして存在しているようです。早い者勝ち?かも。関心のある方はお声掛けください。相談にのります。

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