日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

理研は広報戦略の立て直しこそ急務であると感じる件

2014-04-02 | ニュース雑感
STAP細胞に関する昨日の記者会見。やはりどうしてもシックリこないのです。前回拙ブログでもお話したように、問題の「幹」はSTAP細胞の有無であり、改ざんや捏造の話はいかにそれが責を負うべきものであっても「枝葉」に過ぎません。「幹」であるSTAP細胞存在の有無がこれから約1年を経なければ分からないという段階での昨日のようなトーンでも会見は、大きな違和感を禁じえないのです。
■STAP細胞騒動は、ヘタクソな会議運営を見る思いである件
http://blog.goo.ne.jp/ozoz0930/e/5345b60bacfb336112926c6f60d33e2c

昨日の会見のトーンは、小保方さん叱責一色といっていいでしょう。前回の会見時に「未熟な研究者」と言い放ったトーンそのままに論文の「改ざん」「捏造」を殊更に糾弾するというものでしたが、私はすべてこれらの扱いを理研は「STAP細胞は存在しない」という立場に立って言っているものであると受け止めました。

もし仮に昨日の段階で「STAP細胞は存在する」という結論があった場合、理研は果たして同じトーンの会見をしたでしょうか。恐らく、いや確実にこのような会見はしなかったハズです。「STAP細胞は存在する」ということが証明されたなら、それ自体が大変な出来事であり、発表過程における写真の扱いに関する問題は仮に責めを負うべきものであるとしてもこんなに大きな存在にはなり得ないからです。

「小保方さんに悪意があったのか否か」ということも昨日の会見では論点にされていましたが、理研側は「悪質性を認定するのは難しい」「我々の立場では答えられない」と言いながら、「改ざん」はともかくとしても理研が使っている「捏造」という言葉は確実に「悪意」を含んだ行為を指し示しています。すなわち、理研は小保方さんの「悪意」を現段階ですでに認定しているのであり、それは「STAP細胞は存在しない」という立場をとればこそ、「悪意」認定を可能たらしめていると言えるのです。

お断りしておきますが、私は小保方さんを擁護しているわけではありません。物事はフェアに判断されるべきであるとの立場から申し上げています。その立場から申し上げて、現状で出されている「枝葉」の議論はどれも「幹」であるべき「STAP細胞の存在」を否定する状況証拠に過ぎず、「STAP細胞存在の有無」が科学的に検証されない限りにおいて、論文が「捏造」であるか否かは本人以外には知る由なしだと思うのです。

理研は論理性を旨とする科学者先生の集まりでありながら、つくづく広報戦略が分かっていない組織であると思います。昨日の段階で「捏造」という言葉を使ってまで小保方さんを糾弾するのであれば、その論拠となるべき「STAP細胞存在の有無」に関して、例え状況証拠に過ぎないものであってもそれらを体系建てて明示し「STAP細胞は存在しないと考える」という立場を明確にした上で、状況証拠が教える論拠の正当性を説明しなくていけません。それがないから、昨日の会見は「小保方さんに全ての罪をなすりつけたトカゲのシッポ切り」という批判を免れ得ず、理研の組織イメージは著しく傷つくことになるのです。

理研の広報に関して言えば、当初のSTAP細胞発表時にも誰もが違和感を感じた、必要以上に強調された割烹着やら実験室のムーミンに対する報道は、単にマスメディアの偏った報道姿勢ばかりに責任があるのではなく、マスコミ発表をよりセンセーショナルなものにしようとする理研サイドの行き過ぎた広報戦略にこそ大きな責任があったと感じています。そして今回の、先を急ぎ論拠を隠したままの責任回避と受け取られかねない会見姿勢。昨日の会見一問一答を見るに、理研は論文のチェック機能向上とともに広報姿勢の立て直しが急務なのではないかと感じた次第です。

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1 コメント

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確かに (中田)
2014-04-06 09:30:45
発表当初の過剰演出と、今回の会見での(一般の方々から見た)「言い足りなさ」については、理研の広報戦略の問題かもしれないと思います。
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