日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

日本エステ機構の「たかのBC認証取消」は、“臭いモノにフタ”ではないかと思う件

2014-09-24 | ビジネス
日本エステティック機構が、たかの友梨ビューティクリニック(以下、たかのBC)「エステティックサロン認証」を取り消すと発表したそうです。私はこの発表にいささか違和感を覚えました。

同機構による認証取り消し理由は以下の3点だそうです。
・仙台労働基準監督署による労働基準法違反に基づく行政指導がなされたこと
・企業コンプライアンスを無視したエステティック業全体の社会的信用を著しく低下させたと思われる代表取締役高野友梨氏の発言
・東京都による景品表示法に基づく行政処分を受け当機構から認証の一旦停止処分を受けたこと
http://esthe-npo.weblogs.jp/blog/2014/09/3-2eab.html

事件発覚以降の早い段階で、業界の発展を担うべき業界団体が認証の取り消しでことを済ませてしまうというのは、果たして正しい判断であるのか否か。誤解なきように申し上げておきますが、私はたかのBCの味方ではありませんし、擁護する立場で申し上げているわけでもありません。あくまで、業界の加盟店経営を監理する立場の団体として、不祥事の詳細が解明される前に「取消」という突き放すような対応はどうなのだろうか、ということです。

私は認証の取消は時期尚早、現時点では認証の「停止」があるべき機構の対応なのではないかと思っています。機構としては、今回のたかのBCの一件は業界が抱える問題として捉えるべきであり、その中で同社が今回の原因究明および再発防止をしっかり行うか否かを見極めつつ、停止認証の再認定の可否を検討すること。そして、その過程において入手されるであろうあらゆる情報を認定基準の中に新たに埋め込んでいくこと、それで初めて業界のコンプライアンス水準向上に資する認定団体の役割が果たせるのではないかと思うのです。

言い方は悪いですが、今回の日本エステティック機構のやり方は「臭いモノにフタ」と思われても仕方ないでしょう。

確かに、たかのBCは以前にも「認証停止」処分を受けており、二度目の今回は「取消」が妥当との意見もあるかとは思います。しかし警察の交通取り締まりならまだしも、業界のサービス向上をめざす団体の対応はそれとは違ってしかるべきではないのでしょうか。むしろ同機構の取り消し理由の第三点にある、2013年に起きたたかのBCの景品表示法に基づく行政処分時の認証の一旦取り消しとその処分取り下げ過程において、同社のコンプライアンス体制や経営姿勢に対する改善を確認せずに処分の取り下げをおこなった同機構の認証管理の甘さ事態こそ、今回非難されてしかるべきなのではないかと思うのです。

エステティック業界における、PRや労務管理を巡るコンプライアンス上の問題事例という点で、たかのBCの一件は氷山の一角に過ぎないと言われています。言ってみれば、たかのBCの不祥事は、エステ業界の体質をはからずも世に晒したものであるととも言え、業界のコンプライアンス体制を監理する認証団体は、この不祥事から逃げることなくむしろ業界体質改善の絶好期として捉えた積極的な対応が必要なのではないでしょうか。

ブラック企業問題は個別企業特有の事情に起因するある場合もありますが、その多くは業界特有のしきたりや風習に起因するものであるように思います。今回のような業界大手企業の不祥事発覚は、こういった業界特有のブラックの芽を摘む格好の機会であり、それを監理する立場の業界認証団体が「認証取消」という紋切り型の対応でこの問題に背を向けるなら、業界の改善は一向に進まないのです。何のための「認証」であるのか、今回の同機構の対応には疑問を投げかけざるを得ないのです。

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