日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

グリーン・アテンダントはコンプラ違反?

2007-11-09 | その他あれこれ
最近在来線のグリーン車に乗っていて思うこと。グリーン・アテンダントなる係員がいて、席を回ってきます。まぁ体(てい)のよい「車掌さん」ですね。別に特別なサービスをしてくれる訳ではありませんが、むさ苦しいオヤジの車掌が回るよりは断然気持ちがよいものです。今時のグリーン車向けサービスってことなんでしょうかね。

とまぁ、ここまではいいのですが、気になるのはその業務内容なんですね。
グリーン・アテンダントの主な業務は、なんと言ってもまず検札です。グリーン券を買ってない人が間違って(あるいは意図的に)紛れてないかチェックして回る、乗る前に買ってない人にはチケットを売ってあげる(これが最近、車内は乗る前に買うより250円高いんですね。グリーン・アテンダント接客料金?)などの車掌さんのお仕事です。

「東京までですね。グリーン席1名様で950円になります!」なんて他の席から聞こえる声を聞いていると、「なるほど、車掌さんがんばっとるね」と思うわけです。
と次の瞬間に、「お茶にお菓子はいかがですかぁ?」という同じ声の主。「うん?」と顔をそちらに向けると、「ハイ?」とにこやかな笑顔。お~間違いなく、この笑顔は売り娘スマイルでございます。車内移動キオスク。
そう、グリーン・アテンダントは車掌とキオスク一人二役なんですな。

企業も長い不況時代を経て、効率的な人材配置に知恵を絞っている訳です。ビジネス・ホテルの価格破壊屋である東横インでは、フロント・レディが朝飯のオニギリを握り、パーキングのオヤジがマッサージ師として登場したりします。
一人二役三役は当たり前の時代。余計な人件費をかけるなら、ひとりでできる限りの兼務をさせようという訳です。
元三公社の国鉄であるJR東日本も、それなりに考えた訳です。

ただ、問題点がひとつ。「対顧客検札」と「対顧客販売」は兼務してよいのか、というコンプライアンス上の懸念です。検札はいわば監査・管理業務、販売は営業・推進業務です。「グリーン・アテンダントのグリーン検札とお茶やお菓子の販売は兼務しても、お客に迷惑掛からないし全然問題ないんじゃない」と思われる方も多いかもしれません。
でも、極端なケースを考えれば、販売の成績で評価を上げたいと思ったグリーン・アテンダントが、「お茶やお菓子をたくさん買ってくれたらグリーン料金いりませんよ」という“反則営業”だってする可能がないとは言い切れないのです。

従って、コンプライアンス・オフィサーの立場から言えば、この兼務はノー。私がJR東日本の内部統制コンサルを担当するなら、「統制不備であり、要改善ですね」と指導します。

えっ?堅いこと言い過ぎ?
でも分かっていただきたいのは、「管理と営業の分離」の狙いは、「出来心を起こさせない環境づくり」にこそあります。、「出来心を起こさせない環境づくり」は、「営業の強化」や「サービスの拡充」をする際に、兼務による職責の拡大において最も気をつけなくてはいけない、大きなポイントです。コンプライアンスの精神の基本とも言える大切なことであると、認識して欲しいと思います。


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