日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

未曾有の大雪が明らかにした、自治体の自然災害対応意識の甘さ

2014-02-19 | その他あれこれ
大雪の影響で一部の市町村で孤立状態が続くなど、深刻な事態が今も続いています。今回の大雪ははからずも、各地域行政の自然災害に対する備えのなさと考えの甘さが予想以上に深刻であることを露呈することとなったように思っています。

私が住んでいる街熊谷では、観測史上最高の62センチという積雪を記録。街のあちこちでは大量の雪が今も残り、一部の道路では凍結による夜間の歩行はもちろん日中の車の通行もままならない状況が続いています。市民の皆さんの間では、行政の初動の遅れや手際の悪さを指摘する声が盛んに上がっており、フェイスブックにも地元の方々から「行政の積極的な除雪作業にはお目にかかってない」「熊谷市は終わっています。今回本当に痛感」などの声が多数寄せられています。

近隣市町村が15日の段階ですでに積極的な除雪作業をおこない、主要幹線道路の安全を確保していたのに対して、熊谷市は16日の午後になってようやく駅前ロータリーの除雪に着手。その後一部道路の除雪は行っている模様ではあるものの、駅前モール前道路すら今だに雪だらけの状況にあります。事態の重要性を勘案して私は熊谷市に、自然災害リスク管理に関する対応の検証をすべく、15日以降の除雪状況の詳細と計画および熊谷市の自然災害時コンティンジェンシー・プランのHP上での開示を求めましたが、昨日の管理職からの電話では初動の遅れは認めつつも一方的な言い訳を聞かされるのみで、その後も一向に有効な情報の開示がなされていません。
※除雪に関する熊谷市HP上の情報は、「17日現在、本市で管理する主要幹線道路、JR熊谷駅及び籠原駅周辺の除雪は、ほぼ完了しました。現在、除雪可能な重機を保有されている市内31事業所等で集落と集落を結ぶ道路、生活道路などの除雪を実施しております」のみで、時系列および進捗の開示は再三求めても初動の遅れを隠すためか一切開示されていません。

たまたま身近なところで問題事象に出くわしたので熊谷市の対応を取り上げましたが、今回の問題は熊谷市だけの問題ではありません。同じ埼玉県の秩父市ではさらに深刻な事態が発生していました。大雪での住民の孤立救済を求め、秩父市長が15日以降県に自衛隊の災害派遣要請を再三したにもかかわらず、県は「市街地除雪のための派遣は難しい」などと断っていたというのです。この事態を問題視したマスコミの報道を受けて17日18時半、ようやく上田埼玉県知事は重い腰を上げ自衛隊への災害派遣要請を行ったと言います。
※秩父市長ブログより
自衛隊派遣を再三埼玉県へ要請しましたが、断られました。県からは、緊急の場合はヘリ輸送で対応し、国・県道の除雪は埼玉県土整備事務所で行うとの回答でした。

これらの事象から分かることは、各自治体が災害時対応を甘く見ているということに他ならないということ。ことが雪だからなのでしょうか。いや決してそうではなく、災害というものが内包するリスクの大きさに対して、あまりにも軽く捉えすぎていることの証であると思っています。熊谷市のような災害発生時の1日という大きな初動の遅れは、不要な雪による交通事故、道路凍結によるスリップ事故や転倒事故の発生リスクを著しく高めます。埼玉県知事の2日という救助支援要請の遅れは孤立住民の精神的、肉体的ダメージを増長し、生命の危機さえも脅かしかねないリスクをも顕在化させるのです。

私が熊谷市に災害発生時のコンティンジェンシー・プランの開示を求めたのは、自治体の災害発生に対する意識の備えがどうなっているのかについて、我々市民は当然知る権利があるからで、またそのプラン通りに今回の大雪に対してしっかり対応がなされたのか検証する権利も持ち合わせていると考えるからです。まさか、今の時代に災害発生時のコンティンジェンシー・プランを持たない自治体はないとは思いますが、こういった有事における問題発生時にこそ、次なる大災害に備え被災者たる市民の目を入れてのプランの検証と見直しが有効になると思うのです。

自然災害対応の問題は東日本大震災を見てもわかるように、「想定外」の事態はいつでも起こり得るのであり、「想定内」を前提としたものではない災害対応策をそれぞれの自治体と市民が力を併せて真剣に考えていく必要があります。失敗は失敗として開示されず隠蔽されたままでは、改善は一向に進まないのです。私は、埼玉県、熊谷市の住民として、よりよい災害対応策の実現に向けて、引き続きこの問題に関する情報の全面開示を求めていきたいと思います。

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