-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

カンジキ作り(続編1)とイタヤカエデ材

2013-10-29 17:38:16 | 民具

 カンジキには、爪(つめ)があります。爪と言うのは、左右のカンジキの両脇に付いている滑り止めのことです。傾斜がある雪の上は、滑ります。畑沢のように山や急坂の多い地域には、絶対的に必要な装置です。今は、冬季に山に登ることがなくなりましたが、昔は炭焼きや薪の運搬を冬季に行っていましたので、カンジキを履いて山へ出かけることが多かったようです。茅葺屋根だった時代には、雪下ろしのためにカンジキを履くことがありました。屋根の傾斜は45度です。かなり急な斜面です。雪下ろしは屋根の最上部から順次、下の方に向かって作業を進めましたので、最初は何としても上に登らなければなりません。その時にカンジキを履きました。これが「正しい屋根の雪降し」でした。ところが、スビタレは違いました。下から順次、上の方に向かって作業を進めました。上から作業する方法は、雪を降ろす時にスコップの雪を一旦、持ち上げなければなりません。スビタレは、それを非合理的な骨折り損のくたびれもうけと決めつけていました。スビタレは持ち上げないで、ただ下に向かって雪を押し込むだけです。当然、雪下ろしの速度は早く、体力の消耗も少なくて済みます。ん?それで大丈夫かなとお思いになる方がいらっしゃると思います。スビタレのやり方では、下に雪が貯まってしまうと心配でしょう。そこは、スビタレ流の工夫があります。プラスティックのナマコ板と言うのがあります。スビタレは事前にこれを雪が落ちてくる位置にスライダーとして敷いておきます。雪は勝手に低い所に滑っていくことになります。

 本題に戻ります。カンジキの爪は、平地の場合は必要ありませんが、畑沢のような急斜面で使用するものには大きなものが必要です。雪も柔らかい時だけではありません。3月ともなると固くなってきます。いわば、登山で言うところのアイゼンの役割も果たせなければなりません。当然、爪の材料は堅い木でなくてはなりません。一般に堅い木と言うと、樫の木ですが、雪国に樫は生えていません。畑沢で最も堅い木は、イタヤカエデと言うカエデの仲間です。

 私の家には、父がイタヤカエデ材をブロックにして保存してあります。半世紀も前から保存されたものです。工作に使えるイタヤカエデは多くありませんので、薪炭材を切り出した際に見つけたものを大事に保存していたようです。今回のカンジキ製作でもイタヤカエデを使うことにしました。最初は軽い気持ちで取り掛かったのですが、堅さを忘れていました。鋸で横に切ろうとしても、なかなか進みません。樫を切ったことがありますが、それよりもずっとイタヤカエデは堅い感じがします。次に鉈で縦に割るのですが、今度は鉈の刃がイタヤカエデになかなか食い込みません。さんざん苦労して、やっと爪の原型ができましたが、疲れ果ててしまいました。この日の作業はこれで終了です。


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