温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

お寝坊さんのための 中伊豆 渋い風情の掛け流し温泉はしご日帰りツアー

2011年10月08日 | 静岡県
●ここで紹介するデータは2011年10月現在のものです。

 交通機関の時刻や各温泉の営業時間などが変わっている可能性がありますので、その都度ご確認ください。


伊豆は「観光地化されている」「秘湯感がない」「料金が高い」「循環の温泉ばかり」「東京圏からの距離が中途半端」等々の理由により、あまり温泉ファンの関心が及びにくい場所ですが、探せば渋い風情の掛け流し温泉浴場がかなり存在しており、巡り方によっては、いままで伊豆に抱いていた固定概念を見事に覆してくれる、旅情溢れる景色を堪能することができます。
しかも、伊豆の渋い温泉浴場、特に共同浴場は、えてして午後から営業する施設が多く、これゆえ、ちょっと寝坊しても日帰りで湯めぐりすることができるのです。温泉をハシゴするからと言って、早起きしないで、いつも通りの起床で全く構いません。
そこで私は以下のようなプランを考えてみました。
私は自宅最寄り駅が小田急線・新百合ヶ丘なので、伊豆へのアクセスに小田急線をしましたが、プランを他の方々にも活用していただくべく、小田急新宿発の時刻も併記いたします。


●立案

【注意! 土日祝ダイヤです】

(新宿9:30)→町田10:00→【小田急ロマンスカーはこね11号】→小田原10:40/10:46→【東海道線伊東線直通(普通)・伊東行】→伊東11:35/11:40→【東海バス・修善寺駅行】→下尾野口12:13

 (1)冷川温泉 ごぜんの湯

下尾野口14:03→【東海バス・修善寺駅行】→白岩14:16

 (2)白岩温泉 小川温泉共同浴場
 (3)白岩温泉 民宿越後21
 (代替案:雨月庵)


白岩16:28→【東海バス・修善寺駅行】→修善寺 16:36/16:51→【伊豆箱根鉄道駿豆線(普通)・三島行】→伊豆長岡17:06

 (4)韮山温泉 韮山温泉館

伊豆長岡駅18:00→【伊豆箱根バス・沼津駅行】→温泉駅18:06

 (5)長岡温泉 長岡南浴場

温泉駅19:06→【伊豆箱根バス・伊豆長岡駅行】→伊豆長岡19:12/19:28→【伊豆箱根鉄道駿豆線(普通)・三島行】→三島19:49/20:00→【東海道線(普通)・熱海行】→熱海20:14/20:18→【東海道線(普通)・東京行】→小田原20:39/20:50→小田急ロマンスカーはこね50号】→町田21:49→(新宿22:19)

 小田急電鉄
 東海バス
 伊豆箱根バス


gooブログはGoogle mapの埋め込みができないので、スクリーンショットを貼りつけておきます。画像をクリックしたらGoogle mapへリンクします)

私が公共交通機関を使って湯めぐりする際は、以下のような条件に基づいて行動しています。上記のプランをその条件に照らし合わせると…

(1)本数の少ない路線バスや鉄道路線を利用する。
(2)いくつかの離れた温泉地をはしごする。つまり2か所以上の温泉地を巡る
(3)目的遂行のため、事前に綿密なプランを立案する

事前にプランニングしているので条件(3)はクリア。また、この案では4か所の温泉地、5つの浴場を巡るので条件(2)もOK。残る条件(1)についてですが、東京圏→伊東と、修善寺以降は列車も路線バスも頻発しているので本数は全く気にする必要が無いのですが、伊東→修善寺の路線バスが1日6便しかなく、うち4便は朝夕なので、昼間使えるのは実質2便しかありません。従って十分(1)の条件に該当するものと思われます。つまり、このバスを上手く乗り継げるかが、計画の行方を大きく左右します。伊東と修善寺なんて、車ならば当たり前のようにみなさん通り抜けていますが、路線バスで移動しようとすると、たった6便しかないんですね。かなり不便です。

なお、このルートですと、「中伊豆フリーパス」「伊豆ドリームパス」などのフリー乗車券類は使えません。僅か一日6便しかない路線に適用されるようなフリーパスなんて無いんですね。従いまして、路線バスの支払いで困らないよう、事前に小銭を用意しておきましょう。
はたしてこの計画通りに無事巡って、湯めぐりを遂行することができるでしょうか。


●実践

【(9:00 新宿 ロマンスカーはこね11号発車)】
【10:00 町田 ロマンスカーはこね11号に乗車】

町田を定時に出発。車両はHiSE。早々にやってきた車販のお姉さんからコーヒーとアイスを購入。折り畳み式の長いテーブルはSEから続くロマンスカー伝統のものだが、EXE以降は採用されておらず、いずれは過去帳入りしてしまうのだろう。

 
【10:40 小田原到着】
定時に小田原着。

【10:52(定時10:46) 小田原 東海道線不通に乗車】
乗り換え時間は6分しかないので、急いでJRの改札へ向かうと、これから乗りたい10:46発の普通伊東行は6分遅延しているとのこと。この先の伊東でのバス乗継時間は5分しかないから、もしこのままの遅延が続けば、タッチの差でバスに乗れないこととなる。温泉に入る前からいきなり躓いてしまうのか…。心配で心臓の鼓動が止まらず、代替案などを考えていたら、すっかり途中の写真を撮るのを忘れてしまう。

【11:39 伊東着】
【11:40 伊東駅から修善寺行のバスに乗車】

しかし熱海での停車時間を短くしてくれたお蔭で遅延は若干回復し、結果的に4分遅れで伊東に到着。構内をダッシュして、修善寺行のバスへ乗り込む。わずか1分でギリギリ乗り継げた。このバスを逃すと、2時間後までバスは無い。


乗客が少ないバス車内。これでは本数も削減されてしまうはずだ。バスは私が伊東~修善寺を抜ける際に通るバイパスではなく、すれ違いができないクネクネの山道を進んでゆく。ドMではないかと思いたくなるほど、狭く険しい道へわざわざ車体を突っ込んでゆくのだが、路線バスは昔からの集落を結んでいるため、あえて在地の狭い道を通るようにルートが設定されているのだ。
しかし冷川峠は数日前に発生した豪雨被害のため通行止め。このためバスは中伊豆バイパスを大きく迂回し、峠周辺のバス停は利用できない状態なのだが、幸いにして私が降車したい下尾野口から元のルートに戻るとのこと。ここまで綱渡りの連続だ。

 
【12:13 下尾野口】
迂回したため10分ほど遅れて到着。バス停の前に「ごせんの湯」の看板が立っている。


東京から至近とは思えない、非常に長閑な在地の田園風景。車で通りすぎると、こんな光景を見逃してしまいがちだが、路線バスで訪れることにより、新たな情景を再発見することができ、より旅情が深まる。

 
【12:16~13:30 冷川温泉「ごぜんの湯」 入浴】
バス停から徒歩2分くらいで到着。
お風呂の様子やデータの委細については、当ブログの記事をご参照ください。
ここは土休日なら11:00から営業が始まるのだが、平日だと14:00なので、上記のバスに乗ってもすぐには入浴できず時間を持て余すだけ。営業時間をよく調べないといけない。





 
バスの時間30分前ぐらいに「ごぜんの湯」から出る。湯上りに、稲刈りの終わった田んぼのあぜ道に座って、あらかじめ買っておいたコンビニのおにぎりを頬張る。田んぼには川のせせらぎだけが響く。路傍やあぜ道に咲くコスモスやヒガンバナが可憐。時間の流れがとっても緩慢だ。実に長閑だ…。伊豆に来ているとは思えない。

 
【14:15(定時14:03) 下尾野口 修善寺行バスに乗車】
迂回してきたため10分ほど遅れてバスが到着。ここでバスに乗れないと、夕方までひたすら待ちぼうけをくらうことになり、以降の湯めぐりもほとんど不可能。従って、このバスに乗れるか否かが、運命の分かれ道、スイッチ連動を左右する重要ポイントである。


乗客は私の他、お婆さんがひとりだけ。

 
【14:26(定時14:16) 白岩 バス降車】
バス停から大見川沿いに集まる白岩の集落へ向かって坂を下ってゆく。


文字が欠けたままの無残な姿を晒す白岩温泉の歓迎看板。温泉地自体が廃れてしまったかのような印象を受ける。

 
【14:32 小川温泉共同浴場 入浴】
バス停から徒歩5~6分。まずはオープン時間を迎えたばかりの小川温泉共同浴場へ(訪問時のレポートはこちら





 
【15:15頃 民宿越後21 玉砕】
つづいて川の対岸にある「民宿越後21」へ。しかし、玄関のドアは開いているものの、中は真っ暗で、誰一人としている気配がない。ニャンコが玄関前で蹲って、私を通せんぼしようとする。もしやと思って、一旦外に出て電話をかけてみると、どこかへ転送されたうえでお婆さんが出て「廃業しました」とのこと。日帰り入浴を断られることは覚悟していたが、まさか廃業していたとは…。入浴のみの客を断りたいための、その場凌ぎの嘘であると信じたい。


まさか廃業とは思わなかったが、いずれにせよここで入浴できないことは、ある程度想定していたので、仕方がないので対岸の山道を登って、次点候補である「雨月庵」へ向かう。次のバスまで時間が余っているし、なんとしてでも温泉ハシゴを連続させたい。


川や集落が見晴らせる高さまで登る。小川温泉共同浴場から5分程。

 
【15:20頃 白岩荘 入浴】
実は「雨月庵」も、いきなり行ってもお風呂の準備ができていない等の理由で入浴を断られることが多いと聞いており、正直なところ賭けに出ていたのであるが、目的地の手前で「入浴休憩できます 源泉100%掛け流し」という看板を見つけたので、確実に入浴できるのならばこちらの方が良いと判断して、急遽予定を変更してその看板を出していた「白岩荘」にお邪魔した。
(訪問時のレポートはこちら






【16:28 白岩バス停 修善寺行バスに乗車】
「白岩荘」から谷を横断して一気に白岩バス停へ戻る。そして計画通りにバスへ乗車。このバスは定時運行していた。ボディの塗装が箱根登山バスカラーなので、ちょっとビックリ。東海バスも箱根登山と同じく小田急グループなんだな。

 
【16:36 修善寺駅】
修善寺以降は列車もバスも本数が多いので、もうここまで来れば、今回の旅程の完遂は保障されたようなものだ。


イズッパコはいつのまにか、こんな綺麗な駅名標になっていた。

 
【16:51 修善寺発 普通・三島行乗車】
車両は元西武101系。伊豆というより、西武池袋線に乗っているような錯覚に陥る。

 
【17:06 伊豆長岡駅】
駅前には北島サブちゃんの演歌を大音量でスピーカーから流していた軽自動車が駐車していた。田舎だなぁ。

 
【17:10 韮山温泉館 入浴】
駅から歩いて3~4分の韮山温泉館へ。ここは夕方からの営業なので、昼に行っても意味が無い。お客さんは地元の常連ばかり。完全アウェイ。
(訪問時のレポートはこちら






【18:00 伊豆長岡駅から伊豆箱根バスの沼津駅行に乗車】
一旦駅に戻って、バスに乗車。駅から長岡温泉まではバスがコンスタントに運転されているので、ここは時刻を気にしなくて済む。ちょっとぐらい乗り遅れても問題ない。
正直なところ、風呂に立て続けに入っているため、軽く頭が痛い。体力虚脱ぎみ。ややフラフラしているが、気合を入れて最後の温泉へ。


【18:06 温泉駅】
日曜夜の伊豆長岡温泉。人がいない。バス停に待機しているタクシーの運ちゃん達がとっても暇そう。静かすぎてあまりに寂しい。

 
【18:07 南浴場 入浴】
バス停の斜め前にあるセブンイレブンの駐車場を斜めに横切って南浴場へ。
あれれ!? 南浴場ってこんな姿になっていたの!? あまりの変貌ぶりにびっくり。

 
昔と違って、観光客に媚びてるような雰囲気だ。でも使い勝手は良好だし、ドライヤーやロッカーがあるのが旅行者には便利。温泉に入りすぎて髪が跳ね上がっちゃっている私にとっても、身支度を整えて帰るには都合が良い。ここをラストの訪問地に設定して正解。
(訪問時のレポートはこちら





 
【19:06 (長岡)温泉駅よりバスに乗車】
タイミングが合えばここから沼津へバスで直通できるが、今回はおとなしく伊豆長岡駅へ戻る。

 
駅の構内に入って電車を待つ。


【19:28 伊豆長岡駅発 普通・三島行乗車】
やって来た車両は7000系。地方私鉄とは思えないスタイリッシュで居住性のよい車両。


【19:49 三島着】
三島につきました。この時間なら、関東圏への帰宅は余裕。新幹線を使えば、中京圏はもちろん、新大阪行最終のこだま(20:26発)への接続も楽勝です。

 
JRの駅前には三島ならではの湧水モニュメント。当初は11分後(20:00発)の熱海行普通に乗り継ぐつもりだったが、不意の便意に襲われ、タッチの差で予定の列車には乗れず。


窓口にて小田急への連絡乗車券を購入。マルス発券。

 
【20:23 三島駅発 普通・熱海行乗車】
次の列車まで20分近く間隔があったので、トイレで下から出した直後だというのに、立ち食いそば屋に入って上の口から肉そばを啜る。そして予定より1本遅い列車に乗る。

 
【20:37 / 20:41 熱海駅 普通・東京行に乗り継ぎ】
東京行は211系。(行先表示)幕車はおろか、国鉄フォントもいずれ見られなくなるのだろう。


【21:02 小田原着】
往路はこの駅で僅か5~6分の遅延でオロオロしていたが、さすがにこの時間では正常運転に戻っていた。定時に到着。

 
【21:35 小田原発 小田急ロマンスカーさがみ96号乗車】
小田原駅ビル内のエクセルシオールでコーヒーを飲みながら30分ほど時間をつぶし、最終のロマンスカーで帰宅の途に就く。

【22:26 新百合ヶ丘着(新宿着22:49)】

伊東での1分の乗り継ぎには緊張しました。白岩では予想外の事態(廃業)にオロオロしました。そして終盤でちょっと予定から逸れた箇所もありました。でもなんだかんだで大方計画通りに辿ることができ、無事戻ってこられました。訪問した温泉数も予定通りです。


●勘定

小田急 乗車券 新百合ヶ丘→小田原:610円
小田急 特急券 町田→小田原:600円
JR 乗車券 小田原→伊東:650円
東海バス 伊東駅→下尾野口:690円
東海バス 下尾野口→白岩:390円
東海バス 白岩→修善寺駅:240円
伊豆箱根鉄道 修善寺→伊豆長岡:270円
伊豆箱根バス 伊豆長岡駅→温泉駅(往復):340円
伊豆箱根鉄道 伊豆長岡→三島:320円
JR 乗車券 三島→小田原:650円
小田急 乗車券 小田原→新百合ヶ丘:610円
小田急 特急券 小田原→新百合ヶ丘:600円

ごぜんの湯:525円
小川温泉共同浴場:200円
白岩荘:300円
韮山温泉館:250円
長岡南浴場:300円

合 計 :7,545円
(食費・飲料費は含まず)
(新宿発着の場合は+1,020円(特急券含む))

車で行った方が安上がりかも…。それを言ってはオシマイなのですが、このお値段をどう捉えるかは皆さん次第です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 不便なバスや列車を乗り継い... | トップ | 鳥取の温泉を列車と路線バス... »

コメントを投稿