温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

砂浜の垂れ流し温泉@梅雨時の下越地方某所

2014年07月13日 | 新潟県
ここ数年、温泉ブロガーさんによって密かにフューチャーされている垂れ流しの温泉が下越地方の某所にあるので、私もその尻馬に乗ってみることにしました。


 
このエリアでは海岸線に沿った約5kmの範囲内に19の温泉井があり、うち何らかの目的に使用されているのは9、未使用は10となっています。温泉なのに「何らかの目的」と書いたのには理由があって、一般的に温泉を汲み上げるならば浴用も用いるのが一般的ですが、このエリアの温泉は水溶性天然ガスやヨウ素を多く含む「かん水」として存在しており、汲み上げられた「かん水」は工場でガスとヨウ素が回収された後、温度が高いものに関しては付近の温泉施設へ供給されています。上画像は1号おとび2号とナンバリングされている源泉で、私が入手した2011年作成の資料によれば、1号井では79.5℃のかん水が毎分771L、2号井では74℃のかん水が毎分667L動力揚湯されていますが、1号井は成分の関係で現在では工場での生産に用いられておらず、2号井のみが工場へ引きこまれて、ガスとヨウ素を回収してから、毎分76Lのお湯がこの井戸のすぐ近所にある健康増進施設へ供給されています。

まずは、その2つの源泉施設を左に見ながら、路地を進んで日本海の砂浜へ出ます。


 
だだっ広い砂浜は、夏になれば海水浴客で賑わうのでしょうけど、私が訪れたのは梅雨の只中で、まだ海水温が低いために、砂浜には人っ子一人いませんでした。この浜に立って東の方角を眺めると、遠くにはデカい親鸞像がそびえ立っていますが、この親鸞さんの真下には一部の温泉マニアに有名な温泉浴場があり、私も以前拙ブログでその独特なお湯を取り上げたことがあります。マニア受けするこの温泉浴場にも天然ガスやヨウ素を抜き取った後の「かん水」が供給されており、その源泉は3号井(80℃、549L/min)と4号井(60.7℃、556L/min)で、うち110L/minが親鸞さんの温泉施設へ配給されています。



沖合には日本で唯一稼働している海上の油ガス田が見えました。



このエリアは一大エネルギー供給地となっており、天然ガスや石油のみならず、海岸沿いには余多の風力発電設備が建設され、この日も海風を受けてブレードをグルグル回していました。私はその下に伸びる砂浜をひたすら歩くのですが、砂だから足が潜って歩きにくく、しかも一年で最も紫外線が強いシーズンの直射日光が容赦なく私に直撃し、わずか数百メートルの移動なのにヘトヘトになってしまいました。


 
砂浜を歩き始めてから約12分で、やっと目的地に到着です。砂浜に突き出たコンクリの構造物からは褐色を帯びた水が大量に吐出されており・・・


 
その吐出口直下で褐色の水に温度計を突っ込むと、50.6℃という高温のお湯であることがわかります。しかもこの周りにはアブラ臭やヨード臭がプンプン漂っており、お湯を舐めてみると非常にしょっぱいのです。これこそ、工場でガスやヨウ素が抜き取られた後の高温の「かん水」なんですね。上述のように一部は温泉施設へ2次利用されているものの、それだけでは受け皿が足りず、多くがこのように海へ放流されているわけです。


 
放出された「かん水」は海と並行に流れた後・・・


 
海へ流れ込みます。言わずもがなですが、私は単に見学するだけでなく、このかん水に湯浴みすることを目論んで当地へやってきました。吐出口付近では50℃という熱さゆえに入れず、そこから下流へ行けば多少は温度が下がって入浴に適した温度になるだろうと思ったのですが、なぜか容易には冷めてくれず、海へ流れ込む直前でも47.7℃というかなりの高温がキープされていました。この温度でもかなり熱くて入りにくいですよね…。


 
褐色のお湯が海へ合流する場所では、こちらへ打ち寄せる波がお湯によって褐色に色づいています。それだけ温泉の流入量が多いんです。


 
お湯の合流地点などいろんなところで試してみたのですが、波が打ち寄せるライン上が最も良い温度だったので、ここで水着に着替えて入浴することにしました。まだ6月の日本海は海水温度が冷たいのですが、この合流地点だけは波が温かく、波を頭から被っても全然冷たくないのが不思議です。絶えず波を被るので落ち着いて湯浴みできるような状況ではありませんが、それでも湯加減はちょうどよく、なかなか気持ち良いのです。この温泉のおかげで世間様より早い時期に、渺茫たる大海原を独り占めしながら海水浴してしまいました。

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4 コメント

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黄金温泉 (ihiro)
2014-07-13 21:01:24
ニセコの黄金温泉を検索中にK-Iさんのブログに辿り着きました。北海道への一人旅デビューしようかとこれからもちょくちょく参考にさせて頂こうと思います。
女性一人でも入浴できる温泉は沢山あるのでしょうか?
今までは数人の女子と温泉旅行しか行ったことがなかったのでこれからは一人旅として温泉に行こうと思います。
Unknown (K-I)
2014-07-14 00:16:24
ihiroさん、はじめまして。
北海道へ一人旅なさるんですね。夏にお出かけになるんですか。夏の北海道は、気候が爽快だし味覚も充実しているし、最高ですね。

>女性一人でも入浴できる温泉は沢山あるのでしょうか?
たーーーくさんありますよ♪
とはいえ、私がブログで取り上げている温泉はマニアックな温泉が多いので、鄙びた風情に慣れていないとメンタル的に厳しいところもあるのですが、ホテルやリゾート施設の温泉を日帰り利用すれば、清潔で設備が充実しており、露天風呂も楽しめる傾向にあるかと思います。北海道は老若男女を問わず一人旅する人が多いので、温泉のみならずどんなところでも気兼ねなく訪れることができるかと思います(^^)

ご旅行なさる方面をお伝えくだされば、その中からいくつか具体的にご紹介しますので、お気軽にお問い合わせくださいね。

ちなみに「黄金温泉」は、露天は景色が素晴らしいのですが、混浴ですので、目隠し代わりの岩はありますが、慣れていないとちょっと厳しいかもしれませんね(でも景色の良さにつられて露天に入る女性も多いんですけどね)。
ありがとうございます (ihiro)
2014-07-14 00:34:59
黄金温泉は混浴といっても略、男女が分かれているように見受けましたがそうではないのですか?
女性一人混浴は流石に・・・^^;
時期はまだ決まっておりませんが女満別空港こからレンタカーで網走方面へ行こうと思っています。その後十勝経由で千歳空港へ戻りたいです。
温泉に限らずおススメなど教えて頂けると幸いです。
もしよろしければメールで知らせて頂きたいのですが。
Unknown (K-I)
2014-07-14 01:03:08
>ihiroさん
黄金温泉の露天(露天)はU字型をしており、手前側にいるのでしたら男女間を仕切る岩が目隠しになってくれるのですが、先の方(Uのカーブの部分)は完全につながってますので、もし男性が意図的にこのカーブの部分まで来たら…(以下略)。こんな感じですので、黄金温泉はカップル向きかもしれませんね。

女満別から網走方面へ向かい、十勝経由で千歳ですか。釧路経由か阿寒湖経由かで距離が異なってきますが、結構なロングドライブになりそうですね。でも風光明媚な道東は、旅するには最高ですね。
メールご希望とのことですので、まずは私のメアドへご送信ください。以下の通りです。
syriver2★hotmail.com (★を@に変えてくださいね)
追って返信させていただきます。

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