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5月のうららかな陽気のもと、川面を煌めかせる川内川を遡る形で、鹿児島県伊佐市の東部へとクルマを走らせます。
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目的地である湯之尾温泉の「民宿ガラッパ荘」に到着です。ガラッパとはご当地の言葉でカッパのことなんだそうです。付近にはガラッパ公園と称する施設もありますから、カッパと縁が深い土地なんですね。
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今回は宿泊ではなく、立ち寄り入浴での利用です。玄関入って右手に帳場があり、そのカウンターに料金入れが置かれていました。この時は無人でしたが、セルフで湯銭を納めるようです。お風呂はワンコインの100円で利用できる男女別の内湯と、貸切で利用する500円の家族湯があるようですが、今回は前者のみの利用です。
●内湯
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帳場の先にある階段を1フロア下り、暖簾をくぐり脱衣室へ。正直なところかなり草臥れた建物であり、随所からB級感が漂っているのですが・・・
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脱衣室内には人生訓や老人の生き甲斐に関する言葉など、メッセージ性の強い文言がたくさん張り出されており、これが余計にB級感を強くしていました。同じく室内に掲示されている張り紙によれば、500円の貸切風呂(家族湯)は露天風呂であり、施錠されているとのこと。
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川に面した浴室は、まるで古い学校の教室に浴槽を据え付けただけのような、渋くて実用的な造りなのですが、窓から陽光が降り注いでいるため、くすんでいながらもまずまずの明るさが確保されていました。足元はタイル敷きなのですが、後述するように温泉の影響で石灰華のこびりつきが著しく、お湯が触れる部分は千枚田のような凸凹やサンゴ礁のようなトゲトゲで覆われており、元々の色調が完全にわからなくなるほど濃いベージュ色に染まっていました。
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窓の外には河原が広がり、川内川が泰然と流れていました。この雄大な景色を眺めているだけでも心が癒されます。天気の良い日でしたら、窓を全開にすることにより、露天風呂さながらの開放感が得られるでしょう。
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古いお風呂だからか、洗い場にはシャワーなど無く、昔ながらのお湯と水の水栓ペアが2セット設けられているだけなのですが、このカランのコックを開けて出てきたのは熱い温泉のお湯でした。
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浴槽は2m×3.5mの長方形で、洗い場や床などと同じく浴槽縁にも石灰華がビッシリこびりついていますが、私の訪問時は槽内にコケらしき緑色のものが付着しており、ややヌメリもあって、いささかお手入れ不足が否めない状態でした。また槽内にはステップ代わりに1つの石材と2つのコンクリブロックが沈められているのですが、このブロックがちょっと不安定で、しかもヌメっているため、滑りやすくてヒヤヒヤしました。私の訪問したタイミングが悪かったのかな。
壁から突き出たパイプよりお湯が投入されており、縁の切り欠けからオーバーフローさせています。湯使いは完全放流式でしょう。お湯は薄っすら山吹色を帯びた笹濁りですが、槽内に生えるコケのために若干緑色を呈しているようにも見えます。お湯を口に含むとほんのりとした塩味のほか、石膏感をはじめとする土類の味、微かな金気味、そして清涼感を伴うほろ苦みが感じられました。また湯面からは土類泉らしい匂いもわずかながら放たれていました。浴室中を石灰華だらけにしているお湯だけあり、入浴中はキシキシ引っかかる浴感があるとともに、湯中ではしっとりとしたフィーリングと力強い温まりに包まれ、湯上がりにはしっかり火照って、温浴効果がいつまでも続きました。
●宿泊者専用露天風呂
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この「民宿ガラッパ荘」は温泉ファンの間で全国的に有名であり、拙ブログをご覧の方にもご存知の方がいらっしゃるかと思いますが、知名度を全国区たらしめているのは、鯉のぼりのシーズンに目にできる名物の露天風呂であります。私が訪れた2015年の時点で、この露天風呂は宿泊者専用となっていましたので、入浴のみ利用の私はお店の方に許可をもらって見学させていただくことにしました。川の両岸に渡されたロープに約250匹の鯉のぼりが括り付けられ、湯之尾滝の水しぶきを浴びながら皐月の風に乱舞していました。1984年から続く恒例行事なんだそうですが、鯉の大群が悠然と泳ぐその景色は壮観そのもの。圧巻です。
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露天風呂がある河原へ降りてゆく階段のそばには、ベージュ色の石灰華で覆われた円筒形の温泉設備が立っていました。館内に温泉分析表が見当たらなかったので詳しいことはわかりませんが、どうやらこのお宿においては、菱刈鉱山から湯之尾温泉の各施設へ配湯されている混合泉のほか、自家源泉もブレンドさせているらしく、となれば、この円筒は自家源泉に関係する設備なのかもしれません。
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露天風呂は滝下の河原に設けられており、目の前で落ちる大迫力の湯之尾滝は滝飛沫で辺りを白く煙らせながら、露天風呂の傍に立つ私の臓腑を揺らすほど重い瀑声を轟かせていました。そして露天風呂の真上には数多の鯉のぼりが悠然と大空を泳いでいました。
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この露天風呂の一部にはスノコが敷かれて洗い場になっているほか、すぐ脇を流れる用水路の真上に足場が渡されており、その上が脱衣小屋になっていました。でも万が一この足場が外れたら、用水路の奔流に飲み込まれそうでちょっと怖い…。この温泉には本当にカッパが棲んでいるんじゃないかしら。
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広い浴槽にパイプから温泉が注がれており、そのお湯は内湯と同じものかと思われます。でも吹きさらしの環境だからか、正直なところ、潔癖な人にはおすすめできそうない状況だったように見えました。いや、多少の不純物なんて気にしない、開放的な環境のもとで鯉のぼりを仰ぎながら湯浴みをしたいという方には最高のロケーションですね。
鯉のぼりは毎年5月中旬まで実施されており、おそらく今年も催されるはずですので、当地を訪れる予定がありましたら、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
温泉分析表見当たらず
鹿児島県伊佐市菱刈川北2713-11 地図
0995-26-2696
日帰り入浴時間は現地へお問い合わせください
100円
備品類なし
私の好み:★★
私は ここ5000円で1泊2食しました。
食事も温泉もGOODでそれプラス景観(ロケーション)の恐ろしくいい場所にありますよね・・
5月だと こいのぼりが あの沢?滝?川?を渡るのですね・・これまた いいですね・・
私がガラッパに泊まった日のことURLに入れてます。
それから吹上温泉の中島旅館もみどり荘も行きましたよ。もしかして逍遥さんも「まっとうな温泉」入湯ですか?吹上・・
こちらのお宿にもお泊りになったことがあるんですね。さすが九州の温泉をよくご存知でいらっしゃいます。できれば鯉のぼりの下の露天風呂に入ってみたかったのですが、訪問時は宿泊者専用でしたので、残念ながら見学のみとなりました。
>「まっとうな温泉」
存在は存じ上げておりますが、その書籍を含め、雑誌や書籍に付属しているクーポンで入湯したことは殆どありません。良し悪しの話ではなく、あくまで私の個人的で頑迷な信条にすぎないのですが、クーポン類を使用しなければ入浴できない場合を除いて、私は必ず現金で支払うようにしています。お風呂の維持管理には相当の費用を要しますから、温泉を愛する一介のファンとして、たとえ僅かな額でも施設維持に貢献できればという想いでおります。
毎晩、焼酎のお湯割りをいただきました。
きびなごの刺身は美味しくいただきましたが
晒クジラの酢味噌は難しく、今度は美味しくいただけるか
行ってみたいです。
いまから30年以上前の素敵な思い出ですね。おっしゃるように鹿児島のきびなごは美味しいですよね。個人的には九州のお宿でトビウオが出てくると喜んでしまいます。クジラはいまなかなか出回らないかもしれませんね。旅先でご当地の味覚に出会えた時ほど嬉しいことはありません。