温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

東鳴子温泉 いさぜん旅館 前編

2017年12月03日 | 宮城県
 
東鳴子温泉の有名なお宿「いさぜん旅館」。拙ブログで既に取り上げているものかと思いきや、意外にも未掲載でしたので、今回紹介させていただきます。半年前に一泊しましたので、その時の記録を前編と後編に分けて取り上げます。


●客室
 
お宿には2食付のプランが基本の旅館部と自炊がメインの廉価な湯治部があるのですが、爪で火を灯すような倹約生活を送っている私は、お手軽に宿泊できる湯治棟を利用し、素泊まりで一晩を過ごすことにしました。6畳の客室にはテレビやエアコンといった電化製品が用意されているほか、小さな台所も備え付けられており、ポット、炊飯器、冷蔵庫、ガスコンロ、流し台など、食材さえ準備すればすぐにでも料理できるような設備が整っています。


 
館内には共用の炊事場もあり、電子レンジやコイン式のガスコンロなどの他、料理で使う各種備品類が揃っていますので、コンビニ弁当を温めたい方や広い台所を使いたい方はこちらが良いでしょう。


 
宿泊客に提供されるフェイルタオルにご注目。トラの絵柄がプリントされていますが、このトラこそこちらのお宿を象徴する動物。といいますのも、ご主人が虎党であるため、館内は阪神タイガースグッズで溢れているのです。かく言う私もかつては熱狂的阪神ファンで、自分の部屋を阪神グッズで埋めていましたから、一般の方には独特で奇怪な感覚に思えるかもしれないこうした光景であっても、私にはごく自然なものとしてすんなり受け入れられてしまうのが何とも不思議です。


●鉄鉱泉と炭酸泉

さて、肝心のお風呂へと参りましょう。館内には、「鉄鉱泉」と「炭酸泉」が一緒になった浴室、「大浴場」、そして「中浴場」という3つのお風呂があり、それぞれに違うお湯が張られています。自家源泉を複数有するお宿ならではの贅沢な館内湯めぐりが可能なわけです。なお「鉄鉱泉」と「炭酸泉」は混浴ですが、「大浴場」と「中浴場」は男女入れ替え制です。
まずは「鉄鉱泉」と「炭酸泉」の浴室から入ることにしました。浴室案内に用いられている「ホーム」や「アウェイ」という言葉は、いかにもスポーツファンらしい表現ですね。浴室入口の暖簾では縦縞のユニホームを着たトラが投球していますよ。


 
骨董品クラスのマッサージチェアが置かれた脱衣室は昭和の香りが強く漂っており、壁にかかっている効能書きからも宿の歴史が伝わってきます。湯治宿はこのように年季が入っていないと、シックリきませんよね。


 
「鉄鉱泉」と「炭酸泉」のお風呂はひとつの浴室にそれぞれの浴槽が並んで据えられており、混浴で使われています。脱衣室には双方の名前が書かれた出入口が左右に分かれて設けられており、ドアの向こう側にはその名前の浴槽があるわけですが、いずれも後述する同じ浴室に出ますので、どちらのドアを開けても結果的には同じ空間に出られます。


 
ドアを開けてステップを数段下りたところに、二つの浴槽が並んでいます。奥の壁にはそれぞれの名前を記した看板が掲出されていました。


 
両浴槽を仕切る衝立の柱は、アール・デコを思わせるレトロな感じの豆タイル貼り。そんな仕切りを挟んで、2つの浴槽が隣り合わせに並んでいるのです。混浴ですが、少なくとも湯船に入っている間は、向こう側のお風呂を気にしなくて済みそうですね。



源泉が異なる二つの浴槽を有するこの混浴浴室において、洗い場は後述する右側の「鉄鉱泉」側に設けられており、シャワー付きカランが取り付けられていました。元々はカランなどなかったのでしょうけど、時代の流れやお客さんからのリクエストなどによって、後から追加されたのでしょう。


 
脱衣室から見て右側のひょうたんを半分に割ったような形状の浴槽は「鉄鉱泉」。浴槽のキャパは3人ほどでしょうか。自家源泉である「いさぜんの湯3号」に東鳴子温泉の共同源泉である「赤湯地区共同源泉混合泉をミックスさせたお湯が張られています。とはいえ共同源泉の量が多いため「いさぜんの湯3号」の存在感が薄まっているのはちょっと残念かもしれません。明るい飴色を帯びたお湯は若干熱めなのですが、よく掻き混ぜれば加水せずに入れるかと思います。鉄という名前から金気の強いお湯を想像しますが、実際には膏薬のような匂いと東鳴子らしい淡いアブラ臭が得られます。特にミックスされる前の「いさぜんの湯3号」はアブラ臭がはっきり主張しており、このお湯だけの浴槽があったら是非とも入ってみたいと期待してしまうほど面白いお湯です(でも湯量と温度の関係で共同源泉をブレンドせざるを得ないのでしょう)。


 
仕切りを挟んだ反対側の浴槽は「炭酸泉」。1.5m×1mの四角い浴槽で、キャパは2〜3人といったところでしょうか。こちらは全量が自家源泉であり、「いさぜんの湯1号」と「2号」をミックスし、投入量こそ控えめですがしっかりかけ流されています。紅茶のような色を帯びたお湯は40℃前後の長湯仕様。アブラ臭に近いモール臭が湯面からはっきりと漂い、お湯を口に含むとはっきりとした苦味が感じられます。そして湯船に浸かると全身がツルスベの滑らかな浴感に包まれます。匂いと浴感、そして湯加減、この三要素が私の心を掴んで離さず、個人的には館内に複数あるお風呂(お湯)の中で、この「炭酸泉」が最も気に入りました。

さて、次回記事では、時間によって男女を入れ替えている「大浴場」および「中浴場」を取り上げます。

次回に続く






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4 コメント

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懐かしの砂善旅館 (hitareri)
2017-12-04 10:22:36
お~懐かしの「いさぜん旅館」じゃないですか?
ここは、日帰り湯をいたしました。

風呂上がりにロビーにいくと、一足先に上がった野球好きの夫と、宿のご主人が、あり得んほどの意気投合ぶり?で野球談義に花を咲かせており、びっくりしました。
湯治風呂も充実してますね。
今から思うと、我々も一泊湯治部で泊まればよかったです。
お風呂の種類が多いので、泊まれば落ち着いて全部入れたでしょうにね!
今更ですが、残念でしかたがない。
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Unknown (K-I)
2017-12-06 21:34:42
>hitareriさん
後編にてまとめて返信させていただきます
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Unknown (国民温泉)
2018-02-20 08:48:40
K-Iさん、阪神ファンだったんですね!
「ひとぉつ直接かけふ!」とか「東海大学、裏口入学・・・」とか歌ってたんですか?w

今日こちらに泊まります。12時にチェックインするので、虎グッズやネコの写真でも撮ってまわろうと思います。
思えば4年前、来馬温泉風吹荘で真央ちゃんみてました。今年も、湯上りにビール飲みながら五輪見て至福のひとときを過ごそうと思います。

・・・忙しい方にあまりこんなこと書くと、秋保温泉のカランみたくイラっとされそうなので、これで失礼しますw
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Unknown (K-I)
2018-02-21 23:18:41
国民温泉さん、こんばんは。
いまは野球そのものをほとんど観なくなってしまいましたが、東京圏で生まれ育っているのに、かつては虎党(且つアンチG)でした。今でも六甲颪は諳で歌えますよ(笑)。
いさぜんさんにお泊りとのこと。オリンピックの中継を見ながら、館内のいろんなお風呂をお楽しみくださいね。
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