温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯浦温泉 ささ原温泉

2013年06月26日 | 熊本県
 
今回も湯浦温泉の公衆浴場を巡ります。豪農の母屋を思わせるこの2階建ての和風建築は「ささはら温泉」という民営の公衆浴場であります。画像左(上)は正面から、右(下)は裏手の川側から、それぞれ撮影したものです。建物の四方は駐車場となっているのですが、そんなに広くしてどうするのと首を傾げたくなるほど広いスペースが確保されていました。
玄関入ってすぐ右手に番台のカウンターがあり、愛想の良いおばちゃんに料金を直接支払って男湯へ。なお番台の前には2階へあがる階段があるのですが、そこを上がって何があるのかは不明(こちらの浴場に関してはネット上にレポートが多くアップされているので、もし2階に何があるのか知りたい方は、他のブロガーさんの素晴らしいレポートをご覧あれ)。


 
天井が高い浴室は広々しており、なかなかの開放感がありますが、至るところが草臥れていて建物の古さは隠せません。洗い場にはシャワー付き混合水栓が左右に分かれて計3基取り付けられているのですが、この浴場の利用客はカランをあまり使わないのか、私がお湯のコックを開けたらバフッという音とともにエアが吐き出され、その後しばらくはお湯ではなく水が出続けました(つまりお湯の配管はしばらく使われていなかったわけですね)。また洗い場には桶や腰掛けの他にバケツが2つも備え付けられており、後客のおじちゃん達はみなさんこのバケツで湯船のお湯を汲んでシャンプーや洗体をしていたのですが、お風呂でバケツを当たり前のように使う浴場というのも珍しいかと思います。


 
浴槽は14~5人同時に入浴できちゃいそうな大きなもので、槽内に貼られている水色のタイルのためにお湯がとても清らかに見えます。浴槽の隅っこに据えられている岩より突き出たパイプからお湯が供給されており、その投入量は多くて縁からふんだんにオーバーフローしています。


 
220円というリーズナブルな公衆浴場にもかかわらず露天風呂に入れるのがこの「ささ原温泉」の素晴らしいところ。和風の庭園の中に4~5人サイズの岩風呂が設けられており、最奥のホースよりお湯が投入されて、手前側のステップより排湯されています。外気に触れている影響なのか、内湯よりもややぬるめの、ゆっくり浸かれる湯加減でした。

さてお湯に関するインプレッションについて。見た目は無色澄明で清らかに澄んでいるのですが、脱衣室にて明示されているように塩素消毒が行われており、内湯・露天ともにお湯からは塩素の臭いがはっきりと嗅ぎ取れました。口に含んだら(飲んでいません)甘い塩味と一緒に妙な苦味が感じられたのですが、この不快味は薬品由来かも。また前回取り上げた「岩の湯」で感じられたタマゴ(イオウ)感はこちらではほとんど確認できず(イオウの痕跡のようなものは微かにあり)、泡付きも確かにあるものの「岩の湯」ほど夥しく付着することもありませんでした。館内表示によれば塩素消毒こそ実施されているものの、加温加水循環は行われておらず、上述のようにドバドバと浴槽へ注がれている源泉はしっかり放流式の湯使いになっているわけですが、源泉井の違いによるものなのか、あるいは塩素消毒のためか、同じ湯浦温泉でも浴場によってお湯の特徴にはかなり異なっているようです。
しかしながらお湯に体を沈めると柔らかいフィーリングに包まれ、且つ41℃くらいの温度に維持されているため、ついつい長湯したくなってしまいました。あれだけの投入量があれば浴槽内のお湯の鮮度は良好な状態が維持されるでしょうから、消毒しなくてもレジオネラ属菌や大腸菌の問題はクリアできそうですが、もしかしたらお役所がうるさいのかもしれませんね。



湯上りに帳場で挨拶すると、番台のおばちゃんが「最近飲泉許可をもらったんですよ」と言いながら、冷蔵庫で冷やした温泉水をコップに注いでくれました。おばちゃん曰く、温泉の汲みたては温泉臭(おそらくタマゴ臭)が気になるけれども、しばらく置いておけば臭いも抜けて飲みやすくなるとのこと。実際に飲んでみますと、口当たりがとてもまろやかで喉越しも良く、ゴクンと飲みきった瞬間に水がすぅーっと体へ吸収されてゆくような爽快感が全身を駆け巡りました。「あたしに言ってくれれば、そこからいくらでも汲んで行って良いですよ」とおばちゃんは玄関の方を指し示していたのですが、飲泉用の水栓って、玄関脇にあるのこの水栓かな? いずれにせよ、飲泉したときの爽快感から想像するに、やっぱり非消毒のお湯は素晴らしいだろうと思われます。この手のお湯は非常に繊細で、ちょっとした外的要因が与えられることでせっかくの特徴が忽ち雲散霧消してしまいますから、できるならば消毒されていないお湯に入ってみたいものです。


 
風呂あがりにクールダウンを兼ねて湯浦の街を散策。地区の真ん中を薩摩街道が貫いているのですが、その道標の片方には江戸と記されていました。江戸ですか!? ここからどれだけ遠いんでしょうか。
その薩摩街道を歩いているとやがて線路と沿うようになり、踏切の音が鳴ったかと思いきや1両のローカル列車が疾走していきました。新幹線のルートから外れている当地は、余程のことが無い限り、現状の鄙びた風情から脱却することはないでしょうね。


 
訪問時は端午の節句の一週間後だったのですが、湯浦川には鯉のぼりが悠然と泳いでいました。


ささ原温泉
単純温泉 43.1℃ pH8.1 216L/min(動力揚湯) 溶存物質0.54g/kg 成分総計0.54g/kg
Na+:73.6mg(78.24mval%), Ca++:10.3mg(12.47mval%),
157.2mg(52.92mval%), HCO3-:217.6mg(42.55mval%),
H2SiO3:50.8mg,
塩素系薬剤を投入(衛生管理を確実に行うため)

肥薩おれんじ鉄道・湯浦駅より徒歩9分(700m)  地図
熊本県葦北郡芦北町湯浦66-1
0966-86-2683

7:00~22:00 毎週木曜定休
220円
ロッカー(100円リターン式)あり、他備品類見当たらず

私の好み:★★

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