温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

富士見温泉 ゆーとろん水神の湯

2018年04月16日 | 長野県
 
2017年の秋、私は八ヶ岳を登って、雄大で美しい自然を満喫したのですが(本記事の後半にて触れます)、その下山後、登山の汗を流すために向かったのが「ゆーとろん水神の湯」です。中央道の諏訪南インターから南の方へ車を走らせた富士見町にある日帰り入浴温泉施設であり、食事処などが併設されているので、このエリアでひと息入れるには便利な施設といえそうです。


東西に分かれた浴場は男女入れ替え制となっており、私が訪れた日は、西側の浴場に男湯の暖簾がかかっていました。このため今回の記事は西側のお風呂について述べてまいります。また浴場内は混雑していたため、画像に関しては公式サイト内の画像を使わせていただきました。



脱衣室は手入れが行き届いていて、明るく綺麗です。窓からは、後述する露天風呂の様子がよく見えます。
こちらの施設は露天風呂に重きを置いているらしく、内湯は洗い場中心で至って実用的。手前側にシャワー付きカランが計10基設置されており、浴室の奥にタイル張りの四角い浴槽がひとつ据えられています。
こちらで使われている温泉の源泉温度は30℃に満たないため、多くの浴槽で加温されており、特に内湯浴槽は体をしっかり温めるべく
全浴槽の中で最も高い温度(とはいえ41~2℃)まで上げられているのですが、その代償としてお湯が持つ個性、とりわけ香りが飛んでしまっているのがちょっと残念なところ。


 
内湯で体を洗ったら露天風呂へ。
露天ゾーンには多様な浴槽が用意されており、どこから入ったら良いのか迷ってしまうほど。いろんな浴槽を体験して自分のお気に入りを見つけることも、こちらの施設の楽しみ方なのでしょう。
西側露天の主浴槽は「水神の湯」と称され(左or上画像)、仕切りによって2つに分かれているのですが、いずれも適温に加温されており、特に両者の違いはわかりませんでした。加温のためか、お湯は若干貝汁のような微濁を呈していました。露天エリアで主浴槽に準ずる大きさを有しているのが「のろま湯」(右or下画像)。のろまというネーミングからもわかるように、のんびり湯浴みするべく、ぬるめの湯加減にセッティングされているのですが、この日はちょっとぬるすぎたためか、利用しているお客さんの姿はまばらでした。夏になれば気持ち良いのかもしれませんね。


 
奥の方に設置されているのは「樽風呂」。一部が屋根掛けされているので、日光を避けて湯浴みすることもできるでしょう。7~8人も入れそうなキャパを有している巨大な樽風呂。縁には枕のようなものが設けられているので、そこに頭をのせて湯浴みすると良いものと思われます。その樽風呂の隣には、蒸し風呂、つまりサウナもあるのですが、今回私は利用していないので、中の様子はリポートできません(あしからず)。



上述の各浴槽(サウナを除く)は、程度の違いこそあれ、30℃に満たない源泉を加温して入浴しやすい湯加減にし、その上で放流式の湯使いとしているのですが、唯一の例外が上画像の打たせ湯です。こちらも放流式、つまり循環しないかけ流しなのですが、他浴槽と異なり、加温されていない完全放流式なのです。私が訪問したのは紅葉が始まった時季ですから、30℃未満の打たせ湯はほとんど水と変わらず、その冷たさにほとんどのお客さんは敬遠していたのですが、入りしなの冷たさを堪えると、まもなく体が慣れて気持ち良くなり、むしろ長い時間浸かっていたくなるような気持ち良さに包まれました。気持ち良いだけでなく、非加温ゆえに源泉の個性が素直に表れているのも、この打たせ湯の良いところ。無色透明でトロトロ&ツルツルしているこちらのお湯からは、いわゆるタマゴのような香りが放たれ、ゆで卵のような味覚も感じられます。埼玉県秩父などでよくみられる「たまご水」のような感じです。この手の香りは加温など人の手が加わることによって忽ち飛んでいってしまいますから、この打たせ湯のような非加温状態でないと味わえません。あえて非加温の打たせ湯を用意している施設側の、お湯に対する造詣と愛情の深さに心から感謝します。

いろんなお風呂があって迷ってしまうこちらの露天ですが、上述の通り、私のフェイバリット浴槽は上画像の打たせ湯でした。皆さんも是非ご自身のお気に入りを見つけてみてください。


単純硫黄温泉
28.7℃ pH10.5 143L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質158.2mg/kg 成分総計158.2mg/kg
Na+:43.3mg(94.96mval%),
OH-:5.4mg(12.17mval%), HS-:4.2mg, CO3--:34.2mg(43.36mval%), HSiO3-:60.2mg,
(平成20年11月28日)
加水・循環なし
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤を使用)

長野県諏訪郡富士見町富士見9547
0266-62-8080
ホームページ

10:00~21:30分(受付21:00まで) 木曜定休(5月連休と8月は無休。4月・11月・12月は毎週水・木の2日間定休日)
800円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5



●おまけ 八ヶ岳登山記
本記事冒頭で申し上げましたように、私は2017年秋に、いつものように一人で八ヶ岳を登ってまいりました。コースは・・・
 美濃戸口→御小屋山→阿弥陀岳→赤岳→赤岳天望荘(小屋泊)→横岳→硫黄岳→赤岳鉱泉→美濃戸口
という順序であり、つまりは美濃戸口から出発し、阿弥陀岳を経由して、八ヶ岳連峰の最高峰である赤岳を登り切って、その山頂付近にある山小屋「赤岳天望荘」で一泊。翌朝は横岳や硫黄岳を回って美濃戸口へ戻ってくるという周回コースです。穏やかな径あり、険しい岩場や鎖場あり、眺望の素晴らしい尾根の縦走あり、と実に多様で面白い山行であり、山の空気と景色、そして自然の美しさに包まれていると、日頃の仕事の憂さがすっかり晴れました。






爽快な尾根歩き。そして登り応えのある岩場登り。




尾根をたどりながら赤岳山頂へ。




山小屋「赤岳天望荘」。週末なので大混雑。雑魚寝の就寝スペースは、肩を寄せ合いながらようやく自分のスペースを確保するような状況。



西の中央アルプス方面へ太陽が沈む。乗鞍や御嶽山などがはっきりと望める。そして手前の諏訪湖もよく見える。




翌朝、山小屋から日の出を拝む。奥秩父の山々から太陽があがり、次第に、麓に広がる佐久の田園地帯がぼんやりと明るく見えてくる。そして赤岳の山肌は真っ赤に染まり、雲海の彼方では富嶽が秀麗な姿をのぞかせていた。



尾根を縦走。



硫黄岳山頂の荒々しい姿。




八ヶ岳の紅葉、そしてトリカブトの花。



沢沿いの登山道を下りながら、先ほどまで自分が頂上にいた山を眺め、充足感に満たされる。またこの山に来よう。


.
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする