連続して松之山温泉の施設を取り上げていますが、強烈に火照る松之山の湯を立て続けて入っているうち、体が音を上げはじめてきましたので、最終目的地であるお宿へ向かうことにしました。この日のお宿は温泉街からちょっと離れた場所にある「旅館明星」です。県道沿いのわかりやすいロケーションで、向かいに建つガソリンスタンドが目印。数日前に拙ブログで取り上げました「十日町市高齢者憩の家」と同じ天水越地区に位置しており、すぐ近くには老舗旅館「凌雲閣」もあります。外観は民宿のようであり、玄関まわりからもアットホームな雰囲気が伝わってくるのですが、客室数は43室もあるんだそうでして、意外にも結構な規模を有する旅館なのです。
この日通された客室は6畳の和室。数多ある客室の中では最も小さな部屋のようです。テレビやエアコンなど基本的な設備は揃っている他、お部屋でWifiの使用も可能です。なお備え付けの冷蔵庫はありませんが、階段の踊場に共用のものがあるので、それを使うことになります。
今回は最もリーズナブルなプランで予約しましたので、お食事では特に豪華なものが提供されたわけではありませんが、左(上)画像の夕食では鴨肉の冷製(前菜)・鶏鍋・西京焼き・煮物・お刺身など、右(下)画像の朝食ではハム・焼き鮭などいかにも朝定食という感じのメニューで、しっかり美味しく、お腹を満たすには十分な量でした。どちらかと言えば、私はいわゆる旅館で出される絢爛豪華な食事が苦手なので、むしろこの位のボリュームがちょうど良く、自分のニーズにマッチしていて安心しました。もちろん料金によって豪華な料理にすることもできるようです。なお夕食朝食とも、階段すぐそばの1階座敷でいただきました。
さて胃袋を満たした後は温泉でパワフルな松之山の湯と格闘しましょう。2階の奥からステップを数段上がった先に、大型テレビや自販機が設置されているラウンジがあり、その右側に浴室の出入口が面していました。浴場の名前は「幸福の湯」というんですね。お風呂は男女別の内湯のみ。
松之山温泉臭が充満している浴室。タイル貼りの室内レイアウトはシンプルで、窓下に大きな浴槽がひとつ据えられているほか、左側の壁沿いにシャワー付きカランが3基並んでいました。女湯との仕切りにはガラスブロックが用いられており、ちょっぴりエロティック。
冬季以外でしたら窓から外を眺めることができるのでしょうけど、さすがに豪雪地帯ですから窓にはガッチリと雪囲いが施されており、隙間からはみ出ている雪以外に、外の様子は全くわかりません。
浴槽は楕円でも四角形でもない形容の難しい形状をしており、おそらく5~6人サイズかと思われます。縁は黒御影石で囲まれ、槽内は小さくて丸い水色のタイルが敷き詰められています。浴槽の左側には前髪パッツンの裸婦石像が置かれており、その前に突き出た塩ビ管から熱いお湯が投入されていました。裸婦像は水瓶を手にしており、その水瓶にも配管が向けられているのですが、現在その配管は止められています。石像の色の変色具合から想像するに、水瓶にお湯が注がれていた当時、水瓶から溢れ出たお湯は裸婦像の太もも辺りに落ちてから浴槽へと注がれていたのでしょう。
事前にお宿の方から説明されたのですが、湯面付近は非常に熱いため、入浴前にはしっかり掻き混ぜることが欠かせません。室内には加水用のホースが見当たらず、また湯もみ板(棒)も備え付けられていなかったので、腕に掛かる熱さを怺えながら桶で撹拌させたところ、湯浴みできる程度の湯加減まで落ち着いてくれました。湯使いに関して特に表示が無いので、放流式か循環なのか断言できませんが、縁からのオーバーフローは見られず、また槽内に設けられている目皿では吸い込みや吐出が無い代わり、槽内側面で口を開けている塩ビ管から排湯されていたので、投入量を絞り気味にした上での、放流式かそれに近い湯使いかと思われます。
松之山の温泉街に引かれてるお湯は1・2・3号の混合泉でしたが、こちらでは3号泉の単独使用で、数日前に取り上げた「十日町市高齢者憩の家」と同様です。ほぼ無色透明なのですが、薄っすら白く微濁しているように見えます。松之山温泉らしく非常に塩辛く、ヨードチンキを思われる刺激臭が漂っているのですが、温泉街の混合泉よりも幾らか苦味がマイルドである代わり、鹹味が強いように感じられます。また塩気が濃厚であるためか、温泉街の混合泉よりも火照り方が激しくて体への負担も大きく、しばらく湯浴みしていると体力が徐々に奪われてゆくのがわかります。このため長湯は禁物。体力自慢の方はぜひこのお湯とくんずほぐれつの大格闘を繰り広げていただきたいものです。ちなみに私は一晩で3回戦いを挑み、毎回徹底的に打ちのめされ、項垂れて部屋へと戻ったのでした。
この塩辛いお湯のお陰でパワフルに温まるため、湯上がり後に部屋へ戻っても、暖房なんて全く不要。それどころか、いつまでも発汗が続いて体がベトついたため、軽く窓を開けて銀世界に吹く冷気を部屋に入れてクールダウンを図ったほどです。松之山のお湯は本当に凄い!
リングでも土俵でも、格闘のステージに余計なものは要りません。それと同じく、質素な作りのお風呂だからこそ、松之山温泉の凶暴なお湯と真っ正面から戦えるのでしょう。お湯の濃厚さを存分に体感できるシンプル・イズ・ベストのお風呂でした。
鷹の湯3号
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 97.5℃ pH7.7 200L/min(掘削自噴) 溶存物質16095mg/kg 成分総計16095mg/kg
Na+:3700mg(60mval%), NH4+:28mg, Ca++:2100mg(37mval%), Sr++:29mg,
Cl-:9500mg(99mval%), Br-:28mg, I-:7.3mg,
H2SiO3:170mg, HBO2:270mg,
新潟県十日町市松之山町天水越88-2 地図
025-596-2544
ホームページ
日帰り入浴可能(時間・料金不明)
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5