先日、引退の意向を示して、協会幹部から翻意するよう説得をうけていた横綱・摩羅の川だが、本人の引退の意思は固く、協会も説得を断念。引退が決定した。
摩羅の川は平成22年1月場所初土俵。入門当初は単調な相撲ぶりに、ファンから「なにも考えずに勝っているだけ」「つまらない相撲」と厳しい言葉を投げかけられながらも、淡々と白星を重ね、平成23年1月には相撲がうまくならないまま、入門から1年でのスピード入幕を果たす。
しかし、翌3月場所直前に、岩手県で東日本大震災の直撃を受けたことでまらずもうに覚醒。生活物資が不足し食事さえままならぬ苦しい状況のなか、東北を勇気づけたいと魂のこもったまらずもうを見せ、全勝で初優勝を飾る。その後は、生き残った被災者の激励と、亡くなった犠牲者の鎮魂のために岩手～青森～山形と東北各地を転戦。優勝7回（歴代1位）、通算290勝（歴代1位）、幕内通算228勝（歴代1位）、54連勝（歴代3位）、三賞受賞8回（歴代2位）など、さまざまなまらずもう記録を塗り替えていく。
しかし、奥様との夫婦生活をネタにするなど、家庭をないがしろにする姿勢に奥様の不満が爆発。力士生活晩年は奥様をなだめすかしながら土俵にあがる苦しい日々を重ねる。最終的には奥様をとるのかまらずもうをとるのかという緊迫した状況にまで追い込まれ、引退を決意。引退後は年寄「小摩羅（こまら）」として、更新の指導やまらずもうの普及活動にとりくんでいく予定。
通算成績は290勝15敗。幕内通算成績は228勝12敗。幕内優勝7回。殊勲賞2回、技能賞3回、敢闘賞3回。（→まらずもうデータベース）
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－ これより、横綱・摩羅の川関の引退会見を行います。まずはおつかれさまでした。
（摩羅の川） 「ありがとうございます」
－ 横綱は現在２８歳。先場所は念願の２場所連続優勝を達成されて、力士としてもっとも脂の乗り切った時期です。ファンからすると早すぎる引退という印象がありますが、このタイミングでの引退というのはどういった理由からなのでしょうか？
（摩羅の川） 「自分の相撲の限界が見えてしまったからですね。私の相撲は確実に今がピークですよ。このまま惰性で続けたり、徐々に弱くなっていく姿をファンの皆様に見せるくらいなら潔く引退しようと考えました」
－ 引退を意識しはじめたのは、また、引退を決意したのは、いつごろでしょう？
（摩羅の川） 「引退を意識し始めたのは今年の名古屋場所、決定戦の直後からです。以前も言った事がありますが、あの一番は全身全霊をかけ、会心の一撃を狙った取組でした。あの『勃起サイボーグ』の異名を持つ強敵・家満関相手に、自分でも綺麗に決まったと思いますし、自身最高の取組だと思います。ただ、その決定戦で全てを出し切ってしまい、終わった後はしばらく燃え尽きた感しか残りませんでした。秋場所は２連覇を目標にしてモチベーションを維持し戦いましたが、決定戦ではどうしても名古屋場所の二番煎じになってしまった感じは否めません。どう足掻いても、もう名古屋場所の決定戦を超える取組はできない事を実感したため、引退を決意しました」
－ 奥様は引退についてどのようにおっしゃっていますか？
（摩羅の川） 「『ああ、そう。とうとう辞めたんだ。おめでとう』と言いながら、なんか勝ち誇ったような顔でこちらを見ていました」
－ 現在、通算２９０勝。年間最多勝争いでもトップタイ。そして、来場所の千秋楽まで全勝で行けば、大相撲・双葉山に並ぶ６９連勝。ファンからは九州場所までやって、通算３００勝と前人未到の３年連続年間最多勝を達成してから引退してもいいのでは・・・との声もきかれますが、そのあたりの記録については考えませんでしたか？
（摩羅の川） 「納得した相撲をしてこその記録だと思っています。納得した相撲が取れないなら引退しかありません」
－ 約４年間の現役生活を振り返って、横綱にとっていちばん印象的だったシーンやお気に入りの一番を教えてください。
（摩羅の川） 「お気に入りの一番は今年の名古屋場所・決定戦ですよ。何度も言いますがあれが私の最高の取組だと思っています。
あと、お気に入りというよりも思い出深いのは2011年の春場所ですかね。あの春場所の最中は、まらずもうだけでなく私生活にも必死でした。あの環境下での相撲を経験したからこそ、今の自分があると思っています」
－ 引退後に名乗る年寄名は決まりましたか？ もし決まっていればここで発表していただけませんか？
（摩羅の川） 「苦楽を共にした相棒の名前『小太郎』から１文字と『摩羅の川』から取って『小摩羅』（こまら）です。よろしくお願いします」
－ 今後、まらずもうとはどのように関わっていく予定でしょうか？
（摩羅の川） 「具体的にはまだ考えていませんが、やはり経験者として何かしら関わりを持ちたいと思っています。Ｎ○Ｋとかで、まらずもう解説者として雇ってくれないですかね？」
－ さいごに、後輩の若い力士やまらずもう力士をめざす青少年に伝えたいことはございませんか？
（摩羅の川） 「まらずもうには体調管理が重要です。怪我や病気に気をつけて立派な朝勃ちを披露してください」
－ 摩羅の川関にお話をうかがいました。ほんとうにおつかれさまでした。
（摩羅の川） 「ありがとうございました」
