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春場所を振り返って

2011-04-11 11:30:10 | まらずもう新聞編集部のまらずもう分析
 正式名称は「三月場所」である春場所が、去る4月3日、4月に入ってから幕を閉じた。1月の初場所後に大相撲界で発覚した八百長問題の影響で、大相撲は前代未聞の本場所中止。開催時期は「大相撲に合わせて」を原則とするまらずもうは、自身何も悪いことをしていないのに中止の危機に追い込まれた。だが、相撲を楽しみにしてくれている国民のため、せめてまらずもうだけでも楽しんでいただこうと単独開催を決意。協会は独自の番付編成や優勝ラインの確定など、対応に追われつつも、本場所が開催できる準備が整った。そして2日後に初日を控えた3月11日、東日本大震災。横綱・雲虎は八戸で避難所生活、岩手在住の幕内・摩羅の川に至っては連絡がつかず。このような状況下、予定通りの開催は困難との判断に至り、いったん本場所開催を延期。いまだから明かせるが、協会内では中止との意見や、開催するとしても7日間興行に短縮すべきではないか、などの声もあがっていた。そんな中、岩手在住の摩羅の川から、震災4日後にようやく連絡が入る。そこには無事との報告と合わせ、予定通り初日からの取組結果が記されていた。「不眠不休の片付け作業のため初日は不戦敗」から始まる星取表。摩羅の川はこんなときにも、そしてむしろこんな時だからこそ、相撲を忘れていなかったのである。そんな姿勢をうけて、協会も1週間遅れで本場所開催を決断。

 迎えた春場所も、岩手を背負って立つ摩羅の川の独壇場。通算100勝一番乗りの玉椿、新大関でダッチ漁りを繰り返した毛呂乃、横綱2場所目で横綱としての初優勝を目指し14勝を挙げた雲虎も、今場所ばかりは摩羅の川の奮闘の前に全てかすんでしまった。豆腐とサバ缶程度しかタンパク源のない摩羅の川だったが、連日奮闘。「しゃべりがつまらない」と酷評されていたその取り口も見違えるように進歩。まさに神がかり的な連戦連勝で、雲虎と二人、全勝で折り返す。目覚まし時計に細工をするなど、地味な嫌がらせで妨害工作を繰り広げていた毛呂乃は、十日目、雲虎の目覚ましを完全沈黙させることに成功。これで立ち合いのタイミングを狂わされた雲虎は、ここで脱落。残り5日、単独首位で走り続けた摩羅の川、優勝経験がないことから徐々にプレッシャーがのしかかるが、今場所の摩羅の川、それでも負けはしない。千秋楽には伝家の宝刀、ユンケルロイヤルを投入。その効果は絶大で、それまでただでさえエネルギー不足だったこともあってかパンツの前穴からまらが飛び出すほどの豪快な相撲を決め、場所を見事に締めくくっての全勝優勝。本場所開催が危ぶまれる中、協会役員に開催を決断させたのは、ほかならぬ摩羅の川の存在であった。そして、無事15日間の興行を終え、優勝の栄冠を手にしたのも摩羅の川。摩羅の川にはじまり、摩羅の川に終わる、まさに摩羅の川のひとりずもうの場所であったといえよう。

 十両でも全勝が出た。新十両汚痔の山。幕下以下で23連勝の記録を持つ50歳は意気軒高、利尿作用を利用した堅実・老獪な取り口を見せつつ、それが不発に終われば淫夢タイプにシフトする二枚腰の相撲で連戦連勝。3日目に早くも全勝宣言、有言実行の結果となった。幕下時代から、「一日も早く三役に上がりたい」と意欲を語っていた汚痔の山だが、これでいよいよ入幕は確実。自分をこの世界に導いた横綱・雲虎と同じ土俵に上がることになるが、次なる目標は「雲虎に引導を渡すこと」と意欲的。かつて雲虎、毛呂乃といった横綱・大関が記録更新に挑むも果たせなかった汚痔の山の23連勝。今場所の優勝で、汚痔の山自身再び15連勝。記録更新まであと9。汚痔の山の記録を塗り替えるのは、汚痔の山自身になるのかもしれない。

 幕下以下では、三段目の家満が今場所も圧倒的な強さを見せつけて順当勝ち。序ノ口に続いてまずは二階級制覇、来場所ははやくも幕下に上がる。
 その幕下では、優勝候補と目されていた池男王子が連勝スタート、期待を集めたが、まさかの腰痛で座薬注入という毛呂乃もうらやむシチュエーションで無念の途中休場。男の主武器、負傷箇所が負傷箇所だけに、あせらず治療に専念し、完全復活を果たしてほしい。本命不在となった幕下で躍り出たのが伏兵・飛埒王。丸1年幕下に居座り、すっかり幕下が指定席となっていた男が春の訪れとともに狂い咲き。同部屋の大関・毛呂乃に導かれるまま男と同棲し、それを力に勝ち進む。その男が毛呂乃自身なのかも謎のまま、謎の多いアホリ部屋だが、自身、毛呂乃との関係を「運命共同体」と語る相思相愛の飛埒王、来場所は十両昇進のかかる大切な場所となる。
 序二段・序ノ口では残念ながら優勝は出なかったが、参加力士はそれぞれ思い思いの相撲を展開し、土俵に花を添えた。なかでも大混戦だったのが序ノ口。新弟子達はひとりも勝ち越せず、この世界の厳しさを味わう場所となったが、玉椿や池男王子、汚痔の山でさえもデビュー場所は勝ち越しに届かなかった。プロの水に慣れてからが本当の勝負。あきらめない相撲に将来性を感じさせる金精山、夫婦参加で話題を呼び、千秋楽に勝ち越しをかけるまでに奮闘した河豚狸、そして花粉症に加え痔を発症、苦しい土俵を展開するというおいしすぎる新星、もっこり山と役者はそろっており、まらずもう界の未来は明るいと感じさせてくれる。

 被災地・岩手から鬼気迫る土俵を展開した摩羅の川。だが、人々が災害のことを本当に覚えているのは3ヶ月ほど、忘れられてからが本当の復興とも言われる。摩羅の川自身も、この場所の相撲、そしてしゃべりを維持できるか。1週間開催が延びたこともあり、次の夏場所までの期間は短い。意欲のない玉椿などは、「また場所かよ」と不満をたれるが、今場所の感覚を忘れぬうちに、翌場所に挑めるというのは摩羅の川にとっては好要因とも考えられる。困難な状況を糧として、悲願の初優勝を達成した摩羅の川。だがこれはゴールではなくスタート地点。岩手の復興を背負い、摩羅の川の戦いはここから始まり、これからも続いていく。
コメント
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