昨夜「雪女と蟹を食う」ドラマ版が最終回だった。一話から一応全部見たので感想。
車によるロードムービーということで、ほぼ全編ロケだった。それについては非常に良い。ホテルなども全部実名。どころか、登場したホテルの宿泊券プレゼントなんてのもあった。
だが、ロケじゃないと撮れない作品故のスケールダウンが目立った。予算と日程の範囲内でロケ撮影可能な話に変更されていた。
銀山温泉に向かう夜間の高速道路で、大型トラックと事故を起こして彩女さんごと死のうとするシーンは、昼間住宅地の道路に変更。
八戸〜苫小牧のフェリーで深夜、甲板の彩女さんに死神を見るシーンは、青森函館間航路で明るい昼の甲板上に変更。青森函館間だと約四時間で着いてしまうのだ。
函館に上陸だからか、卸売市場の蟹シーンは苫小牧ではなく函館に変更。そして苫小牧完全スルー。これは函館でも問題ない部分だが。
一番しょぼくなったのは札幌の事件。放火されたのを北が消火・救助してニュークラブの英雄になるはずが、文房具屋で売ってるようなカッターを握って突っ込んできた客の奥さんを撃退に変更。火事を撮影するのは難しいんだろうけど、結果的に北が元消防士という設定を出しにくくなった(結局出てない)ので、なんとかやって欲しかった。人を助ける仕事をしていたというのは、北の人物設定として地味に重要だったので。
キャストについては、入山法子の彩女さんが、なんか違うとずっと感じていた。可愛げがないというか愛嬌がないというか。前髪がぱっつんだからだと思う。後半、前髪が少し乱れるシーンが多く、慣れもあって最後は彩女さんに見えてきた。
重岡氏は、首吊りシーンの泣き演技が上手かったので期待したけど、そのあとはイマイチ。もうちょっと背が高かったらなあ。郡山で彩女さんの見立てで服を一新するシーンがなかったので、最後まで冴えない格好だった。
原作では、北が自殺を決めた原因が、ちょっとずつ分かるように書かれていたが、ドラマはかなり早い段階で見せてしまっていてミステリ感なかった。逆に、彩女さんの動機が、一騎に傑作を書かせることだったという謎解きにフォーカスしすぎていて、「一緒に花を見たかっただけなのに」が薄くなってしまった。そこ、北と再婚する理由に繋がる重要なとこなのに。
原作最大の欠陥、彩女さんが死んでないことに北が気づかない、については、病院へ搬送、意識不明の重体から意識回復という普通の展開だった。ドラマの方が無難でいいと思う。
途中、改変、改悪、省略がありながら、最後は原作準拠だった。富良野の花畑を見せてキスからの富良野で再婚。終わりよければすべてよしではないが、最後がちゃんとしてたので、全体も悪くなかったような気がしてくるという…。BDに焼くかどうか迷いながらの三ヶ月だったが、先ほど焼きました。