軽井沢で野鳥の声の録音を続ける峯岸典雄さん
2010年2月5日10時15分朝日COM
長野県・軽井沢で春に聞こえる野鳥のさえずりが約20年で大きく減少している。野鳥研究家の峯岸典雄さん(81)=東京都在住=が、現地で1989年から記録してきた録音を分析した。自然環境の悪化を反映した結果のようだ。
峯岸さんは幼いころからの野鳥ファン。軽井沢へ70年近く通っている。「昔に比べると野鳥が減ってきたのでは」と感じ、89年からほぼ毎年、3~5月の繁殖期に数日、自分の別荘の庭で日の出前後の約1時間、野鳥の声の録音を続けてきた。
録音を始めて間もない90年代は、1時間で16種程度のさえずりを聞ける朝があった。年間を通して軽井沢周辺にいる鳥も、夏に南から渡ってくる夏鳥も、にぎやかな声を響かせていた。だが、2000年代に入り数種の声しか聞こえないことが多くなった。ついに08年には、1時間のうちに鳥が全くさえずらない日もあった。
さえずり回数を録音時間で割った「さえずり指数」で変化を量的に表してみた。カッコウなど夏鳥に加えて、キジやウグイス、アオジ、コガラ、アカハラなど身近な鳥の減少が顕著だった。峯岸さんは、別荘周辺での工事の記録などを調べて「開発など環境の変化が大きく影響している」という。
軽井沢の自然に詳しい南正人・麻布大講師(野生動物学)は「15年ほど鳥の変遷を見てきたが、やはり減ってきている。同じ方法で続けられた録音で、信頼性の高い結果だと思う」と言う。録音方法について助言した大庭照代・千葉県立中央博物館主席研究員(生物音響学)は「さえずりは仲間とのコミュニケーションであり、密度が低くなっている状況の貴重な記録だ」と評価する。
峯岸さんは今月、軽井沢別荘団体連合会が東京都内で開いた会合で、この内容を説明した。参加者からは「林の伐採がひどくなった」「昆虫や哺乳(ほにゅう)類も減っている」といった声が聞かれた。
連合会の小林徹代表は「軽井沢の環境をなんとかしたいと、一昨年夏にこの連合会を発足させた。峯岸さんの報告は私たちの心配を如実に示している」と話している。(米山正寛)
2010年2月5日10時15分朝日COM
長野県・軽井沢で春に聞こえる野鳥のさえずりが約20年で大きく減少している。野鳥研究家の峯岸典雄さん(81)=東京都在住=が、現地で1989年から記録してきた録音を分析した。自然環境の悪化を反映した結果のようだ。
峯岸さんは幼いころからの野鳥ファン。軽井沢へ70年近く通っている。「昔に比べると野鳥が減ってきたのでは」と感じ、89年からほぼ毎年、3~5月の繁殖期に数日、自分の別荘の庭で日の出前後の約1時間、野鳥の声の録音を続けてきた。
録音を始めて間もない90年代は、1時間で16種程度のさえずりを聞ける朝があった。年間を通して軽井沢周辺にいる鳥も、夏に南から渡ってくる夏鳥も、にぎやかな声を響かせていた。だが、2000年代に入り数種の声しか聞こえないことが多くなった。ついに08年には、1時間のうちに鳥が全くさえずらない日もあった。
さえずり回数を録音時間で割った「さえずり指数」で変化を量的に表してみた。カッコウなど夏鳥に加えて、キジやウグイス、アオジ、コガラ、アカハラなど身近な鳥の減少が顕著だった。峯岸さんは、別荘周辺での工事の記録などを調べて「開発など環境の変化が大きく影響している」という。
軽井沢の自然に詳しい南正人・麻布大講師(野生動物学)は「15年ほど鳥の変遷を見てきたが、やはり減ってきている。同じ方法で続けられた録音で、信頼性の高い結果だと思う」と言う。録音方法について助言した大庭照代・千葉県立中央博物館主席研究員(生物音響学)は「さえずりは仲間とのコミュニケーションであり、密度が低くなっている状況の貴重な記録だ」と評価する。
峯岸さんは今月、軽井沢別荘団体連合会が東京都内で開いた会合で、この内容を説明した。参加者からは「林の伐採がひどくなった」「昆虫や哺乳(ほにゅう)類も減っている」といった声が聞かれた。
連合会の小林徹代表は「軽井沢の環境をなんとかしたいと、一昨年夏にこの連合会を発足させた。峯岸さんの報告は私たちの心配を如実に示している」と話している。(米山正寛)
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