5月5日22時54分配信 産経新聞
産地直送のサクランボや山菜が並ぶ山形のアンテナショップ(写真:産経新聞)
地元特産品の販売や観光情報の提供を行う自治体のアンテナショップが、東京・銀座周辺に相次いでオープンしている。都内の他エリアに比べてテナント料が高額なため赤字覚悟で運営する店舗もあるが、曜日や季節を問わず買い物客が行き交う好立地に関係者の期待は高い。人気の北海道、沖縄も店を構える“激戦区”で埋没しないように、各店舗は存在感のアピールに躍起だ。
「佐藤錦はいかがですか。こちらは昨日収穫したばかりの丘ひじきですよ」
先月30日、ブランドショップや飲食店が立ち並ぶ銀座1丁目にオープンした「おいしい山形プラザ」の店頭には、真っ赤に熟れたサクランボや山菜が並んだ。佐藤錦の本来の収穫時期は6月だが、オープンに合わせて特産品をPRしようと、ハウス栽培の商品を取り寄せた。
実は山形は、別エリアからの“移転組”だ。虎ノ門の旧ショップは飲食コーナーなどでビジネスマンの取り込みにも成功し、年間約2億4000万円を売り上げたが、官公庁街という土地柄から売り上げが見込めるのは平日のみ。10年の節目を機に、「もっと多くの人にPRしたい」と移転を決意した。
新店舗の家賃は月680万円と、坪単価は旧店舗の2倍以上になった。年間3億8000万円の売り上げを目標に掲げるが、黒字経営までの道は険しい。
だが、県商工労働観光部の星孝浩さんは「銀座は激戦区だが、独自の魅力をPRしたい」と意気込む。
財団法人「都市農山漁村交流活性化機構」によると、自治体などが運営するアンテナショップは都内に33カ所あるが、半分以上にあたる17店舗は銀座やその周辺の有楽町、新橋に集中。昨夏には群馬と鳥取の店舗が相次いで銀座エリアにオープンした。
銀座エリアが選ばれる最大の理由は、その集客力だ。元三菱総合研究所集客文化研究部長の小松史郎東京都市大学教授(集客文化論)は「昼夜や平日休日を問わずに一日中人が歩いている街は、東京広しといえど銀座くらい」と話す。また、「地元生産者は銀座に店を出すということで、意欲が引き出される。また多くの店が集まっているため、いわゆる“アンテナショップファン”の周遊が見込める」と分析する。
銀座エリアには、物販を中心に年間約8~9億円を売り上げる北海道、沖縄の店舗もあるだけに、独自路線で活路を探る店もある。
大分の「坐来(ざらい)」は、レストランがほとんどのスペースを占める。ディナーのみの営業で客単価は1万5000円前後だが、レストランだけで年間1万人以上が訪れ、約1億8000万円を売り上げる。
担当者は「大分は知名度が低く、物販では太刀打ちできない。上質な料理と空間を提供することで他県との差別化を図った」と話している。(滝口亜希)
産地直送のサクランボや山菜が並ぶ山形のアンテナショップ(写真:産経新聞)
地元特産品の販売や観光情報の提供を行う自治体のアンテナショップが、東京・銀座周辺に相次いでオープンしている。都内の他エリアに比べてテナント料が高額なため赤字覚悟で運営する店舗もあるが、曜日や季節を問わず買い物客が行き交う好立地に関係者の期待は高い。人気の北海道、沖縄も店を構える“激戦区”で埋没しないように、各店舗は存在感のアピールに躍起だ。
「佐藤錦はいかがですか。こちらは昨日収穫したばかりの丘ひじきですよ」
先月30日、ブランドショップや飲食店が立ち並ぶ銀座1丁目にオープンした「おいしい山形プラザ」の店頭には、真っ赤に熟れたサクランボや山菜が並んだ。佐藤錦の本来の収穫時期は6月だが、オープンに合わせて特産品をPRしようと、ハウス栽培の商品を取り寄せた。
実は山形は、別エリアからの“移転組”だ。虎ノ門の旧ショップは飲食コーナーなどでビジネスマンの取り込みにも成功し、年間約2億4000万円を売り上げたが、官公庁街という土地柄から売り上げが見込めるのは平日のみ。10年の節目を機に、「もっと多くの人にPRしたい」と移転を決意した。
新店舗の家賃は月680万円と、坪単価は旧店舗の2倍以上になった。年間3億8000万円の売り上げを目標に掲げるが、黒字経営までの道は険しい。
だが、県商工労働観光部の星孝浩さんは「銀座は激戦区だが、独自の魅力をPRしたい」と意気込む。
財団法人「都市農山漁村交流活性化機構」によると、自治体などが運営するアンテナショップは都内に33カ所あるが、半分以上にあたる17店舗は銀座やその周辺の有楽町、新橋に集中。昨夏には群馬と鳥取の店舗が相次いで銀座エリアにオープンした。
銀座エリアが選ばれる最大の理由は、その集客力だ。元三菱総合研究所集客文化研究部長の小松史郎東京都市大学教授(集客文化論)は「昼夜や平日休日を問わずに一日中人が歩いている街は、東京広しといえど銀座くらい」と話す。また、「地元生産者は銀座に店を出すということで、意欲が引き出される。また多くの店が集まっているため、いわゆる“アンテナショップファン”の周遊が見込める」と分析する。
銀座エリアには、物販を中心に年間約8~9億円を売り上げる北海道、沖縄の店舗もあるだけに、独自路線で活路を探る店もある。
大分の「坐来(ざらい)」は、レストランがほとんどのスペースを占める。ディナーのみの営業で客単価は1万5000円前後だが、レストランだけで年間1万人以上が訪れ、約1億8000万円を売り上げる。
担当者は「大分は知名度が低く、物販では太刀打ちできない。上質な料理と空間を提供することで他県との差別化を図った」と話している。(滝口亜希)
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