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森羅万象 ~ 歩く印象派

<東電>官僚天下り50人以上 ゆがむ原発行政

2011年09月25日 20時20分10秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2011年9月25日 11時11分毎日JP

 東京電力に「嘱託」などの肩書で在籍する天下り中央官僚が47人(8月末)に上ることが24日、毎日新聞の調べで分かった。次官OB向けの「顧問」ポス トも加えれば50人を超え、出身は所管の経済産業省から国土交通、外務、財務各省、警察庁、海上保安庁と多岐にわたる。東電福島第1原発事故では安全規制 の不備が指摘されるが、原子力行政に携わった元官僚は「(当局と電力会社との)癒着が安全規制の緩みにつながった」と認める。

 6月28 日、東京都港区のホテルで開かれた東電の株主総会。株価暴落で多額の損失を出した株主から「なぜムダな天下りを受け入れ続けているのか」との質問が相次い だ。山崎雅男副社長は「電力事業には(いろいろな)知識を持った方が必要」と答弁。事故の巨額賠償負担で経営が揺らいでも天下りを切れない電力会社の体質 を浮き彫りにした。

 経産省キャリアOBの最上級の天下り先は東電副社長ポスト。次官OBの石原武夫氏に始まり、資源エネルギー庁長官や 次長経験者が10年前後の間隔で就いてきた。今年1月には、昨年8月に退任したばかりの石田徹エネ庁前長官(当時)が顧問に天下り。東電は「慣例通り副社 長に昇格させる予定だった」(幹部)。しかし、「退職後2年間は所管業界に再就職しない」という自民党政権時代に作られたルールを逸脱していた上、原発事 故による行政批判も重なって、4月に顧問を退任せざるを得なかった。

 経産省は関西など他の電力各社にもそれぞれ元局長や審議官、部長クラスを5人前後ずつ役員や顧問として再就職させている。

 ◇報酬、霞が関以上に

 中央省庁OBを幅広く受け入れる東電のような余裕は、独占事業ではない他の民間企業では考えられず、経済官庁幹部も「東電など電力は再就職の最大の受け皿」と認める。

 東電関係者によると、天下り官僚の肩書はキャリアOBなら「顧問」、ノンキャリア出身者なら「嘱託」。報酬は「霞が関での最終ポスト時代を下回らないのが暗黙のルール」(経産省OB)だ。

 東電は「国交省や警察庁OBに電源立地対策で知見を発揮してもらうなど、経営に役立っている」と説明。しかし、財務や外務官僚OBの場合「本命の再就職先が決まるまでの腰掛けで東電に入り、給料だけ払うケースも多い」(東電関係者)。

 ◇「世話になれば無言の圧力」

 天下りを通じた当局と電力会社のもたれ合いの弊害は原発行政にも影を落とした。1979年の米スリーマイル島の原発事故などを教訓に、欧米当局は、原発事業者に地震など災害対策や炉心溶融など過酷事故への実効ある対応策を厳しく義務付けた。

しかし、日本では事実上、電力会社任せとなり、津波で全電源が喪失した福島原発のようなずさんな対応が取られた。

 元原子力安全・保安院長は「欧米並みの規制を導入すべきだとの意見もあったが、コスト負担に反発する電力会社に押し切られた」と説明。元原発検査官は「上司のキャリア(官僚)が退官後、電力会社に世話になっていれば、無言の圧力がかかるのは当然」と話す。【三沢耕平野原大輔


“謝罪ギャグ”と同じ 東電の無神経ぶり(東京新聞筆洗)

2011年09月25日 06時05分05秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2011年9月23日 東京新聞筆洗 より

 少し前、テレビでよく見た若手お笑いコンビのギャグには、なぜか、謝罪の言葉が多かった▼思いつくまま挙げれば「すいま、すいませんでした、すい ま」(ハイキングウォーキング)、「ごめんね、ごめんねー」(U字工事)、ふてくされた顔で「どうも、すいませんでしたぁ」(響)というのもあった▼さ て、福島第一原発事故を受けた東京電力による損害賠償の手続きが始まった。だが、被害者からは苦情が殺到しているという。無理もない。東電が送り付けた個 人向け賠償請求書は六十ページ、説明書類は百六十ページほども。さらに難解な用語だらけでは、ことにお年寄りなど意気阻喪して当然だ▼例えば、企業が世間 体を考えて何か制度を設けるが、実際は社員にあまり利用させたくないという場合の常套(じょうとう)手段は手続きを煩雑にすること。あるいは東電の賠償 も…と勘繰りたくなる。さすがに経産相も書類簡略化を求めたが、東電はそのまま押し通す意向らしい▼賠償とは謝罪の意を込めた償いのはずだが、こんなやり 方では、あの“謝罪ギャグ”と同じ。被害者は、謝られた気がしないどころか、小ばかにされたようにさえ感じよう▼あれだけのことをしでかしながら、原発事 故時の対応手順書をべったり黒塗りして国会に提出し「知的財産だから」と嘯(うそぶ)いた件もしかり。この企業の無神経ぶりこそ“想定外”である。