【コラム】なでしこ満開の日本サッカー
だが、日本による植民地時代から民族魂を強調してきた韓国サッカーでは、とうてい考えられない名付け方だ。フース・ヒディンク元監督は非常に優れ た監督だったが、韓国代表が「ヒディンク・コリア」と呼ばれたことはなかった。国際サッカー連盟(FIFA)のホームページで、韓国チームの呼び名として よく使われるのは「太極戦士」だ。現在ユニホームの左胸部分には、太極旗(韓国の国旗)ではなくトラのマークが入った大韓サッカー協会のエンブレムが付い ているが、それでもこの「太極戦士」という愛称は変わりそうにない。
日本では毎年12月1日になると「ユーキャン新語・流行語大賞」の授賞式が行われ、大きな注目を集める。1年間に日本社会で最も話題になった新 語・流行語60語を選び、その中から大賞を決める。この新語・流行語大賞で、今年すでに大賞の最有力候補に挙げられているのが「なでしこジャパン」だ。な でしこジャパンとは、先月行われたサッカー女子W杯の決勝戦で、世界の女子サッカー界の巨人といわれる米国を下し、奇跡のような優勝ドラマを演じた日本女 子代表の愛称だ。
「なでしこ」とは、ナデシコ科ナデシコ属の多年草で、6-8月に赤い花を咲かせる。日本では礼儀正しく強い心を持つ女性を褒めたたえる言葉だ。 「なでしこジャパン」の愛称は、04年アテネ五輪の際にファンからの公募により選ばれた。低地の乾燥した場所や川辺の砂地でも良く育つナデシコは今や、逆 境にも屈しない精神を象徴するようになった。
親しい日本人記者によると「日本の女子サッカーは、過酷な条件での活動を強いられながらも、大舞台でも諦めない精神を見せてくれたため、いっそう 高く評価されているのだ」という。18年にわたり代表でプレーしている日本女子サッカーの「生きた伝説」こと沢穂希(32)は「ここまで来られたのが信じ られない。より多くの方々が女子サッカーを好きになって試合を見にきてほしい」と語った。日本では最近、サッカーをやりたいという小学生の女子児童が増 え、女子サッカーリーグのチケットも販売枚数が急増している。ただ、底辺の選手層は韓国より厚いが、日本代表の選手の中にも日中は働き、夜にトレーニング をするという「二足のわらじ」を履いた選手が少なくない。そのため、選手たちが、東日本大震災の被害映像を見ながら「グラウンドで倒れようとも、日本国民 に希望と勇気を与えよう」と誓ったと聞いたとき、より大きな感動が押し寄せてきたのだ。
韓国サッカー界の今年の流行語を挙げるとすれば「八百長」以外には思い浮かばない。「闘魂」の二文字をユニホームに刻み付けてW杯に臨んだ「太極戦士」たちの純粋な情熱を懐かしく思っているのは、サッカーファンだけではないはずだ。