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なでしこ満開の日本サッカー

2011年08月21日 06時45分25秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

【コラム】なでしこ満開の日本サッカー

【閔 鶴洙(ミン・ハクス)スポーツ部次長】 日本では新語や略語がよく使われるが、サッカー男子代表の略称は、監督の名前の後に「ジャパン」が付くことが多 い。2002年ワールドカップ(W杯)の「トルシエ・ジャパン」、06年W杯の「ジーコ・ジャパン」、10年W杯の「岡田ジャパン」、そして今は「ザッケ ローニ・ジャパン」。現在の日本男子代表の監督は、イタリア出身でユベントスなどの名門チームを指揮した経験もあるアルベルト・ザッケローニ氏だ。私が初 めて日本サッカーを取材したときにはこうした略称になじめなかったが、代表の歴史を追うのには実用的だという気もした。

 だが、日本による植民地時代から民族魂を強調してきた韓国サッカーでは、とうてい考えられない名付け方だ。フース・ヒディンク元監督は非常に優れ た監督だったが、韓国代表が「ヒディンク・コリア」と呼ばれたことはなかった。国際サッカー連盟(FIFA)のホームページで、韓国チームの呼び名として よく使われるのは「太極戦士」だ。現在ユニホームの左胸部分には、太極旗(韓国の国旗)ではなくトラのマークが入った大韓サッカー協会のエンブレムが付い ているが、それでもこの「太極戦士」という愛称は変わりそうにない。

 日本では毎年12月1日になると「ユーキャン新語・流行語大賞」の授賞式が行われ、大きな注目を集める。1年間に日本社会で最も話題になった新 語・流行語60語を選び、その中から大賞を決める。この新語・流行語大賞で、今年すでに大賞の最有力候補に挙げられているのが「なでしこジャパン」だ。な でしこジャパンとは、先月行われたサッカー女子W杯の決勝戦で、世界の女子サッカー界の巨人といわれる米国を下し、奇跡のような優勝ドラマを演じた日本女 子代表の愛称だ。

 「なでしこ」とは、ナデシコ科ナデシコ属の多年草で、6-8月に赤い花を咲かせる。日本では礼儀正しく強い心を持つ女性を褒めたたえる言葉だ。 「なでしこジャパン」の愛称は、04年アテネ五輪の際にファンからの公募により選ばれた。低地の乾燥した場所や川辺の砂地でも良く育つナデシコは今や、逆 境にも屈しない精神を象徴するようになった。

 親しい日本人記者によると「日本の女子サッカーは、過酷な条件での活動を強いられながらも、大舞台でも諦めない精神を見せてくれたため、いっそう 高く評価されているのだ」という。18年にわたり代表でプレーしている日本女子サッカーの「生きた伝説」こと沢穂希(32)は「ここまで来られたのが信じ られない。より多くの方々が女子サッカーを好きになって試合を見にきてほしい」と語った。日本では最近、サッカーをやりたいという小学生の女子児童が増 え、女子サッカーリーグのチケットも販売枚数が急増している。ただ、底辺の選手層は韓国より厚いが、日本代表の選手の中にも日中は働き、夜にトレーニング をするという「二足のわらじ」を履いた選手が少なくない。そのため、選手たちが、東日本大震災の被害映像を見ながら「グラウンドで倒れようとも、日本国民 に希望と勇気を与えよう」と誓ったと聞いたとき、より大きな感動が押し寄せてきたのだ。

 韓国サッカー界の今年の流行語を挙げるとすれば「八百長」以外には思い浮かばない。「闘魂」の二文字をユニホームに刻み付けてW杯に臨んだ「太極戦士」たちの純粋な情熱を懐かしく思っているのは、サッカーファンだけではないはずだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版