All Things Must Pass

森羅万象 ~ 歩く印象派

オメガ-3脂肪酸は魚と野菜から

2009年12月06日 18時01分28秒 | 1年かけてダイエット
 魚を食べると頭が良くなる(!)という曲がいつもスーパーの魚売場に流れていて、少々アタマが痛くなる思いです。

オメガ-3脂肪酸とは聞きなれない名前かも知れませんが、欧米では必須脂肪酸を炭素の2重結合の位置から区別して、オメガ-6、オメガ-3と呼びます。リノール酸の系列がオメガ-6で、アルファ・リノレン酸系列の脂肪酸がオメガ-3です。『オメガ』とはギリシャ語アルファベットの最後の文字ですから、オメガ-3とは脂肪酸の端から数えて 3番目の炭素に2重結合があるという意味です。
1970年代にはリノール酸が血中コレステロールを下げるということで大人気でしたが、今はオメガ-3がモテモテです。リノール酸は善玉コレステロール・HDLも一緒に下げてしまうということが分かったからです。
また、現代人の食生活にはリノール酸のようなオメガ-6が多過ぎることも別の問題になってきました。この2種類のバランスが重要なのです。必須脂肪酸はとても酸化されやすいので、取り過ぎは決して好ましいものではありません。

今では知らない人のほうが多いのでしょうが、竹と紙で作った『番傘』がどの家庭にもあったものです。あの番傘の特有の匂いがオメガ-3、オメガ-6のような多価不飽和脂肪酸の酸化したものです。油絵の具に使われているのもこれで、直ぐ酸化して固まってしまうので乾性油という分類のされかたもあります。

必須脂肪酸はからだが作ることが出来ない脂質で、ビタミンF(FはFatの頭文字)と言われた時代もありましたが、1日に必要な量がビタミン類のようにミリグラムやマイクログラムのオーダーではなく、数グラムは必要なものですから微量栄養素としてのビタミンの仲間からは外れました。

以前からオメガ-3系列のDPAは脳の中に多く存在することが知られていました。だから『サカナ、サカナ…』の歌ができたのでしょうが、魚を食べて頭が良くなったというエビデンスはもちろんありません。そういう短絡的思考は頭の悪い証拠かもしれませんから大いに召し上がってみてください。

必要量は週2回ほど『青魚』を食べれば十分だということになっています。青魚とは背の青い回遊魚のことで、イワシ、サバ、ニシン、ブリ、カツオ、マグロ、サケなどのおなじみの魚です。キャノーラオイル、クルミ、フラックスシード(亜麻の実)などにもオメガ-3は含まれています。
オメガ-3は血液を固まりにくくする働きがあるので、心臓病の多いアメリカではサプリメントとして取ることがあります。1日3グラム以上のオメガ-3を取る場合は医師のチェックが必要だとFDA(アメリカ食品医薬品局)は注意を促しています。人によっては出血が多くなることが起り得ます。

魚は水銀やダイオキシンのような有害物質を食物連鎖の中で濃縮してしまいます。ですから、妊婦、授乳中の母親、子供達は『頭』のためにやたらと食べるのはリスクがありそうです。逆に頭よりも『心臓』にリスクを抱える中年以上の人達には魚のオメガ-3はご利益のほうが大きくなります。どうぞご安心を。
オメガ-3は中性脂肪を下げ、血圧を安定させて血管を健康にしてくれます。糖尿病のある人にはありがたいものですね。(2002年 12月 02日)

関連記事
ダイエット大作戦Ⅱ(ミッション166) 2008年3月2日 上手な油の摂り方・・・花粉症に朗報か?