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森羅万象 ~ 歩く印象派

名門スバル去り…「軽」再編、加速するか

2008年06月15日 12時54分33秒 | 仕事
配信元:SANKEI EXPRESS

04/21 06:04

 1958(昭和33)年の軽乗用車「スバル360」以来の伝統を持つ富士重工業が、軽自動車生産から撤退を決めた。ダイハツ工業とスズキの二強による寡占化が進み、軽も含めた国内自動車市場が縮小する中で、下位メーカーは「薄利多売」が要求される軽の開発、生産を維持するのが難しくなってきている。

■選択と集中

 富士重は、戦前に戦闘機などを手掛けた中島飛行機を前身とし、1953年に発足。スバル360で自動車事業に参入し、スバルブランドは今年3月3日に50周年を迎えたところだった。

 富士重は10日、トヨタ自動車との提携拡大を発表。富士重が、トヨタ子会社のダイハツ工業から軽自動車と小型車の供給を受け、軽の生産からは撤退する。

 富士重の森郁夫(いくお)社長(60)は「スケールメリットが必要な軽や小型車ではトヨタグループの力を活用して選択と集中を進める」と語る。

 軽の生産から撤退するのは、スズキからのOEM(相手先ブランドによる生産)供給に切り替えた98年のマツダ以来。軽生産の継続組は、ダイハツ、スズキ、ホンダ、三菱自動車の4社のみとなる。

 軽自動車販売首位であるダイハツの箕浦(みのうら)輝幸社長(64)は「少しでも生産を継続するなら、開発陣を残す必要がある。中途半端なことはできない」と話し、富士重の決断に理解を示す。

■巻き返し策

 2007年度の軽自動車国内販売シェアは、ダイハツとスズキで前年度比3.3ポイント増の計63.4%を占める。4位に食い込んだ日産自動車は全量をスズキと三菱自からOEM供給でまかなっている。

 ホンダと三菱自は軽販売台数が前年度比で20%以上減少、富士重も15%近い落ち込みだった。

 下位メーカーは巻き返し策を講じている。ホンダの福井威夫(たけお)(63)社長は「国内では軽が重要だ。強化しなければならない」と語り、子会社の八千代工業が三重県でエンジンから完成車までの一貫生産体制を構築し、反転攻勢を目指す。

 三菱自の益子(ますこ)修(おさむ)社長(59)は「1車種当たりの生産量を増やす必要がある」とし、軽乗用車「パジェロミニ」を新たに日産に供給する。

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《販売減少、買い換えも長期化》

 軽自動車販売も2007年度は苦戦している。全国軽自動車協会連合会が4月1日に発表した07年度の新車販売台数は、189万3042台で、前年度比6.8%の減。5年ぶりの減少となった。06年度に各社が軽の新型車を相次いで投入し、203万台の過去最高を記録した。07年度はその反動がでた格好だ。

 排気量660cc以上の登録車はここのところ販売が低迷していたが、好調だった軽自動車販売も低迷したことで、国内の新車総販売台数は、531万9619台と、26年ぶりの低水準となった。

 販売低迷の背景には買い替えの長期化がある。日本自動車工業会が2年に1度実施する乗用車市場動向調査の2007年度版によると、新車保有期間の長期化が年々進んでいることがわかった。新車を購入してから買い替えるまでの期間は前回調査の2年前よりも0.3年伸びて、平均で7.1%となった。20年前のバブル経済期の1.5倍に長期化している。長期化の理由も「痛みが少なく、まだ十分乗れる」というものが最も多い。

 ただ、今後買い替えを早める条件として「非常に低燃費の車が発売されたら」との回答が51%で2年前より10ポイント上昇、次いで「自動車税など関連税が軽減されたら」が40%で同じく5ポイント上昇。経済面を重視する傾向が年々強まっていることが分かり、販売不振に苦しむメーカーにとって、打開に向けた大きなヒントとなりそうだ。