映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

顔のないヒトラーたち  Im Labyrinth des Schweigens

2015-10-28 | 映画 か行
友人のSさんから横浜阪東橋駅近くの「横浜橋通商店街」に韓国食材や惣菜を売っている店が
何軒かあると聞き「カンジャンケジャン」がないか?と、韓国旅行をご一緒したYさんと行ってきました。
「カンジャンケジャン」は子持ちワタリガニの醤油ダレ漬け、めちゃ美味です。
何と!阪東橋はよく映画を見に行く横浜ジャック&ベティのすぐ近く!?
知らなかったよ~。いったい何年横浜に住んでるんだよ!と呆れつつ、
「横浜橋通商店街」ツアー+映画鑑賞とあいなりました。
           
この商店街はテレビ番組でも紹介されたそうで、11月には金毘羅大鷲神社の酉の市が
賑々しく開催されるそうです。
関西では馴染のない酉の市。今年は5日、17日、29日の3回開催されるそうです。
3回のうち1回は行かなくっちゃ~!
カンジャンケジャンは無かったですが、ワタリガニとネギのキムチを買ったきました。辛~い!
商店街でショッピングの後ジャック&ベティへ。こんなに近かったなんて…。

見たのは気になっていた「顔のないヒトラーたち Im Labyrinth des Schweigens」。
学生時代ドイツ語をとったのですが…恥ずかしながら忘却の彼方へ。
原題訳の英語のタイトルは「Labyrinth of Lies」。「嘘の迷宮」。原題には「Im」が付いているので
「嘘の迷宮の中で」というような意味だと思います。
「顔のないヒトラーたち」というタイトルは映画を見れば意図するところはわかるのですが、
この題名だけでは難しいですね。

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        顔 の な い ヒ ト ラ ー た ち

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 < ストーリー >
1958年フランクフルト。終戦から10数年が過ぎ、復興の中人々の意識から戦争の記憶が薄れ
かけていた。ある日、ユダヤ人のシモンはアウシュビッツ強制収容所で親衛隊員だった男が
規則に反して教師になっていることを知る。ジャーナリストのグルニカと共に検事局へ行き
訴えるが、相手にされない。正義感に燃える新米検事のヨハンは、上司の制止も顧みず
彼らと共に調査を開始。様々な圧力を受けながらも、収容所を生き延びた人々の証言や
膨大な資料を調査し、ナチスが犯した罪を明らかにし、ようやくアウシュビッツ裁判にこぎつける。

いやぁ、非常に見応えのある映画でした。
本作で描かれる人たちの尽力で開かれることになるアウシュビッツ裁判で裁かれる、
元看守女性を描いたのが「愛を読む人」、
本作で追いかけるアイヒマンがドイツではなくイスラエルで裁かれるときに登場するのが
「アンナ・ハーレント」というふうに繋がっていくのですね。
以前見た「私は貝になりたい」や、たまたまTV放映で見たオーストラリア映画「アンボンで何が裁かれたのか」など戦争の不条理を前に、言葉を失ってしまいます。

今では世界中で誰もが知る第二次大戦中のユダヤ人強制収容所の象徴たるアウシュビッツですが、
戦後10数年が経過した時、「アウシュビッツを知っているか?」と問われて知らない若者が多かった
ということに驚かされました。
加害者であったドイツ人も、当事者ではなかったドイツ人も、被害者であったユダヤ人も、
過去のこととして胸の奥にしまい多くを語らず。
「正義を貫け(だったかな?)」という父の言葉を胸に検事になった本作の主人公ヨハンも、
知らなかったひとりです。
たまたま収容所で看守をしていた男が違法である教職に付いていることを知らされ、義憤を覚え
「手を引け」という周りからの圧力に屈することなく膨大な資料を調べるヨハンの状況は
まさに原題の「嘘の迷宮の中で」彷徨っているようでした。
   資料開示の協力を求めたが…
         
                                   膨大な資料をひも解く地道な作業。
その過程で、当時多くのドイツ人がナチス党員にならざるを得なかったこと、
戦後過去を隠して要領よく立ち回った者、心に傷を抱え悔恨の日々を送る者の存在、
戦争を知る戦争で傷ついた世代と戦争を知らない世代の葛藤など、ヨハン自身も傷つきながら
ドイツ人自身によって戦争中の刑事犯罪を裁くフランクフルト・アウシュビッツ裁判開催の扉が開く。

ニュルンベルク裁判において裁かれなかったナチスの過ちに対する責任が問われた裁判で
1963年12月から1965年8月まで行われ、収容所幹部ムルカらをドイツ人が裁いたもので
正式名称は「ムルカ等に対する裁判」というそうです。

「死の天使」と呼ばれた医師ヨーぜフ・メンゲレを追い詰める描写には手に汗を握りました。
メンゲレは南米で行方をくらませ手が届かず、南米でモサドに捕まったアイヒマンは
ドイツでなくイスラエルで裁かれたことは残念でした。

       生存者に聞き取り調査。
辛い過去を語ることは、その辛い過去を追体験すること。
誰にとっても辛いことです。
その辛さを越え、ドイツ人のナチスドイツに対する歴史認識を変えることになった過程を描く
お奨めの作品です。



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 ***** 見た 映画 *****

 10月21日 「顔のないヒトラーたち」@横浜ジャック&ベティ


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