仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

痛みの哲学

2015年05月21日 | 日記
『 ひとりで苦しまないための「痛みの哲学」』を図書館で借りてきました。 熊谷晋一郎さんが、 大澤真幸, 上野 千鶴子, 鷲田清一, 信田さよ子さんなどと対談した本です。

熊谷晋一郎さんは、「1977年生まれ。新生児仮死の後遺症で、脳性まひに。以後車いす生活となる。東京大学医学部卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務、東京大学大学院医学系研究科博士課程での研究生活を経て、東京大学先端科学技術研究センター特任講師、小児科医。著書に『リハビリの夜』(医学書院、第9回新潮ドキュメント賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)」とある方です。

本を読んだ感想は、「現代は、障害者が障碍者として生きられ時代になった」というものです。1980年代頃までは、健常者でなれば人にあらずといった“大きな物語”があり、。脳性まひの障害者は、少しでも健常者に近づくように、苦痛を伴うリハビリを強要されたようです。これはろう者も同じでしょう。手話ではなく、読唇術(とくしんじゅつ)という、声が(十分に)聞こえなくても唇の動きから発話の内容を 読み取る方法でした。これは聴者(健常者)中心の発想です。

対談の中で、横塚晃一著『母よ!殺すな』が紹介されていました。この本の復刊本の紹介に次のようにあります。

 日本における障害者解放運動、自立生活運動の内実と方向性を大きく転換した「青い芝の会」、その実践と理論の支柱だった脳性マヒ者、横塚晃一が残した不朽の名著。 1981年すずさわ書店版を底本とし、未収録だった横塚の書き物や発言、映画『さようならCP』シナリオ、追悼文、年表などを大幅に補遺、解説に立岩真也氏を迎え、決定版として、ここに待望の復刊!
「泣きながらでも、親の偏愛をけっ飛ばす」と言い切って自立生活へと向かい、「あってはならない存在」とされることの不合理を身をもって糾し続けて、人々に大きな影響を与えたその思想は、自立の意味が改竄され、市場経済優先主義の中に掠め取られようとする危機にある今こそ、読まれなければならない!
横塚晃一著『母よ!殺すな』(すずさわ書店、1975年)は、1978年に42歳で他界した障害者運動のリーダー、横塚晃一の発言集です。(続く)
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音声同時翻訳

2015年05月20日 | 日記
新聞(27.5.20)を開くと“統一地方選で、「筆談ホステス」として知られる斉藤里恵さん(31)が初当選した東京都北区議会は19日、聴覚障害者への対応として、音声同時翻訳ソフトなどを導入すると発表した。こうした取り組みは全国初”という記事が出ていました。

音声同時翻訳ソフトの入ったパソコンを使用するとのこと。導入費用は約400万円とあります。本願寺の法話でも、音声同時翻訳で、モニターに文字が表記されれば、耳が聴こえにくくなっているお年寄りも助かるだろう。たまに手話通訳を取り入れていますが、文字化も検討すべきでしょう。
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手話は言語

2015年05月19日 | 日記
今朝(27.5.19)の『読売新聞』に、“手話は言語 普及へ条例”という生活調べ隊の記事が出ていました。

記事によると「手話言語条例」を各自治体が作っていると、手話言語条例を作った自治体として、

 鳥取県、石狩市(北海道)、新得町(同)、松阪市(三重県)、嬉野市(佐賀県)、鹿追町(北海道)、加東市(兵庫県)、萩市(山口県)、篠山市(兵庫県)、神奈川県、群馬県、大和郡山市(奈良県)、郡山市(福島県)、名寄市(北海道)、神戸市、明石市(兵庫県)、三木市(同)、城陽市(京都府)  (条例が成立した順)

以上、ピップアップされていましたが、昨年12月神奈川県も条例化(施工は27.4月)されているので、情報が漏れているところもあるようです。

数日前、言葉のことを書きましたが、「手話は言語」であることは、国連が06年、手話を言語と位置づけ、手話が使える社会づくりを目指す障害者権利条約を採択し、追従する国が増えているようです。

ずいぶん古いデーターですが、記事に「厚生労働省の2006年の調査では、国内の聴覚障害者は約27万人。うち約5万人が手話を使っているとみられる。一方、同省によると、公的資格の手話通訳士は全国に約3200人。」とありました。また「13年10月、全国で初めて条例を制定した鳥取県。企業の手話学習会に助成金を出したり県民向けの手話講座を開いたりし、計約2200人が手話を学習した。手話ハンドブックを小中高校に配り、学校での学習機会も増やした。全国手話検定試験の県内受験者は11年度に約120人と、13年度の67人からほぼ倍増した。」とあります。


仏教婦人総連盟機関紙「めぐみ」に、マンガの原作を書いていますが、第2作目が手話をからめているので、参考になりました。
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植物の知恵

2015年05月18日 | 日記
昨日は結婚披露宴出席のため、法務に引き続く、駅前に車を留め置き東京へ。早朝、車と取りに行きラジオ放送を聴いていると、アナウンサーが麦踏みの便りを紹介されていました。

ラジオ放送を聴きながら、先般紹介した、イネ科植物の分けつの話、成長点が穂先ではなく下にあるので、イネは分けつして成長する話を思い出しました。

麦もまた、成長点が根元にあるので、麦踏が有効となるのだろうと思いながら、ネットで見ると、下記のようにありました。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1424691854

>麦は踏まれたらより強くなると聞きました

私はこの点に注目して回答させていただきましょう
単刀直入にいうと本当
これは「エチレン」という植物ホルモンを働かせる事によって行われます
余談ですが
最近のもやし、むかしのものに比べて随分太くたくましくなったように思いませんか?
これ、エチレンを人工的に与えてやっているからです
エチレンは栄養素ではなく、一種のホルモンとして働きます(ガスのホルモンは珍しい、人間のホルモンの多くはたんぱく質かステロイドだ)
これ、植物が生長するとき、伸びてゆく先に邪魔なものがあったときに面白い作用を起こします
植物が芽を出そうとしたとき、上に石がありました
このとき、石にぶつかって僅かに植物が傷つきます
すると、傷口からエチレンが放出され、植物はコレを感知、なんと茎が太くなって、石を押しのけようと働くのです

つまり、エチレンは植物の茎を太くする作用があるということです(逆に、背は伸びなくなる)
ムギを踏むことにより、傷が付く→エチレン発生→茎が太くなる ということ
太くなった茎は風で倒れにくく、さらに分枝も多く出てきます
それで、強い麦になるのです(以下省略)

成長点が根元にあるだけではなく、エチレンというホルモンを生成して、強くなるとのこと。植物の知恵でしゅか。
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愚か者の哲学

2015年05月17日 | 日記

“ポストモダン”とは、大きな物語の失墜といわれ、1980年以降、大きな物語に変わる「自分探し」が流行るようになったように思われます。それは同時に「物の豊かさ」から「心の豊かさ」へと、社会のベクトルが動いていったということでもあります。

本当の自分とは何か。図書館で借りてきた『愚か者の哲学』に竹田 青嗣(たけだ せいじ・早稲田大学国際教養学部教授)氏が、哲学の方向から記述していました。参考になるので紹介しておきます。
要約すると、なぜ本当の自分を探すのか?といえば、それは苦悩からの逃避、現実の否認の結果であり、本当の自分がどこかにあるはずだ、という推論に力を与えるのは「苦悩」であり、本当の自分とは、苦悩からの逃避であり、現実の否認の結果にすぎないという。
“「この世は苦しい。だから本当の世界(自分)が存在するはずだ。」これが問題の推論です。”

生活をうまくやっていけないと感じる理由を3つ上げらおられます。

他人とうまくやっていけない場合
関係のスキルが未熟。-自己ルールを他人のルールにうまくあわせたり、調整ができない。

自分自身と折り合えない場合
自己了解のスキルの不足。-自己理解(自画像)と身体化された自己ルール(無意識)とのズレが大きい。

ルサンチマン(恨み)を処理できない場合
怒りや恨みの感情エネルギーを、特定の誰か、あるいは何かという対象に向け続けていて、新しい可能性を開くことができない。

結論として、本当の自分は探すものでなく作るものであり、自己とはひとつの実体というよりもむしろ絶えざる関係なのですとあります。

大きなの物語が自分らしさを証明してくれた時代から、自分独自の小さな物語を求める時代へ、そしてその物語を見つけだせずにマスコミや時代の流れにゆだねて生きる時代へと時代は移りつつあるようです。

自分の立脚地が不明確という点では、時代へのパラサイト的生き方とでも言えます。この当たりが浄土真宗の開教の現場でしょう。
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