仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

弱者の戦略

2015年05月07日 | 日記
数日前から引用している農学博士の稲垣栄洋氏の本を数冊借りてきて読んでいます。昨日は『弱者の戦略』(新潮新書)を読みました。動物、昆虫、植物の色々な生き延びるための戦略が記述されていて面白く読みました。

田植えされた苗は、その後、1本の苗が根元から分かれて、増えていく「分けつ」のことを聴いてことがありますが、それも作物の戦略だと記述されていました。以下転載。


草食動物に食べられることによって進化した植物のひとつがイネ科植物である。
 通常の植物は成長点が、茎の先端にある。こうして細胞分裂した新しい細胞を上へ上へと積み上げていくのだ。しかし、それでは草食動物に茎の先端を食べられてしまうと、成長が止まってしまう。そこでイネ科植物は、まったく逆の発想で成長する仕組みを身につけた。それは成長点を下に配置するということである。
 イネ科幃物の成長点け株元にある。そして上へ上へと葉を押し上げるのである。これならば、葉の先端をいくら食べられても成長を続けることができるのである。しかし、この方法には問題がある。
 上へ上へと積み上げていく方法であれば、枝を増やしたりして葉を茂らせることができる。しかし、作り上げたものを下から押し上げていく方法では、葉の数を増やすことができないのだ。
 そこで、イネ科植物は成長点を次々に増やしていくことを考えた。これが分蘖である。成長点を次々に増殖させながら、押し上げる蘖の数を増やしていくのである。こうして、イネ科植物は株を作るのである。

…そこで、イネ科植物は、葉を食べにくくするために、ケイ素で葉を固くすることを考えた。ケイ素はガラスの原抖にもなる物質である。イネ科のススキの葉で指を切った経験をもつ方もおられるだろう。このようにイネ科植物は、葉のまわりをケイ素で刃物のように守ったのである。こうして、草食動物に食べられないように身を守っているのである。
 イネやコムギ、トウモロコシなどイネ科の作物は多いが、どれも、葉は食べることができない。それは、イネ科の葉が固く、我々人間では消化することができないからなのである。
 ところが、こんなに身を守ったイネ科植物を食べる動物もいる。それがウシやウマの仲間である。ウシは、固いイネ科植物の葉を消化するために、四つの胃を持つようになった。また、ウマは、盲腸を発達させて、イネ科植物を消化している。高度に進化したイネ科の植物をエサにするために、草食動物もまた、進化を遂げたのである。こうして守る植物も、それを食べる生物も、共に進化していったのである。(以上)

成長点がトップではなく、一番低いところにある点は、浄土真宗のみ教えに通じるところがあります。底下の凡夫が仏への成長点であるというところです。
コメント
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