仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

都市開教のいま2①

2024年03月07日 | 都市開教

宗派が出している「季刊 せいてん no146」(2024 春の号)に限界の続き「インタビュー」が掲載されています。2回にわかて転載します

 

都市開教のいま2

 

千葉県・西方寺住職 布教使   西原祐治さん

 

都市開教のいま・前号から西方寺住職・西原祐治さんへのインタビューをお届けしています。今回は、西方寺の活動や今後の伝道のあり方についてのお話。長きにわたる都市開教の経験と、現状を冷静に見つめることによって生まれたアイデアの数々は、私たちの視野を広げてくれます。

 

  • 法話会での心がけ

-お寺の活動についてお聞きしたいと思います。法話会をされておられますが、何名くらい参加されていますか?

西原 コロナで少し減りましたが、コロナの前は毎月五、六十人くらい来られてましたよ。

―多いですね。何か工夫されていることはありますか?

西原 毎回、初めて法話会に来る人が二、三人ほどいるんですね。初めて来た時の講師の法話が良くなかったら、「あー こんなものか」となって、もう来てもらえないんですよ。だからそういう意味では毎回必死です。

-やはりどの講師に来ていただくのかということはとても大事なんですね。

西原 初めて来る方は、もともと縁があったわけではないので、良くないと思えば次からは来なくていいわけです。その人は自分の自由意志で来ているので。

 だからうちのお寺は、初めて来てもらった時に、私の本に「初法座参拝記念」という言葉、日付。そして最後に「南無阿弥陀仏」と揮毫して、私の印もいれて贈呈するんです。これは、あなたが来ることを歓迎してますよというメッセージです。お寺にあまり縁がなく、初めて来た人は「来ていいんだろうか?」って思いますから、「歓迎してますよ」という意味で贈呈しています。ついこの前も、新しい人が二人來てくれたときもそうしました。

-そういったご法座の案内というのは、積極的にしておられるんですか?

西原 毎月寺報を出していまして、そこで案内をしています。毎回十人ほどのご門徒が発送作業を手伝ってくれるんですよ。その後にお茶を飲んで帰られるんですけど、私か作業できない時でもみなさんがやってくださって、お茶を飮んで帰っていかれます。

 

  • 広い視野に立つて

-他に都市開教で気をつけておられる点はありますか?

西原 ご門徒の寺への帰属意識というのも大事ですが、今はあまり重要視していないですね。というのは、都市では同じ場所に三代にわたって住みませんから。二代がせいぜいですね。ただ、うちの寺は墓地を経営してますから、お墓がある方たちは比較的定着率が高い。とはいえ、法話会に来る人は一代が多いです。そんな状況ですから、年を取ったら「息子が長野で住んでるから長野へ行きます」と、お骨ごと移す人もいるんですよ。だから個々のお寺でなくて、宗派への帰属意識の方を意識しています。そういう思いから、ある時期には毎年二十名ほどがうちのお寺から帰敬式を受けてもらっていました。帰敬式を受けてもらうことが、宗派への帰属意識につながるんです。教えを伝えるという意味では、自分のお寺だけじゃなくて、もう少し広く考えた方がいいということです。

-都市開教では、もともとご縁のない人とどうつながりをつくるかが難しいと思います、そのあたり何かお考えがありますか?

西原 私は現在、首都圏開教企画推進会議の委員をしています。この会議は十年単位で活動の企画を考える会ですが、今までは社会のニーズに沿って必要なものを考えれば良かったんですよ。だから当時の築地本願寺に欠けているものを考えて、納骨堂とか、電話の対応窓口などを設置したりしたんです。あるいは倶楽部を作ったり。でも、今からはソフト、つまり「考え方」が大事になると思います。

考え方をどのように構築するのかということです。都市開教で考えた場合、それはやっぱり「苦しみへの対応」だと思っています。例えばキリスト教であれば、開教の一環で病院や学校を建てたりしますよね。そういう戦略の中で地域に入っていったわけです。新興宗教だったら「思い通りにならない人生を思い通りする」ということで取り組んできた。

 じゃあ、わが宗派はどうするかというと、「思い通りにならない状況の中で、思い通りになったことだけにしか安らぐことのできないという人間的な結果、それが迷いのあり方であることが、自らの苦しみを通して明らかになる」というのが、私の結論なんです。

 しかし、三十五年やっても、教えに共感してくれる人の数はあまり増えていません。ですので、宗派の都市開教のこれからの十年、二十年の指針を考えた時、考え方からのアプローチが重要であるのは間違いないんですが、現場ではちょっと難しいかなと思ってるんですよ。(つづく)

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