仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

「しあわせの高齢者学2」①

2024年06月17日 | 日記
『しあわせの高齢者学2』(2023/4/8・樋口範雄編集)、内容は下記の通りです。

【第1部】<基調講演>
「長寿社会に生きる~セカンドライフの上手な設計~」秋山弘子(東京大学名誉教)
【第2部】
・「加齢とお金の管理」駒村康平(慶應義塾大学 経済学部教授)
・「人生を彩る 人や社会とのつながり」菅原育子(西武文理大学 サービス経営学部 准教授)
・「互恵のための遠隔コラボレーションシステム」葛岡英明(東京大学大学院 情報理工学系研究科教授)
・「高齢者と法律の関係」樋口範雄(武蔵野大学 法学部特任教授)
【第3部】<法学研究所シンポジウム>
「高齢者法のカリキュラムと実務家教員の活躍の可能性―これからの『高齢者法学』の確立を目指して―]
【第4部】
「古希式のビジネス法務学」池田眞朗(武蔵野大学大学院法学研究科長・教授、同大学法学研究所長)(以上)

法話なので、話のタネなるような話題が多くありました。少し拾ってみます。

「長寿社会に生きる~セカンドライフの上手な設計~」秋山弘子(東京大学名誉教)からの転載です。

 35年前、当時は日本の高齢者のデータは臨床データしかありませんでした。医療機関を通して得られる診断名、人院・通院日数などのデータはありましたが、一般高齢者の健康状態や経済、人間関係に関するデータ、さらに加齢とともに、それがどう変化していくかを理解するデータはありませんでした。
 そこで、1987年に60歳以上の方を住民基本台帳から無作為に抽出して、約6000人の人たちにおおよそ3年ごとに同し質問をしてきました。心身の健康や、経済状態、人間関係の訪問面接調査を行っています。毎回、同じ質問をするので、日本の高齢者の健康、経済、人間関係が加齢とともにどのように変化するか把捉できます。今まで10回調査して、来年11回目の調査をする予定です。

 膨大なデータとなりましたが、1つだけ分析結果をご報告したいと思います。
 健康に関する質問の中に、「生活の自立度」を訪ねる項目があります。誰でも日常生活の中でするような行為として、「お風呂に入る」とか、「短い距離を歩く」などです。また少し高度といいますか、認知能力も必要な行為として、「日用品の買い物物をする」「銀行に行ってお金を引き出す」「バスや電車に乗って外出をする」などが、道具や他の人の助けがなくても出来るかどうかを訪ねる簡単な質問です。
 そうしたデータを同じ人から約3年ごとに集めています。それを使って日本の高齢者の生活自立度がどのように変化していくのか明らかにするのが目的でした。
 すべての項目がI人でできる人は3点として、これは、一人暮らしが十分できる人です。
 基本的な行為、すなわち、短い距離を歩く、お風呂に入ることはできるが、バスや電車に乗ってI人で出掛けるのは難しいかなという人を2点としました。両方に支援が必要な人がI点、途中でなくなられた方も多いので、それをゼロとして得点化しました。

それを解析した結果、日本の高齢者の生活自立度の変化の典型的なパターンが明らかになりました。男性の場合は次の3パターンです。

○パターンー1
 約2割の方が70歳になる前に、多くの場合、心臓疾患やがんなどの生活習慣病で亡くなる。
Oパターン2
 1割強の男性は80歳、90歳になっても。元気で活助している。
○パターン3
 残りの7割ぐらいは、70歳代の半ばあたりまでは。一人暮らしができるぐらい元気ですが、そのあたりから少しずつ支援が必要になってくる。

人生100年時代に70歳前に亡くなるのは若死にです。そういう人が女性は男性の半分ぐらいです。9割近い女性が70歳代の初めか半ばあたりから、男性よりも緩やかに支援が必要になって、自立度が落ちてきます。骨や飭肉が弱って歩行が困難になるカースが多いようです。女性はすぐさま命に関わらない障がいを持って生きる時間が長いといえます。

次に1回目の調査と15年後の調査を比べて、1回目の調査のときに元気だった人、3点たった人が15年後にどうなったか調べました。男性の半分ぐらいは已に亡くなっていて、女性は障がいを持って生きている人が多いことがわかりました。
 そこで、15年後も元気で生きている人と、そうではない人と何か違うのかを調べました。
 前回訓査のときに、持っていた病気や喫煙が影響することは、国際的にも実証されています。
 もう少し社会的な要因に焦点を当てて調べたところ、男性の場合は15年後も元気だった人は、初回調告のときに団体やグループに参加していた人でした。自治会やボランティア活動、趣味の会、生涯学習、スポーツのグループなど何でもいいのですが、仕事以外のグループに属して、そこで活動していた人が15年後も元気でした。(つづく)
コメント
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