
法話メモ帳より
『仏説無量寿経』
我聞きたまえき かくのごとき。一時、仏 王舎城耆闍崛山の中に住したまいき。大比丘衆、万二千人と倶なりき。一切の大聖、神通すでに達せりき。
その名をば、尊者了本際・尊者正願・尊者正語・尊者大号…
その大号尊者の逸話です。
釈尊に大号尊者という弟子がある。彼が商人であったとき他国からの帰途、道に迷って日が暮れた。
宿もないので仕方なく、墓場の近くで寝ていると無気味な音に目が覚める。
一匹の赤鬼が、人間の死体を持ってやって来るではないか。いで木に登って震えながら眺めていると、間もなく青鬼がやって来た。
「その死体をよこせ」と青鬼が言う。
「これはオレが先に 見つけたもの、渡さぬ」という赤鬼と大ゲンカがはじまった。
その時である。赤鬼は木の上の大号を指さして、「あそこに、 さっきから見ている 人間がいる。 あれに聞けば分かろう。証人になって 貰おうじゃないか」と言い出した。
大号は驚いた。
いずれにしても食い殺されるのは避けられぬ。ならば真実を言おうと決意する。
「それは赤鬼のものである」と証言した。
青鬼は怒った。大号をひきずり下ろし、片足を抜いて食べてしまった。
気の毒に思った赤鬼は、誰かの死体の片足をとってきて大号に接いでやった。
激昂した青鬼は、さらに両手を抜いて食べる。
赤鬼はまた、他の死体の両手を取ってきて大号につけてやった。
青鬼は大号の全身を次から次に食べた。
赤鬼はその後から、大号の身体を元どおりに修復してやる。
青鬼が帰った後、「ご苦労であった。 おまえが真実を 証言してくれて 気持ちが良かった」と赤鬼は礼を言って立ち去った。
一人残された大号は、歩いてみたが元の身体と何ら変わらない。
しかし今の自分の手足は、己の物でないことだけは間違いない。
どこの誰の手やら足やら、と考えた。
街へ帰った彼は、「この身体は誰のものですか」と大声で叫びながら歩いたので、
「大号尊者」とあだ名されるようになった。(以上)
上記の話は、児童文学全集「印度童話集」に掲載されており、『(自選)ー大岡信詩集』略年譜に「要約」が紹介されている。
出展がわかりましたら、またご紹介します。
二匹の鬼…譬え話がどこに出るものか気になって検索していてたどり着きました。この話が大号尊者の逸話であるとは存じませんでした。
仏教伝道協会「仏教聖典」によれば大智度論が典拠としてありました。SATで確認したところ原文を見ることができましたが、
1509_,25,0148c05(04):如有一人受使遠行。獨宿空舍。〜
大号尊者はここには出てこないようです。
おたずねですが、先生が書いておられる大号尊者の逸話は何を見れば出ているのでしょうか?ご教示よろしくお願いします。南無
ご教示よろしくお願いします。