仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

水を飲むとき,井戸を掘った人を忘れてはならない

2015年07月24日 | 日記
中国のことわざで「喝水不忘掘井人」(水を飲むとき,井戸を掘った人を忘れてはならぬ)を、放送大学で紹介していました。

この言葉は、日中国交正常化の際には田中角栄総理が中国を訪問する2日前、周恩来は岡崎嘉平太をもてなすために、食事会を開いた。「中国には『水を飲むときには、その井戸を掘ってくれた人を忘れない』という言葉があります」「まもなく田中総理は中国に来られ、国交は正常化します。しかしその井戸を掘ったのは岡崎さん、あなたです」と言ったという。

そして1972年、日中国交正常化の際に訪中した田中角栄首相を周恩来首相が迎えた際の言葉として知られています。

放送大学を聴きながら、「水を飲むとき,井戸を掘った人を忘れてはならぬ」は、果たして日本人が受け取っているような、恵みに対する感謝という単純な話ではないのではないかという思いを持ちました。

そのような思いを持った背景は、戦後70年、中国共産党の思想啓発があるにせよ、いつまでも日本に謝罪を求める執念は、「水を飲むとき,井戸を掘った人を忘れてはならぬ」と同列の精神構造から来ているのではないかという疑問です。

恩には、色々な意味がありますが、『世界大百科事典 第2版の解説』に
おん【恩】
恩はほんらい〈恵み〉を意味し,神の恵み(愛)や仏の恵み(慈悲)をさしたが,のち中国や日本では君主や親の恵みという考えが強調されるようになった。インドの仏教は縁起(相互依存)の思想によって人間の横の結びつきを重視したのにたいし,中国の儒教は忠孝を説く五倫五常(精神的秩序)の思想によって人間の縦の関係に注目したが,この考え方の違いが恩の観念にも反映した。仏教ではインド以来〈四恩〉が説かれたが,それは《正法念処経》では母,父,如来,説法の師の恩とされ,《大乗本生心地観経》では父母,衆生,国王,三宝の恩とされている。 (以上)

上記のように、中国は「中国の儒教は忠孝を」恩という言葉で示したようです。「恩」が、タテの権力構造の中で考えられるものだとしたら、「水を飲むとき,井戸を掘った人を忘れてはならぬ」は、「中国の現在の繁栄は共産党が悪しき日本を成敗したから」だとなり、「憎むべきは日本」と、共産党の恩を強調するために、日本をたたくという現在の構造が成り立ちます。

恩にも色々あるということでしょう。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« キラキラネームの背景 | トップ | 恩について »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
周恩来 (iina)
2015-08-09 10:38:01
「水を飲むとき,井戸を掘った人を忘れてはならぬ」を説いた方は、周恩来でした。恩を忘れてはいけません。

しかし、当たり前のように飲める井戸のことまで思いを馳せることはありません。

おいしい水をたっぷり飲んで、体調を維持したいです。



返信する

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事