骨で聴く異世界

耳を使わずに「聴く」世界を旅します。耳をふさいでいても聴こえる世界です。

八坂駅を骨で聴く

2011-04-08 11:22:14 | 骨で聴く鉄道駅

 八坂駅という駅名は、岐阜県の長良川鉄道越美南線にありますが、もうひとつ、東京の東村山市にもあります。西武多摩湖線の駅です。今回は骨伝導ヘッドセットとともに、西武新宿線の小平駅から拝島線に乗り換え、さらに一つ先の萩山駅で多摩湖線に乗り換えて一つ目の八坂駅に行きました。

          ⇒ 小平駅を骨で聴く
 
 実はこの周辺には西武線の路線が入り乱れるようにあり、同一会社なのに異なる路線が交差しても、そこに乗換駅がないエリアです。西武国分寺線とはこの先でほぼ十字型で交差していて、お互いの電車は素通りしていきます。
 それは路線の歴史にあるといえます。

 西武多摩湖線は、元々は多摩湖鉄道が開業した路線で、それを武蔵野鉄道(現在の西武鉄道)が1940年に合併したものです。沿線の状況と歴史に翻弄され、複雑な路線の伸縮、駅の改廃・改称を繰り返しててきました。
 一方、西武国分寺線は、西武鉄道の路線の中で最も歴史の古い路線です。
 川越鉄道が敷設した路線で、もともとは国分寺駅から川越駅(現在の本川越駅)間の路線でした。現在は新宿から本川越間が本線になっていますが、歴史的にはそうなのです。この川越鉄道とは、甲武鉄道の子会社でした。これが1927年に東村山駅から高田馬場駅間が開業したことで、現在の新宿線が完成し、国分寺駅から東村山駅の間は分離されてしまい、支線となったのです。

 要するに多摩湖線と国分寺線は平行して走る区間があっても、成り立ちから会社から異なっていた名残がそのまま現在に反映しているのです。

 多摩湖線は単線のローカル色が濃厚な路線ですが、八坂駅の近く、萩山駅構内から回田信号所の間のみ複線になっています。八坂駅自体は1面1線の単式ホームです。上りも下りも同一ホームですから、東京都内では珍しい部類に入るでしょう。それでいて盛土上にある高架駅で、駅のすぐ隣で府中街道と立体交差していますから、この構造は都内で良く見かけるタイプになります。
 何ともおもしろい駅です。

 1日平均乗降人員は5,529人で、西武鉄道全92駅中77位ですから、決して多いわけではありません。それもそのはずで、本線である支部新宿線の久米川駅とは約700mしか離れていません。しかも二つの駅を結んでいるのは商店街です。
 都心方向への通勤・通学客は、どうしても多摩湖より新宿線を利用する傾向が高いでしょう。

 八坂駅としての歴史は、昭和17年にさかのぼります。
 太平洋戦争の真っ只中です。陸軍少年通信兵学校と陸軍兵器補給廠小平分廠が沿線に建設されることとなり、軍部から停留所の設置をもとめられたのが駅の始まりでした。その後は紆余曲折あり、他の路線がつぎつぎと休止されたものの、多摩湖線は走り続け、八坂駅は残ったのです。

 府中街道が4車線化されたことにより、現在では新駅舎になっています。府中街道立体交差の橋が架け替えられ、きれいな駅になっています。この府中街道を東村山方向に進むと、駅名の由来にもなった八坂神社があります。骨伝導とともに以前取り上げた荘厳な神社です。

          ⇒ 東村山八坂神社を骨で聴く

 府中街道の激しい騒音対策として骨伝導が活躍する場面は多く存在します。
 多摩湖線の雰囲気にも、耳をふさがない骨伝導は有効に作用する気がします。普段滅多に乗車しない路線で、気軽に、自由に気にいった駅で乗り降りする際に、骨伝導の威力を確かに感じます。難聴者にも気軽さが大いに感じられることでしょう。

          ⇒ 特許技術の骨伝導製品

 被災地への救援でも活躍したことと思われる米軍採用の特許技術・骨伝導は、こんな小さな旅でも大いに役立ちます。改めて御礼を述べたいくらいです。
 そして八坂駅との出会いにも「ありがとう」と言いたいと思います。


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