春の嵐が列島を襲った昨日(2012年4月3日)。老犬が永眠しました。御年19歳。犬としては長寿を全うしたといえるでしょう。怒涛のように吹き荒れる嵐は、生きてきた時代を拡散し集約するための舞台だったのかもしれません。
時は一定の方向に流れていることを痛切に感じました。そんな時の流れを意識することが、ビジネスにもあります。ライフサイクルです。時代の変化という外的環境だけでなく、内的な部分に潜む環境も刻一刻と変貌しています。そんな感傷にふけりながら、山梨県の下部温泉駅を骨で聴きます。
下部温泉は「弘法倶楽部(⇒
web版)」第3号から幻の第4号に登場しました。その玄関口の駅が下部温泉駅です。所在地は山梨県南巨摩郡身延町常葉、JR東海の身延線の駅です。
変わっている点があります。
駅舎からホームへ構内踏切を利用するのは田舎の駅によくある光景ですが、この構内踏切は駅の外にある県道の踏み切りと並行していることです。従って県道から駅舎を通らずに直接構内踏切をへて駅へと入ることができます。もちろんこれは違反行為で、駅舎を通って入るような掲示まであります。
駅舎は開業当初からの木造平屋建てで、歴史を感じさせる建築物です。黒い瓦がなかなか風情を出しています。先月まではJR東海の直営駅で、みどりの窓口や自動券売機も設置されていましたが、身延駅管理の簡易委託駅となり、下部観光協会が業務を受託しています。ただし温泉の玄関口の駅らしく、観光客が多い土、日、月曜日だけで、それ以外の日は無人となります。
これも時代の流れなのかもしれません。
この下部温泉駅から温泉街に入ると、「弘法倶楽部」に掲載された秘話が展開されます。
ここでも時の流れを感じることになりますが、そのときの紹介記事を少し載せ、骨伝導を使って音読したいと思います。
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「日蓮伝説の北、名湯・下部温泉に謎の加持祈祷所が静かに語る!」
この情報は、有名な温泉地である下部温泉について、従来の温泉紹介では決して触れることのない謎を提供しています。信玄の隠し湯だけが下部温泉ではありません。
但し、謎・ミステリーではあるものの、その背景には壮大な人間ロマンがあふれているのです。今まで誰も公に語られることのなかったドラマが、温泉地に展開されていたのです。
中央本線の甲府駅から身延線に乗り換えると、日蓮伝説に彩れた谷間に入っていきます。身延山の手前に山梨の名湯・下部温泉はあります。
湯治場の雰囲気を一部に残すものの、近代的な温泉街に近い風情にもなっています。しかし常識外れの紀行ライター・ドラケン石原は、この温泉地に封印された謎の加持祈祷所へと向かいます。日蓮の足跡が残る地域に、真言密教の加持祈祷所がひっそりとあるのです。現在の場所に移る前には、様々なドラマがあったといいます。だが、なぜここに加持祈祷所が? 現在の姿はいかに? 膨らむ期待と不安。
この加持祈祷所を調査するため、町の史料・資料を紐解いてみました。しかし、そこからはミステリー色がより強くなるだけです。そこで生き字引ともいうべき古老を訪ねます。下部温泉に封印された真言密教の加持祈祷所の輪郭が垣間見えてきました。それはこの温泉地に展開された「信仰」のドキュメンタリーでした。伝説化しながらも、忘れ去られようとする祈祷所に秘められた物語。名湯として知られる下部に隠された真実の姿が見えてきました。
謎に包まれ、
歴史に封印された
謎の加持祈祷所!
ここを訪れた旅人は、この地が高野山から続く荘厳な霊場であることを知りません。その霊気はこの祈祷所に封印されているからです。何気なく訪れる温泉観光客には想像も出来ないことです。この情報を知ってしまったならば、たとえ身延山に参拝に行く人でも、ここを無視することはできないでしょう。
もちろん、この地に来たからには温泉に入らなければ意味がありません。無色透明のやさしい湯は、隔絶された異世界の祈祷所から現実の「癒し」に戻してくれます。生きていることの素晴らしさを実感します。
ここで扱うテーマは、安物の2時間ドラマではありません。真実の重みと封印されながらも霊気を拡散させている温泉街は、今まで感じたことのない旅気分をかもし出してくれるでしょう。このテーマを扱う旅人は、この情報を手にした人だけに限られること、間違いなしです。
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下部温泉も2004年に発生した温泉偽装問題で、一部の源泉が温泉法の規定外であるとニュースに取り上げられたことがありました。その後の検査の結果、温泉法の規定外が確認されました。これは、低温の地下水の泉脈への流入量増加による泉温低下と推定されるに至りました。
一部の源泉とはいえ、このような問題が出たことに衝撃が走ったのはいうもでもありません。
しかし、戦国時代から武田信玄の隠し湯であるとする下部温泉は名湯であるのは間違いなく、さらに誰も取り上げなかった謎の加持祈祷所秘話も加わり、「弘法倶楽部」の旅は活況を呈してきたのです。
そんなことを思い出し、骨伝導スピーカーで当時の音声をも再生し、愛犬の冥福を祈ります。
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骨伝導による「聴く」と「脳」の関係
癒し効果とともに、骨伝導の威力を体感することで、時の流れをもう一度考える機会になればと思います。