東京都の稲城市には、前回訪れた穴澤天神社(⇒
穴澤天神社を骨で聴く)のすぐ近くに隠れた穴場スポットがありました。しかも都内ではかなり珍しい存在といえます。
それが威光寺弁天洞窟です。今回も最先端の骨伝導機器とともに巡礼の旅に出かけました。
京王線の駅からよみうりランド方面に向かう坂道の途中にあり、斜面に切り開かれた一見すると何の変哲もない寺院です。しかし、境内には弁天洞窟という地下霊場があり、新東京百景にも選ばれています。
地下霊場は時々目にすることはありますが、ここは隠れた穴場的存在であり、関東ではトップレベルのものといえるでしょう。それほどのまでのものがあるにも関わらず、知る人ぞ知るという程度の知名度なのも素晴らしいといえます。
境内に入って左側にある庫裏が受付となっていて、ここで入洞料を払います。懐中電灯もありますが、ロウソク立てのセットを選んで斜面の方角へと向かいます。このロウソクは、洞窟内を巡礼するためのもので、要するに中には明かりが一切ないことを意味します。
実際に洞窟の内部に進み、二股の通路を過ぎると、電灯設備がないことから真の暗闇を体験することになります。揺れるロウソクの炎だけで。一つ一つの石仏を手で探っていく姿は現代人が経験したことのない神秘性にあふれています。
ロウソクの炎は弱く、無風状態ではあるもののいつ火が消えるかわからないような心細さがあります。そうなったら完全な闇です。この不安定な状態こそが強烈な信仰体験となるのが分かります。
この洞窟はもともとは横穴墓だったようです。明治時代に洞窟に改造し、地下霊場となったようです。そのせいか古墳と新たな信仰により、宇賀神、弁財天、大日如来、毘沙門天、文殊菩薩、そして弘法大師に蛇など、多彩な神仏が祀られえていることにパワーを感じます。
洞窟の奥の方には赤い柵で囲まれた小さな池もあり、神秘性がますます濃くなってくるのを感じます。水がしみ出している地層もあり、暗闇の中の冒険の要素も加味されてきます。
さて、ではこの威光寺ですが、ここは1675年から穴澤天神社の別当寺だったようで、宗派は真言宗豊山派です。坂浜の高勝寺の末寺となっています。
墓地がきれいに区画されて、斜面に広がっています。観音像も見事です。本堂は江戸時代の中頃に焼失し、現在の建物は明治3年に改築されたものだそうです。
墓参りの時期でなければ参拝者の数も多くなさそうな雰囲気で、観光で訪れる人も少ないようです。それでもここはぜひとも参拝することをお勧めできる寺院です。
洞窟の中は静寂そのものですが、耳だけでなく骨から脳へと伝える骨伝導機器とともに巡礼することで、霊場の持つ耳では聞こえないパワーの音声が聞こえるような気分になります。それほどまでに衝撃的なパワーです。
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耳をふさがない骨伝導パワー
今まで骨伝導機器とともに多くの巡礼をしてきました。しかしここは別格といえます。視界のない世界で、耳だけでなく骨から伝わる音声を聞き取ることがどれほどのものか、ぜひとも体験して頂きたいと思います。