ほとんど無名の鉱泉を骨で聴く旅に出かけます。
場所は山梨県です。
大月の名勝「猿橋」に程近い葛野川沿いにある鄙びた温泉です。猿橋は江戸時代から日本三奇橋の一つとしても知られ、広重の「甲陽猿橋之図」や十返舎一九の「諸国道中金之草鞋」などにも見ることができるほどの有名な橋です。
しかし今回の目的地は道路沿いに「湯立人鉱泉」という小さな看板が立っているものの、そこから急な坂を下っていったところにあるのは、どう見ても普通の民家しかありません。
そこには何も表示されていないので、ここが温泉だと思う人は皆無だろうと想像します。今回は非常識温泉紀行ライターの案内だったので、「なるほど、ここか!」と感無量な気分になりましたが、それでも普通の民家をいきなり訪問した感覚は残ります。
ちなみに紀行ライター氏は去年は2回、通算では6回くらい来ているそうです。
(そこが素人と違うところだなあ……)
玄関の戸を開け声をかけると、愛想の良いおばあちゃんが出てきます。
ここの歴史は江戸末期くらいまで遡るらしいですが、今は旅籠はやめて、土日のみ12時からの日帰りだけです。
玄関にあらわれた70才くらいのおばあさんが1人でやっているそうです。
浴室は意外と小ぎれいです。
……とはいうものの、浴槽や床のタイル張りはともかく、屋根が粗末なビニール製トタンというのはまさに「素朴」そのもの。何となく鄙びた感じが漂ってきます。
男女別になっていますが、浴室を区切る塀がかなり低く、背の高い人なら覗けてしまうほどです。覗かれて困るようなお客様はこの温泉には来ないような気もするので、まあ問題ないのでしょう。
自然湧出の鉱泉で、無色透明ですが、ろ過等はしてないので、湯の中に土の結晶(かけら?)みたいなのが僅かに混ざったりしてます。
ここで常連の温泉紀行ライターの解説講座
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思えば深い地下で温まってる地下水を強制的に掘ったら高温のが出るのは当たり前で、人体に例えたら身体に傷をつけて無理矢理出血させてるようなものかもしれません。だからボーリング(人工)の高温泉には殆ど価値を感じません。
(もちろん少なからず例外はありますが)
地元のおばあさんや、たまに扇・百蔵の下山客が立ち寄ったりしてるようです。
女将さんは、あまり紹介されたくないみたいなので、ブログ等で取り上げたことはありません。(でもネット上では、スキ者がけっこう紹介したりしてます)
でも、骨で聴くなら「よし」としましょう!
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と、いうことで骨で聴くことにしました。
無名の鉱泉を骨で聴くことは、なかなか興味深いものです。耳では聞き取れない鄙びた鉱泉・温泉の音が聴こえてきます。
骨まで伝わる無名鉱泉の効能。
骨伝導で感じる癒しの湯音。
⇒
骨伝導のすごさをもっと知る