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ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

『地下水の科学』

2009-10-25 23:17:02 | 読書/新聞/映画など
少し前に読んだ本です。『地下水の科学』

まず、地下水がどれほど貴重で、どれほど深くわたしたちの生活にかかわっているかが述べられています。

地球上の真水は、水のわずかに2.7%しかありません。しかも、その半分以上は、極地の氷となっています。つぎに多いのが地下水で、水の0.66%です。川の水は、なんと0.0001%にしかならない。

というわけで、わたしたちは、地下水に頼っています。

この地下水の平均寿命は600歳。「石油と同様、一回かぎりしか使えない資源」なのです。

世界の主な穀倉地帯の食糧生産は、「豊富な地下水なしにはありえなかった」。

水道水でも、たとえば日本の鳥取県では、なんと99.3%地下水に依存しています。国内の湧水は1万1820か所、東京都内に930か所といわれます。

大部分の地下水は、河川と同じように流れています。「水位の高いほうから低いほうに流れているのです」「だから地下水は高いところから低いところへと地形や地質にしたがってゆっくり流れていく」「平均的には1日1メートル程度」です。

地下水の汚染は、汚染源が高い所にあればあるほど影響が大きいことになります。

いま、世界で水の利用が急激に増加するとともに、「地下水の枯渇を招いている」(国連の警告)のです。また、地下水の過剰なくみあげによる地盤の沈下も日本各地で深刻です。

そして、いまなによりも懸念されているのが、地下水の汚染です。「シリコンバレーのハイテク汚染が表面化したのは1981年のこと」でした。事態の深刻さに、当局が広範囲に地下水を調査したところ、溶剤をいれたタンクの「8割近くから溶剤のもれが確認された。」のです。「周辺では、少し前から、子供の先天異常や流産などが多発していた。」

「日本でもこれらの物質による地下水汚染が深刻化した」のです。1982年環境庁がおこなった調査では、対象とされた東京など全国15都市1360本の井戸のうち、なんと「3本に1本の割合」汚染が確認されました。

地下水は、汚染源がはっきりわかっている場合でも、いったん汚染されると、「浄化することは非常に難しい。」

地下水の枯渇が食糧生産にもっとも大きな影響を与えているのは、世界最大級のアメリカの穀倉地帯です。中国やインドの水不足も深刻です。すでに、世界的な深刻な食糧不足の兆しは「各地で表面化」しています。水資源の枯渇は「ほとんど同時に起きている」ため、「その日が早晩やってきて、対処できないほどの食糧不足に陥るかもしれない」

日本は、水が豊かなのでしょうか。ユネスコは、各国の人口一人当たり地下水涵養量を調べ、豊かさに応じて色分けしています。それによると、日本は人口がおおいため、「少ないほうの地域に色分けされている」のです。人口でみれば、決して豊かではありません。

また、地球温暖化やそれによる気候変動も地下水に大きな影響を与えます。これからも雨が多い地域であるとは限りません。

地下水はだれのものですか?これほど貴重な地下水を、大切につぎの世代に引き継がなければなりません。人工的に汚染するようなリスクをおかしてはなりません。

日本地下水学会/井田徹治著『地下水の科学』(講談社ブルーバックス、2009年5月20日、940円+税)

八丈島に住む1人としても、それを強く感じています。









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