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ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

海水注入問題について

2011-05-27 14:10:11 | 読書/新聞/映画など
福島第一原発の海水注入問題が、こんぐらかってきました。

経緯を整理すると、海水の注入について官邸の了承がえられないので、東電が中止を決めた。しかし、現場の所長は危険と判断して中止しなかったことがあとから明らかになった。
官邸が了承しなかったのか、あるいは官邸として中止の指示をだしたのか、東電はかってに中止の指示をだしたのか。
いずれにしても、中止の指示がでたとすれば大問題であり、その責任をのがれたいところだったから、中止しなかったということをいいことに、問題は情報の混乱のほうにすりかえられている。

おそらく、官邸は、「再臨界のおそれがゼロではない」状況のなかで判断をできないで時間をむだにしていた。ここに第一の問題がある。
東電は、官邸の了承を得るのに時間がかかっていたことから、了承はでないという自己保身的な判断で、中止を現場に指示した。ここに第二の問題がある。
現場の所長は、官邸の意向に右往左往して自ら決断しない東電本部にあきれながら、危険をさける現場の判断で、海水注入続行をきめた。ここに第三の問題がある。
どこかの責任で中止の指示がでていたのに、中止されなかったということで、指示をだした責任がうやむやになっている。ここに、第四の問題がある。

典型的な日本の大混乱の事例だ。

官邸、東電の決断力と判断力にかけた右往左往に現場が独自の判断で対応する。これは、関東軍の暴走と同じ構造だ。

このような現場の判断を支持する日本の精神構造がある。そうさせたのは、官邸と東電であったとしても、また、現場の判断が正しいものであったとしても、このことはよく総括しなければならない。

東電が独自の判断基準をもたず、ただ官邸の意向にしたがおうとしたのは、明らかだ。東電本部に責任をとる姿勢がいっさいない。本部を総入れ替えしないと、今後も不安だ。

もちろん、最大の責任者は官邸だ。判断できないなら、現場にまかせなければならない。迅速な結論が必要なときに、政治家も官僚もうろうろする。ここも、総入れ替えが必要だろう。

またしても、問題は情報の混乱にすりかえ、本当の責任がとられない。総理も、東電社長も、所長も更迭されるべきだろう。所長の決断が危機を回避したとしても、所長は指示に反した責任をとらなければならない。

今回の海水注入問題は、原発事故対策全体を象徴している。

日本は、このようなプロセスを詳細に検証し、それを公開し、徹底的に総括するようなことが少ない。なぜいまごろになって実は海水注入の中止はなかったというような情報がでてくるのかもふくめて、冷静に全体をしっかり総括できることが、再発防止のために必要なのだ。

また、災害の際の対策と権限を明確にして、今回の海水注入継続などの決定の権限を、現場の所長にあたえておくべきであろう。そうすれば、所長は指示違反をしなくても、迅速に対応できる。

大災害であればあるほど、首都が存立の危機に立たされたのであればあるほど、対策のプロセスについて、だれかの責任のがれであったり、だれかに責任をおしつけたりするのでない、対策のプロセスを総体的に冷静に分析する必要がある。



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1 コメント

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むずかしい。 (tokoya)
2011-05-27 16:57:12
本当のリーダーシップを持った人物がそこにいない。
なぜか。
国民は、いないから選べないのか、関心がないから選ばないのか。
政治にしろ原発問題にしろ、国民にも監視し、参加する責任がおおいにあるはずだと思う。
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