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The Great Crash 1929

2008-11-11 20:51:48 | 読書/新聞/映画など
ジョン・K・ガルブレイス 『大暴落 1929』日経BP、2008年9月29日、2200+税

読んだのは、学生のときから3回目くらいです。

1929年の大恐慌をもたらしたものは、なにか?あるいは、「なぜ延々と下降線をたどり続け、まる10年にもわたって落ち込んだままだったのか?」

われわれが知りたいことに、ガルブレイスは、答えてはいない。「大恐慌の原因は、いまだにはっきりしない」というのが、彼の結論だ。

「景気循環説」は、「まじめにとりあげるに値いしない」として、「資本主義には変動がつきもの」というガルブレイスには、「変動」はきまぐれなものであり、原因がわかりようもない。バブルははじけるものという一般的な結論しかない。

資本主義の分析に景気循環論は欠かせない。

日を追ったウォールストリートの混乱の記述はわかりやすい。しかし、産業活動についての記述や分析がほとんどない。あるいは、為替切り下げ競争やブロック化していった国際経済についても触れられていない。1029年大恐慌の全体像がとらえられていない。原因解明の努力がない。

1029年恐慌の結果は? 「1933年のアメリカの国民総生産は、29年の3分の2まで落ち込んでいる。」「生産高は、・・・金額ベースでは、41年まで回復していない。」のだ。4人に1人が失業していた。

29年恐慌のもっとも深刻な問題は、「なぜ延々と下降線をたどり続け、まる10年にもわたって落ち込んだままだったのか?」ことだけではない。

もっとも深刻な問題は、資本主義は、1929年恐慌から回復しなかった! ことにある。ガルブレイスの「まる10年にもわたって落ち込んだままだった」という表現では、その後は回復しているように見える。あるいは、証券会社の1029年の株価と現在の株価を重ねるグラフでは、1933年に底をうって、1034年ごろに回復の兆しのようなものがみえるところで切られている。その先は?

「落ち込んだまま」のつぎに何がきたのか?資本主義は、通常の経済活動では回復できなかった。回復しないまま、一直線に戦争経済へ突入していった。資本主義は、主要国の全面的な武力衝突で国際経済体制を再編し、戦後のアメリカ中心のブレトンウッズ体制を作り上げるまで、回復することはなかったのだ。

現在の100年に一度という金融恐慌と、80年前の1929年恐慌と、なにが共通でなにがちがうのだろうか。



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