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最強の経済学者フリードマン

2008-05-17 18:58:12 | 読書/新聞/映画など
ケインズを葬った男といわれるフリードマン。

フリードマンにフリードマンを語らせよう。

「世界中の経済学者にとって、『シカゴ』という言葉は、都市の名前ではなく、大学の名前でさえなく、一つの『学派』を意味します。」ーーシカゴ学派のフリードマン。

「『シカゴ』は、経済政策を論じるうえでは、資源を有効活用する手段として市場経済の効率性に信頼をおくこと、政府の経済介入を疑問視すること、物価の変動要因としてマネーサプライを重視することと同義語です。」 経済政策の核心的主張がまとめられている。

「経済学を論じるうえでの『シカゴ』は、きわめて幅広い現実問題を分析する手段として経済理論を真剣にアプローチ、理論の実証分析を重視するアプローチを意味するのです。」

リバタリアン(自由至上主義者)であり、マネタリストであるフリードマン。

レーガン、サッチャー以降の市場主義経済の源流となった経済学者です。「歴史の流れをかえた」フリードマン。

ラニー・エイベンシュタイン著『ミルトン・フリードマンーー最強の経済学者』日経BP社、2008年1月28日刊、2400円+税

ところで、ケインズは葬られたのではなく、破たんしたといえます。29年恐慌が資本主義を根底から揺さぶり、政府は財政出動と金融政策によって、景気をささえるように、あるいは、社会的な矛盾を緩和するように大きな役割を果たしてきました。ケインズは、福祉国家をめざしました。しかし、財政支出による下支えは好況期にまでおよび、不況対策の力を失っていくと共に、日本の膨大な国債の累積のように、もはや財源も枯渇してしまうにいたりました。ほとんどゼロ金利では、金融政策も無力です。

いきづまったケインズ政策にとってかわったのが、フリードマンの市場経済です。

フリードマンの主張には、時代にうまくマッチしている面があります。変動為替の主張もそうです。変動相場であるべきだというのがフリードマンの主張ですが、実は、固定相場の維持は不可能ということが本当のところです。一国の国内通貨にすぎないドル、しかも兌換紙幣でないドルを国際通貨にせざるをえないところに根本的な矛盾がふくまれています。

「インフレは、いついかなる場合も貨幣的な現象だ」 ここに、フリードマンの理論の核心があるといわれます。物価は、マネーサプライ(通貨供給量)の増減に左右されるという考え方です。これは、あらためて言うまでもなく、貨幣というものの本質を考えればまったくただしい。この核心的な理論が正しいことが、フリードマンの政策主張にもただしいようなイメージを与えた面もありそうです。

フリードマンの経済学方法論、経済政策論の組み立ても議論の対象になるでしょう。








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