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『大往生の島』

2008-09-29 23:20:13 | 読書/新聞/映画など
佐野眞一著『大往生の島』文芸春秋、1997年12月20日、1429円+税

刊行直後に読んでから、10年ぶりに再読しました。

宮本常一や歴史家の奈良本辰也がうまれ育った周防大島に隣接する小さな島=沖家室のルポです。

70歳代は青年団という高齢化率日本一の島。漁師の島。河野水軍・村上海賊末裔の島。「滅びゆく島」としてテレビに取り上げられた島。ハワイ移民の島。そして大往生の島。

1997年の沖家室島の高齢化率は、じつに71.1%。179世帯263人。

しかし、多くは1人暮しのお年寄りたちが、助け合って生き生きと生きている。「第一次産業がもつ労働の強さ」でもある。給料とりの定年がないのだ。自立している。強さの背景には、82%の人が島外で働いた経験を持っていることにもよる。一般世帯にしめる高齢者の一人ぐらしが42.8%にもなる。

島には、ほとんど貧富の差がなく、助け合いの精神が強い。

この沖家室は、かつて1861年ごろには、2,900人をこえる人口をもっていた。漁師たちは、2人乗りの船で長崎の五島列島まででかけ、壱岐・対馬に分村もつくった。1人乗りの小舟で、朝鮮・中国沿岸、はてはインド洋にまででかけて十数年後に帰ってきた漁師もいたという。

ハワイなどの移民には、481名が出かけ、島民の実に12%にもなった。


1955年に1,496人であった沖家室島の人口は、急速に減少し、1966年に中学、1988年には小学校も閉校となった。

この島の老人医療費は、平均を大きく下回る。300人に満たないこの島も、お盆のときには3,000人をこえる里帰りで沈みそうになる。出身者のアンケートでは、6割の人がUターンの時期を明確にしているという。

80歳以上でないと老人会に入れてもらえないというこの島。最初にこの本を読んだとき、10年後に訪問したいと思った。いま、その10年がたちました。

最初にこの本を読んだのは、親しい友人が亡くなった直後です。かれが、この沖家室島で生まれ育ったことを知ったのは、かれがガンで亡くなってからでした。



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