いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

机上の論理、楽観論。 a mere desk theory , an optimism

2016-02-24 20:07:29 | 日記
 (1)17年4月に予定されている消費税10%引き上げに合わせて政府与党が導入を決定している外食を除く食料全般を対象とする軽減税率(a reductive tax rates)について、様々なケース、範囲を対象に適用なるか、適用されないのかの議論がメディアでも国会審議でも取り沙汰されて不安をかきたてている。
 政府与党の決定が外食を除くことになったので、外食をどう解釈しどの範囲で決めるのかと細かい論議、論戦になっている。

 店内にいすとテーブルがあって食べれる場所は外食として軽減税率が適用されずに、持ち帰る場合は軽減税率が適用されるというのがこれまでの政府の見解のようだが、持ち帰り(take out)として軽減税率適用で購入してその場所で食べた場合はどうなるのかなど入り組んだケースを想定しての問答だ。

 (2)麻生財務相だったと記憶しているが後で2%の差額分を徴収するというものであったり、福袋のように購入者に中身の見えないものはどうするのかには売る方はよくわかっているという答弁もあった。

 もちろん本当に後で追加徴収するなどということがあれば、現場の混乱は相当なもので机上の想定問答、論理(a mere desk theory)でしかない。この種のケースは軽減税率導入が正式に決定すれば運用指針、基準が示されることになるが、ケース・バイ・ケースではなくて見た目でわかる形態上の指針、基準でわかりやすい方針を政府が「決めて」実施すればいいことだ。

 (3)外食の概念としては、店内にいす、テーブルがあるかどうかよりはカウンターで購入者が注文食品を直接受け取る場合(持ち帰りも含めて)は軽減税率を適用し、店員が店内の購入者のところ(テーブル)まで運ぶ場合(宅配も含めて)は外食として軽減税率を適用しないと決めればいい。

 その指針、基準に従って市場、消費行動をしてもらうという不都合は残るかもしれないが、軽減税率を導入しようとすれば極めて限定的でわかりやすいものにする必要性はある。軽減税率導入の先進地域の欧州では社会に定着しているのだから、日本でできないということはないだろう。

 (4)日銀が導入したマイナス金利策は、日銀に大量に集中する銀行、金融機関からのカネ(国民などの預金)に手数料をかけて日銀に預ければ金利が減っていく方式で、日銀に預けるよりは市場に回して活用して経済、景気活性化してもらおうという目論みだ。

 日銀黒田総裁はこれからマイナス金利の効果は出てくるといつものように強気発言だが、出てくるのは日銀預金での損益を一般預金者の金利引き下げでカバーしようという副作用ばかりで、これもマイナス金利導入の先進地域の欧州では効果はみられない(報道)というものだ。

 (5)経済学者の見解では日銀のマイナス金利導入によって政府の借金財政の国債の償還額が目減りする、させることが唯一の目的、効果ではないのかとの皮肉も聞かれる。
 ところが大和総研は「銀行は日銀への国債売却でもうけることができ、企業と家計はローンの利払い負担が減る。利子が減るデメリットなどを差し引いても年約1兆5000億円超のメリットがある」(報道)と試算した。

 「メリットがあるのはお金を借りる場合のみ」(同)と注釈がついており、そう問屋がうまくおろせれるのかは疑問だ。社会経済事情を見ていると、株価は乱高下をくり返して、賃上げ効果も物価高が上回って実質賃金は目減りが続き、消費者動向は上向かずに直近のGDPはマイナス成長だ。今春闘でもベア要求を取り下げる企業労組も出ている。

 (6)銀行、金融機関の利子は低いとはいえ国民には将来への不安担保で貯蓄志向が強く、市場にカネは出回らない自己防衛本能が強い。
 そこへ銀行、金融機関の預金金利引き下げでは、経済、景気警戒感、不安を煽(あお)り一層自己防衛本能が働いて将来的負担をともなうローン投資に向かわせるのかは疑問だ。

 大和総研の楽観論(an optimism)も、都合のいい面ばかりを強調した机上の論理(a mere desk theory)ではないのか。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

政治的近道論。 theory of the political nearest way

2016-02-23 19:43:52 | 日記
 (1)何かにつけて3年半前の前民主党政権時代の政策自己否定による政権崩壊を肴(さかな)にして自らの政策の正当性を強調したがる安倍首相が、ラジオ番組のインタヴューで民主党も共産党に似てきたとして民主党立て直しの秘策はあるかの問いに、私(安倍首相)だったら議員辞職を選択する(趣旨発言報道)と揶揄(やゆ)していた。

 安倍首相にすっかり見下された感のある野党第1党の民主党だが、夏の参院選を見据えて維新の党との合流協議が続いている。

 (2)安倍官邸、自民党1強に対抗する勢力結集を目指しているものだが、出てくる話は解党による合流か党名変更による新党結成かの入口組織論(entrance systematization)ばかりで身のある話が聞こえてこない。

 民主党にとっては09年の衆院選対策として旧自民党から旧社会党系まで政治理念、政策、手法のまったく違う勢力を混在させて、結果として財源、実現可能性の乏しい見栄えのいい政策を掲げて(あげくにゆきあたりばったりの普天間飛行場の国外、最低でも県外移設の当時の鳩山代表発言もあり)圧勝して本格的政権交代につなげたのはいいが、その後の政権崩壊の経緯、反省、教訓が今回の維新の党との合流にどう活かされているのか大変に疑問だ。

 (3)当時と同じように政策、理念の違いを度外視してとにかく合流して数による政治勢力拡大を目指す方法論からは、同じ(誤りの)轍を踏む危惧ばかりが目につく。しかも夏の参院選を5か月後に控えての3月中の合流を目指すあわただしさで、「維新の党が解散し(民主党が党名変更して)存続政党となる民主党に合流して新党を作る方式で最終調整」(報道)に入ったといわれている。

 (4)ともに党内に反対論も根強く存在し、合意形成がはかられるのかは不透明といわれている。これに輪をかけているのが共産党の野党選挙協力の話だ。
 これも政治理念、政策、手法がまったく違うもの同士の選挙野望政治協力の話で、前民主党政権の反省、教訓がまったく見えないものだ。これらの野党のドタバタ劇を見ていると、とても安倍官邸、自民党1強に対抗しうるまともな政治勢力の結集になるとはおよそ考えられない。

 (5)09年民主党政権誕生を圧倒的支持で実現させて3年半でその国民の絶大な政治信頼を裏切った国民の失望感をさらに増幅させることになるだけだろう。甘利辞任による安倍内閣支持率が一時51%に上昇し、次から次の閣僚の資質適性に問題のある発言が続く中でも40%台後半の国民支持を受ける安倍内閣にとてもまともに対峙、対抗などできない(小市民的国民の政治、生活意識にも問題はある)。

 (6)国民は09年民主党政権崩壊の悪夢から醒めているわけではないことは、それでも安倍内閣を支持する傾向からはっきりしている。
 目の前の参院選を通して将来を見据えた地道な独自の政策設計、実現方法、効果を打ち立てて、少し時間をかけてでも国民に広く提示、説明する政治姿勢が大切だ。

 特に安倍政権の拠り所とする経済政策は期待込みの実体性のない株価操作による経済効果であり、各種経済指標データの下降の中で来年4月の消費税10%引き上げに予定されている軽減税率導入対応で不安な事態がくることは十分に考えられる。

 (7)仮にそうでない健全財政を目指す経済政策、手法があるとすれば、政府への対案として打ち出して時間をかけてでも国民の信頼、信用、理解に向けさせることが政権に向けた政治的近道(the political nearest way)だ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

除染事業の入札。 a bid of an undertaking to remove the contamination

2016-02-22 19:45:08 | 日記
 (1)福島第一原発事故の影響対応による国の除染事業の一般競争入札(a bid of an undertaking to remove the contamination)で対象除染工事の70%が入札競争のない入札1企業(報道)で決定していた、事実上の随意契約(a private contract)となっていたことがあきらかとなった。

 東日本大震災の高速道路など道路網改修工事でもゼネコン大手が談合のうえに、それぞれの改修道路工事担当業者(共同企業体)の割り当て区域を決めていたことが問題となった。
 談合により工事担当区域の業者の割り当てを決めることによって、工事見積もりの競合入札を回避して出来るだけ高いつり上げた工事費で落札して、高い利潤を得ようという不正入札だった。

 (2)前代未聞の東日本大震災の復興復旧工事は、大量の人員、資材、機材の投入が必要となって、調達の必要性から通常の商行為、市場感覚では考えられない工事経費の高騰を招いて、その実態、実情、情報はほとんどあきらかになっていないとみれられている。

 まずは東日本大震災の復興復旧の大義名分、大命題、大前提のために建設業界が通常の業界、商行為、市場ルールを度外視して、独断的な自主独占事業として復興復旧工事を支配していたことが考えられる。

 (3)いくら前代未聞の大震災の大工事、難工事であるとしても使われるのは国民、地元住民の投資(税負担)なのだから、必要以上にムダな工事経費は避けなければならないのは当然のことで、公平で公正なそのための一般競争入札制度なのだ。

 緊急避難のドタバタ、ドサクサに紛れての建設業界の勝手し放題に、国民の投資(税負担)を運用する国、政府機関としては公平で公正な制度の運用と監視、検証する責任がある。
 通常の市場の一般競争入札率は平均88.5%なのに比べて東日本大震災の復興復旧関連工事の場合は同99%のものが並び、データ管理でも異常性が監視、検証できるものだ。

 (4)そこで冒頭の国の除染事業であるが、工事形態は特に特殊技能、工法が求められるものではないが、福島第一原発事故の影響による放射性物質を含んだ汚泥、ゴミなどの撤去処理であり、従事者には健康被害、危険度の高い作業である。

 手当に危険負担は考慮されているとはいえ、作業従事者の工面、手当てに困難、苦労も予想される。当然作業時間の制限、管理、交代要員など考えられて業者選定にも通常のような一般競争入札制度が適当なのかの問題はある。求められる熟練度は高くなくてもいいが、かといって作業応募も高いとはいえない危険作業だ。

 (5)それだけ作業内環境の危険度認識が求められる除染事業だ。こういった特殊性、危険性のある作業、事業については、経験、知識、規模、責任性、信頼性のある業者(共同企業体)を随意契約で指定することもあっていいのではないのか。

 入札額は国などの事業依頼組織がそもそも設定するものだから、特殊性、危険性のある特別事業についてはあらかじめ国、自治体が業者選定する方式(随意契約)でもいい。

 (6)事業業者の選定理由、経費根拠などを事後情報開示して透明性を高めれば、それも市場原理にかなうものだ。
 事故から5年を迎えようとして東日本大震災の復興復旧、環境保全は急がなければならずに、しかし事業体の勝手し放題を野放し状態では財政負担、市場原理の混乱を招くだけだ。国の責任は重い。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国民投票のダイナミズム。 dynamism of referendum

2016-02-21 20:14:16 | 日記
 (1)議会制民主主義の発祥地とされて日本が政治体制の手本とした英国はいとも簡単に(議会の承認は必要だが)重要政治課題を国民投票(referendum)で決着をはかる。
 スコットランドの英国連邦からの独立問題も賛否きっ抗する中で国民投票にかけられて英国領残留が過半数を占めて残留が決まった。

 民主主義の原点である住民が自分の進むべき道、あるべき体制を自らの意思で決める自治方式だから、決着すればあとに大きな遺恨を残すこともなく日常に戻れる。この流れはスペインでも地域独立問題の高まりの中で受け継がれていた。

 (2)今回、英国が直面しているのは壮大な政治、経済、平和での実験場としてのEU内での移動の自由にからんで、経済弱者の東欧EU圏からの英国への移民が急増して英国内の経済、雇用環境に不利益な社会問題を及ぼしていることへの英国民の不満、いらだちだった。

 英国はEU圏の中でも欧州大陸から海峡を隔てて存在して独立した地域の立場にあり、早くから長らくEU圏離脱問題が政治的懸案となってきた。

 (3)EU圏は移動の自由と経済、貿易の自由という「人とモノ」の移動の自由が基本理念であり、英国経済もEU内経済圏との経済、貿易自由体制の中で経済復興、成長を成し遂げてきた経緯もある。

 このため現在の保守党政権キャメロン首相も改革によるEU圏残留を強く主張している。キャメロン首相は6月に英国のEU離脱の是非を問う国民投票を実施すると発表(報道)した。

 (4)ここでの問題はその結果、影響ではなくて、議会制民主主義の先駆的立場でありながら政治的重要課題について国民から信任を受けて政権につく首相、政府、政権が国家的利益優先主義で独自の主張、判断を「独断」で国民に押し付けることなく、この問題に特化してでも国民自らの判断で決着をはかるという極めてわかりやすい決着の仕方だ。

 (5)対比として考えられるのが、この英国の議会制民主主義を手本とした日本の今日的政治の有り様だ。安倍首相は国民を思考的に二分する沖縄米軍基地問題、原発再稼働、憲法違反の主張も多い安保法制さらには最高裁判断の違憲状態の国会議員の定数削減問題と政治的重要懸案事項については、ことごとく国民の過半数が反対(世論調査)する中で安倍首相、官邸主導の「独断」で国家的利益優先とかの論理を盾に国民の意思を無視して、政治的方向性を決めていくやり方だ。

 (6)沖縄米軍基地問題、原発再稼働、安保法制については国民投票で主権国民の意見、意思を確認することが効果的な集約方法論(methodology)だと書いたが、議会制民主主義の手本の英国の場合だったら、どうだったか。

 国論を二分する重要政治課題として国民投票によるわかりやすい決着方法で政治的決着をはかるのではないのか。

 (7)そうすることが国民的合意による政治的推進力のダイナミズム(dynamism)として国民的結束力がはかれるというものだ。
 今日的日本政治で欠けているのは国民的合意による結束力の欠如だ。政治と国民が遊離して対外的にも国内的にも重要政策課題に決定力、推進力がみられないのは不幸だ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

軽減税率の実効性。 reductive tax rates as for effective policy

2016-02-20 19:31:22 | 日記
 (1)民主党と維新は17年4月に予定されている消費税10%引き上げに対して、政府が決定している軽減税率(reductive tax rates)導入の撤回などがなければ反対する方針を決定した。

 「軽減税率について、高所得者にも恩恵があることから格差是正効果に乏しく、現場の混乱も避けられない」(報道)というのが理由だ。
 消費税引き上げは少子高年令化社会で増え続ける社会保障費の財源不足の充当を目的として実施すると政府が説明しているもので、そのための税収効果を最大限高めるために財務省、自民党では当初から軽減税率の導入には反対、慎重な意見が多かった。

 (2)連立与党の公明党が選挙公約で掲げていたこともあり軽減税率の導入を強く主張して、これを選挙対策として安倍首相、官邸主導で財務省、自民党の反対、慎重論を押し切って導入を決定していた選挙対策用の方針でもあった。

 軽減税率は消費税(付加価値税)が20~30%台と高い欧州ではすでに導入されて、対象品目によっては消費税0%というものがあり効果性は高いといわれて定着している制度だ。

 (3)日本の場合は現在消費税8%で政府は当初15年10月に消費税を2段階で10%に引き上げる方針を示していたが、当時の経済状況は貿易収支の連続赤字、GDP四半期のマイナス成長など経済指標データの下降の中で安倍首相が17年4月へ先送りした経緯がある。

 与党合意の外食を除く食料品全般を対象とする軽減税率導入の減額効果は財務省の試算では年間4200円程度と見積もっており、この程度の減額で効果性はあるのかとの疑念はある。

 (4)高い社会保障政策、国民負担制度に違いのある欧州と比較して、日本の場合は消費税率も低く連動して効果性も比較低いうえに、軽減税率対象品目もすべて現行の8%消費税が課税される方式なので実効性(effective policy)には問題もある。

 目的に絞って対象品目によっては消費税0%対象も考えるなど、政府のいう国民の痛税感解消を目指すのならもっと低所得者層への実効性にも配慮する必要があるだろう。

 (5)民主党などの軽減税率導入反対理由の高所得者にも恩恵があることについては、現場での識別対応は不可能であり同一基準で対応するしかないが、それで低所得者層への政府のいう痛税感解消対策をも同時に撤廃することを同列で考えることはできない。

 (6)格差社会は今日的、世界的な社会構造の重要影響問題であり、21世紀の資本論の著者ピケティさんも格差社会解消、高所得者層への課税強化が今日的問題解決に必要だと述べており、軽減税率導入後の高所得者層に対しては特別の税負担を求めることで格差是正に取り組むことが考えられる。

 (7)しかし、財務省試算のように軽減税率導入で年間4200円程度の減額効果ではいくら何でも物足りないものがあり、これから本格化する国家審議でより実効性のある痛税感解消の軽減税率制度に高める必要がある。

 現在の経済指標データはGDP四半期(15年10~12月期)のマイナス成長、日銀のマイナス金利導入影響などで15年10月消費税10%引き上げ先送り時より深刻化しており、17年4月消費税10%引き上げにも影響が考えられてアベノミクス効果も試練を迎えることになる。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする