いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

今日的春闘。 brand-new `shuntoh'

2019-03-14 20:16:46 | 日記
 (1)昨日は春闘の主要企業の集中回答日だった。かっての春闘は経団連と連合が方針について話し合い、企業経営者と労働組合の交渉回答が一覧で表示されて春闘の名物風景であったが、安倍政権になって政労使会議による官邸主導の賃上げ要請の中で賃上げ幅が固まるという政治介入で春闘も表立って聞かれなくなった。

 あたらしく就任した中西経団連会長になって官邸主導の賃上げを行わずに、企業の労使が自主的に判断する従来の方針を示して今年の春闘はかっての風景を取り戻した。

 (2)長引いたデフレ経済の中で企業の存続が労使ともに重要課題となって、かっての労使対決から協調路線への転換がみられてものわかりのいい春闘相場となっていた。
 背景には労働者の労働組合離れが要因にある。近年の労働者の組合離れは顕著で、権利意識、生活環境の変化が大きい。

 高度経済成長時代は団塊世代の豊富な労働力を背景に労働者を消耗品とする経営者に対して労働者の権利、賃金、生活を守る労働組合が必要とされて全盛を極めて、企業に就職すれば組合員になることが労使条件でもあった。

 (3)労働者の賃金、生活、権利を守るのは現在も経営者に対して労働組合が交渉して妥結して決定するもので変わらないが、労働者の組合離れが止まらない。
 企業形態がかっての重厚長大産業からサービス、情報産業中心に変革して、組織力(埋没)よりは個人の自由な労働能力、発想力、起業力に機能価値、重点が移行してきた産業革命社会の中で、組織力の労組に対してまずなじめない、権利、賃金の仕組みの変化に対して個人としての考え、意見、発信力に意味、価値を共有する労働者意識の意識改革社会だ。

 (4)現代社会は産業、労働形態、社会が多様化し、従来の経団連、連合でひとくくりで交渉するという時代ではなく、各単産ごとの市場、景気、業績に合わせた独自の企業対労組の春闘
交渉、相場が主流の時代だ。

 かっての日本の経済力推進のモデルであった年功序列、終身雇用制はそれなりに身分保障、安心して働けるとして外国企業社会でも評価する時代もあったが、情報化時代、社会を迎えて働く場所、機会、時間が自由に選択できて、賃金も年令、労働時間に準じて一定比率で上昇する方式から成果主義、実益主義で賃金が決まり、終身雇用制が見直される経済社会になってきた。

 (5)若年労働者層中心に正規雇用従業員だけでなくフリーター、アルバイトなど非正規雇用従業員の労働形態が増えて、かっての終身雇用制の労組の意味も薄らいできた。
 実際は正規であれ非正規であれ、従業員の賃金、生活、権利を守り、経営者と交渉して利益を保障するのは現在も労組の重要な役割であるが、労働者の意識としては企業対従業員個人としての権利関係、意識の変化だ。

 (6)これが組合員だけに交渉利益が及ぶということになれば、そうはいっていられないことになる。昨日の街頭インタビューでも春闘の集中回答日への関心は薄く、労使関係、賃金、権利に対して他人事のような楽観主義があらわれた今日的春闘、社会観をみた。

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