いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

記者との確執。 discord against the press

2019-03-04 20:13:45 | 日記
 (1)安倍首相はこのまま順調に政権を維持していけば、これまでの最長政権の佐藤栄作元首相を抜いて最長記録を更新する。
 佐藤元首相は72年沖縄返還を実現して長期政権を築いたが、退任にあたっては記者会見でこれまでの政権批判を強める報道記者と対立してTVに向かって直接国民に語りかけるとして記者会見場から出ていくよう促し、これに反発した報道記者たちは全員記者会見場から退室して誰もいなくなった記者会見場で当時の佐藤首相がひとりTVカメラに向かって退任の所信を述べるという、異様な光景があった。

 (2)ポツンとひとり誰もいない記者会見場でTVカメラに向かって語りかける映像は、長期政権を維持してきた絶対権力者の首相の悲哀を感じさせるもので、自らの所業とはいえあわれであった。

 その佐藤元首相を抜いて最長政権を記録しそうな安倍首相だが、政権はおごり、たるみが続出してやはりこれを批判するメディアとの確執が表面化している。そもそも安倍首相は首相就任以前の党要職としてNHKの報道姿勢を批判して、首相になってからも一部特定メディアを偏向報道だとして不満を強めてメディアへの対決姿勢を鮮明にしてきた。

 (3)その姿勢は安倍内閣にもあらわれて、前総務相が管轄する放送許認可権を盾に偏向報道だとするメディアの営業権取り消しを示唆して本来自由で自律性の報道事業に政治介入する意向を示してけん制したことがあった。

 安倍政権は一貫してメディアと対立、批判関係の距離にあった言論統制、保守思想の強い理念、信条の政治体制だ。最近でも河野外相が記者会見で都合の悪い質問をする記者は何度も無視して取り合わず物議をかもした。

 (4)1日2回記者会見を開く菅官房長官は特定新聞社の記者が事実にもとづかない質問をするとして一時記者会見から除外する意向を示し、批判を受けると今度はその記者の質問は答えられないと拒否する始末で、安倍1強、官邸主導政治のおごり、放漫性が露骨に出ている。

 09年民主党政権の「決めれない政治」の反動としてその後の安倍政治の数の力による「決めれる政治」が国民の支持を受けて、手段、手法、理論の規律(paradigm)を度外視した議会制民主主義、国会軽視の安易な姿勢が横行する政治である。

 (5)意外と経済好調社会の中で安倍政治に流れる偏向した保守思想の危険性に焦点が集まらずに、小市民的国民意識(the petite bourgeoisie)の中で比較安定した支持率を確保しているのは、世界の政治劣化の潮流の中で大勢を占めてきており、深く潜行している危険性だ。

 特定秘密保護法、安保法制、共謀罪の流れは自由主義、民主主義、国民主権を凌駕(りょうが)する強い保守思想政治のものであり、無視できないものだ。

 (6)沖縄返還実現の佐藤元首相の最長政権を塗り替える可能性の大きい安倍首相が、北方4島返還、拉致問題の解決で歴史に名を刻むことができるのかは大きく不透明で、メディア、記者との確執(discord against the press)に沈む同じ道を歩むことがないように願いたいものだ。
 

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