いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

化学兵器と核兵器。 chemical weapon and nuclear weapon

2013-08-30 19:52:00 | 日記
 (1)国際政治、社会は理不尽で不条理(unreasonableness)がまかり通るまったく不可思議なところだ。核兵器(nuclear weapon)所有大国は既得権益独占のために核の脅威を盾に国際平和、秩序のためとかで、後発の核兵器製造、所有国を断固認めない自己中心的倫理観、正義観が平和や秩序維持を理由としてまかり通っているのだ。

 そのため唯一の被ばく国の日本は世界80か国が署名した核兵器使用禁止共同声明に米国に配慮して参加しないという不条理まで起きている。

 (2)シリアでは、政府対反政府組織、市民の対立、内戦が激化して化学兵器(chemical weapon 毒ガス)が使用されたとの情報をもとに、欧米各国の軍事介入(military intervention)がにわかに現実味を帯びてきた。

 これまで同内戦で市民も含めた多くのデモ参加者、戦闘員が死亡していながら、シリア政府を擁護するロシア、これに同調した中国と欧米各国との利害対立が表面化して国連、国際政治は停戦に向けて関与できない事態が続いていた。

 (3)今回のシリア国内の化学兵器使用については、政府、反政府側がそれぞれに双方の使用者責任を主張しており、現在国連調査団がシリア国内に入って調査中だ。
 国連の立場は非人道的な化学兵器が使用されたかどうかの事実確認と証拠収集であって、どちらの側が使用したのか判断するものではない(報道)とのことだ。

 イギリス、米国はすでに独自の情報収集、分析判断でシリア政府側が化学兵器(毒ガス)を使用したと断定して、オバマ大統領は「国際規範に違反した国に責任を取らせる」と軍事介入を示唆する強い警告を示して、イギリス政府は国連安保理への化学兵器使用非難の決議案の提出を検討している。

 (4)国連安保理での決議(ロシア、中国は反対表明)によらずとも、イギリス、米国をはじめ欧米各国は空爆、ミサイル攻撃による限定的軍事介入を示唆しており、予定された31日の国連調査団の国外退去を待ってシリア攻撃に踏み切る公算が強い。

 欧米各国ではかっての米国主導による事実に基づかない大量破壊兵器開発を理由としたイラク攻撃の前例もあり、どの国(議会)でも軍事介入には慎重な姿勢、事実証拠の見極めが伝えられている。

 (5)イギリス、米国では議会が軍事介入の正当性、合法性、事実証拠の提示、説明責任を政府に求めており、これまでの説明では「決定的な証拠ではない」(報道)と結論付けて軍事介入には否定的な立場を示している(本日の報道では、イギリス議会は軍事介入を否決して同政府は参戦しない方針を示した)。

 軍事介入によっては、シリア国内の被害がさらに拡大すること、再び中東イスラム圏の反発を招いて事態がテロ国際化に拡大することを懸念するものだ。

 (6)ここは国連調査団の調査結果を待って、国連安保理での内戦収束責任に向けた停戦調停工作が優先されることだ。折角の国連機能の影響力を示す時ではないのか。
 日本政府がこうした国連の役割に期待せずに、欧米の軍事介入を支持あるいは理解を示すことを検討しているというのは遺憾なことであり、まったくの不適切な対応だ。

 (7)冒頭に核兵器所有大国の既得権益独占の自己都合を書いたが、今回のシリア国内での化学兵器使用の可能性について、オバマ大統領が「国際規範に違反した国に責任を取らせる」と発言している。

 これは当然のことではあるが、それなら過去に唯一の核兵器使用国であり世界最大の核保有大国である米国の国際パラダイムの責任は、どうだったのか。オバマ大統領は「核のない世界」を宣言している。

 (8)今でも米国民の過半数が当時の米国の日本に対する核兵器使用が正当であったと答えている国の責任は重い。

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